未来へ好きを紡ぐために
「新型コロナウイルス感染症拡大の影響等を鑑み、今回の全公演を中止致します。」
これは、ここ数ヶ月で私の心に最も突き刺さった言葉でありながら、何度も目にした言葉だ。
舞台公演中止のお知らせ。
自分が残念に思うのはさながら、そんなことよりも何よりも、これまでに時間をかけて作品を創り上げてきたキャストさん・スタッフさんの努力や時間を考えると、どうにもこうにもいたたまれないことが多すぎる。
そんな状況の中で、私は何をすべきだろうか。
そう考えあぐねた結果、給付金の力を借りつつ私は、舞台と応援している人の未来に投資することにした。
「応援」をするというお金の使いみち
これから先も劇場で舞台を観たい。大好きな俳優さんのお芝居をたくさん観たい。
そんな想いがあるのなら、舞台の灯火を絶やさないように自分の出来ることを。
月並みな考えではあるが、こんな状況になって真っ先に思い浮かんだのがやはりこれだ。
今の楽しみがない。それはもう仕方がない。
であれば、この先の楽しみまで奪われないように。明るい未来まで繋がるように。
そう切に願いつつ、私は私の好きなことを応援するためにお金を使うべきだ。そう思った。
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そこで実際に動いてみたことが以下のふたつだ。
☆応援する俳優さんの利益になることをする
☆舞台関係のクラウドファンディングに参加する
なんてことはない。
恐らく、私と同じように「何かのファン」として生きている人々で、同じように行動している人は多いだろう。
この2点について、少しだけ掘り下げてみることにする。
☆応援する俳優さんの利益になることをする
まずはこちら。
特別なことは一切していないし、わざわざ大仰にこんなところで書く内容ではない、と他のファンの方に怒られてしまいそうだが笑、あえて記しておこうと思う。
ここで私が実践したことがふたつある。
ひとつめは応援する俳優さん(以下、推し)のグッズを買い込むということである。
自粛になる少し前に予定していた個人イベントが中止になってしまった推しさん。
フリーランスで活動しているが故に、ファンから特に損失について心配されていた彼は、ポロっとこうこぼした。
「僕は大丈夫です!ですが、もし…もし!余裕があれば、グッズを買っていただけたらすごく嬉しいです!」
よーし分かったぞ、グッズは利益の還元率が高いという話を聞いたことがある。任せろ!!
そう言わんばかりの勢いで、とりもあえず自分の分はいわずもがな、「友人達に配る用」のグッズをしこたま買った。
「もともと彼のことは知っているし好きではあるけれど、グッズを買うまではないかな…」
そんな友人達に配る予定だ。実際に渡した時の反応がとても楽しみで、今からワクワクが止まらない。笑
さて、ふたつめは配信での課金を意識するということ。
簡単に言うと、いわゆる「投げ銭」のできる配信では、とりあえず銭を投げろ!という考え方だ。
たくさんアイテムを送れば、最後に名前を呼ばれるよ!なんてシステムも配信形態によってはあるが、そんな"ご褒美"の有無に関係なくとりあえず課金。笑
「普通に観ているだけでも楽しいからいいか、なんて今まで思っていたけれど、それではダメだよね、ごめん。」という、積年の行動を省みた結果でもあるのが正直なところだ笑
☆舞台関係のクラウドファンディングに参加する
お次はこちら。
舞台を存続させるためのクラウドファンディングは現在も多く存在するが、今回は私がよく観に行っていた作品を多数手掛けている「ネルケプランニング」の代表取締役会長である、演劇プロデューサーの松田誠さんが発起人である「シアターコンプレックス」というプロジェクトに参加することにした。
シアターコンプレックスの紹介は以下。
「ネット上に架空の劇場をつくる」
なんともワクワクする響きだ。
既にいくつかの企画も挙がっており、noteの記事にて紹介がされている。
この企画記事が更新された際、私はもうワクワクが止まらなくなってしまって、思わず"追いファンディング"をしてしまったほどだった笑
観劇好きとして一般人が直接的に出来ることというのは、あまりにもなさすぎるものだ。
そんな中で、今まで演劇をつくってきた人が声をあげてくださって、役者さんやスタッフさんの活躍の場をつくってくださるというのなら、その声に乗っからない手はない。
舞台を救え
そんな言葉の熱さに惹かれ、私は私の未来の楽しみをこの企画に託してみたくなった。
見つめ直したもの
さて。今回、給付金という"臨時収入"を使うことで、見えてきたものもたくさんある。
☆自分の楽しみのために使っていたお金だけど
実際にこれまでは、目の前の「自分の楽しみ」にお金を費やすことが多かった。
自分が楽しむために、自分が「推しさんのお芝居が観たい」と思うから、だから舞台公演のチケットを取る。
今まではそれが少なくとも、結果的に次回の舞台公演に繋がったりしていた可能性があったけれど、今は違う。
そもそもこちらから働きかけられることが何もない。
即ち、客としてお金を落とす場所がない。
けれども、だからといって「ただ待ち続ける」にはあまりにも未来が暗い、そんな複雑な今になってしまった。
☆好きなものの"これから"が危うくなるような今
観劇の機会がなくなってしまったから、その時が来るまで待とう。
それでは正直、この先に望む「その時」が来るとも限らないような今になってしまった。
いやむしろ、それでは未来が来ないどころか、潰れかねない。そんな危機感を覚えて、はたと気づいた。
「だとしたら、好きなもの、好きな人のために自分がやるべきことって?」
そう問いかけてみると見えてきたことが多くて、「今までにも自分に出来るのにやってなかったことってたくさんあるじゃん!」と思ったりした。
何事も、何かを成すには資金が必要だ。
総じて言うと、お金は大事だよ。ってことですね。笑
楽しみが続くようにかけるべきお金がある
そんな気づきの時間を経て、この状況を抜けた先も自分の心に"客としての役割"を問いつつ、自分の楽しみたいことを楽しんでいけたらと思う。
「主語は自分ではなく相手」
そんなお金の使い方も、悪くないものだ。
☆目の前の楽しみ以外にお金を使うということ
こんな状況でなければ、私がそこに目を向けることはほとんどなかったかもしれない。
クラウドファンディングは特に、「未来への投資」であると思う。
今、お金を使ったからといってすぐに何かが返ってくるわけではない。けれど、そうして紡がれた遠い未来の先に、今回の場合では自分の楽しみが返ってくるのだ。
未来にお金をかけるということは正直難しいことではあるけれど、その重要さを噛み締めたし、必要な時に必要な投資をする。それが、好きなものを信じるということなのだろうとも思う。
これからの私の「応援の形」
これらのことは、実はこんな状況でなくても「当たり前にしておきたい振る舞い」のように思える。
自分の好きなものを存続させるために自分が出来ることを、少しでも考える。それがイコール、前述した自分の"客としての役割"なのではないだろうか。
そんな役割を理解して自分なりに実行すること。
大切な応援の形をひとつ、今回の大きな闇の中で見つけた気分だ。
いつも楽しい時間を提供してくれる恩返しを、こちらも忘れてはならないと改めて肝に銘じた。
自分が行動することで何かを、誰かを救おうだとか、そんなおこがましく恩着せがましいことを考えているのではなくて。
どんなに困難な中でもただ悲観して沈むのではなく、出来ることがあるというのなら、未来に希望を持って一緒に歩んでいけたら。
何事も "持ちつ持たれつ" なのだから。
思わぬ"臨時収入"がくれた、学びの時間を胸に。
今回投資した「これからの未来」を楽しみに、今日もまだ見ぬ未来に想いを馳せている。
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