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【私見】比例重複を認めないことは国民にとって有益なのか
10/7(月)にテレビ東京の独自取材で「【独自】自民・越智元内閣府副大臣が衆院選不出馬を検討 比例との重複立候補なしで」というニュースが流れた。
石破首相の「選挙区と比例代表の重複立候補を認めない」という方針を受けて、越智隆雄元内閣府副大臣が衆議院総選挙の不出馬を検討している旨のニュースであった。
さて、この越智隆雄議員であるが、祖父に福田赳夫を持ち、父・越智道雄は経済企画庁長官を務めたいわゆる「世襲議員」と呼ばれるものである。
ただ、世襲とはいっても、その地盤が盤石なものではない。直近2回の選挙では、東京6区(世田谷区)で立候補をしているが、立憲民主党の落合貴之議員に僅差で敗北し、比例復活を遂げている。
落合議員はクリーンな政治家としても知られ、政治資金パーティーなどは行わず、支持者の寄付のみで政治活動を行っている。選挙の際のウグイス嬢やスタッフなどもボランティアを中心に回している。地元での積極的な露出もあり俗に言う「草の根民主主義」を体現する議員の一人でもある。
他方、越智隆雄議員は2016年の第3次安倍第2次改造内閣において内閣府副大臣(金融、経済再生、経済財政担当)に就任。今では日常的に使われているDX(デジタルトランスフォーメーション)を先駆けて推進した。
2018年には自民党の財務金融部会長、2020年には衆議院財務金融委員長に就任するなど多忙な状況にもあった。
2020年に衆議院財務金融委員長となると、「新NISA」の制度策定に大きく関わってきた人物でもある。
(前職が三井住友銀行であったことからも、金融に明るいことがわかる)。
さて、越知隆雄議員の地元での活動だが、あまり選挙区での活動が活発ではないことが伺える。直近では、アメリカでCNBCの取材も受けていた。
地元住民との強い結びつきが必要な小選挙区では、「草の根民主主義」を体現する落合議員とは相性が悪い。
かと言って、越智隆雄議員が国会議員に不適格かと言われたらそれはありえない。石破政権が岸田政権の金融政策を引き継ぎ、「金融大国」への道を進むのならば、越智隆雄議員の活躍は必要不可欠であろう。
そもそも論として、国会議員の選挙区などといった一部への奉仕者ではなく、国民全体への奉仕者である。「金融」と言う日本の重要政策に深く関わってきた議員が比例重複が認められないことを理由に、その議席を失うことが果たして妥当なのか、一度深く考えるべきではないのだろうか。