その10:誘惑続編 絵画小説 荒浪(4)完結
前置き
著作権が切れた文献を無料公開している「国立国会図書館デジタルコレクション」。10年以上以前、近代デジタルライブラリ—時代からウォッチしている私が、何の専門知識もなくご紹介しております。
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「誘惑続編 絵画小説 荒浪」千葉春村 大正7年
http://dl.ndl.go.jp/info:ndljp/pid/907136
スルメかじりながら何となく読み始めた「誘惑」ですが、「荒浪」に入りこんな神展開になるとは思っておりませんでした。物語もいよいよ佳境です!すばらしい結末をお読みください!
親切な英国紳士に助けられた千代子。身請けしてくれるわ、初めて洋服買ってもらうわでもうウッキウキ。おまけに倫敦まで連れてってくれるって言うじゃないの!そんなうまい話があるものか!って思ったけどあるんだね!だってもうすぐ連載終わりだから!!!
こんなに千代子を窮地から救ってくれたすばらしい人物にも関わらずこの紳士一切名前が出てこない。多澤家の爺やや書生ですら名前が出ていたぞ。千葉先生のウェイトの基準、私にはまるでわかんないや。
洋服を誂えてもらってウキウキの千代子、船内を散策しているとバッタリ鉱山王と会う!OH!そうきたかー!互いに驚いているとその時、船体が大きく上下し、船から煙がもくもくと立ち上がった!!!
はい思い出して!鉱山王の邸宅の隣家の火事、それから多澤の車の交通事故!千代子がいるところに災い有り!もう驚かないよね!
一方、日本の多澤夫婦。唐突ですがインサイダー取引で捕まりました。こっちも連載終了間際にして無理くりシメにかかったね千葉先生さすが!
さて話を千代子の乗った船に戻そう。一体何が起きたのか。そう、千代子や英国紳士、鉱山王たちを乗せた船はドイツの潜水艦によって沈没させられたのだ!そうだったそうだった確か戦時中なんだこれ!すっかり忘れてた!
でも偶然に近くを通っていた客船、エンブレムオブチャイナ号によってほとんど全員が救助されることに!良かったね。(感情のない声で)
助かった千代子、エンブレスオブチャイナ号の中で出会ったのはなんと信次。(もう驚かない)(と春眠)
千代子と信次再会の感動、英国紳士の紹介、鉱山王の諦念、など一気に一話で終わらせる。(一二七話を見逃したら話がわからないよ!)
ここまでの新聞記者の面接で嫌味を言われたり女中さんたちと飛行機を眺めたり人買いの親分の価格交渉など、一体アレなんのために入れたんだというエピソードがさらにこのシーンを引き立たせます。このためだったんだね。すごいねすごいテクニックだよ。
そしていよいよ待望の最終話!!!
私てっきり千代子と信次の感動の再会で終わるんだと思ってた。ごめんなさい、千葉先生なめてた。そんなわけないよね!
最終話はなんと、春眠と咲子が祝言を挙げてめでたしめでたし何これ最後に主役入れ替わったじゃないの!
あーびっくりした。
すごい話だったよ。
感動したー。(さけるチーズをさきながら)
このシリーズで一気に千葉春村先生のファンになったのですが、デジコレでネット公開されている先生の作品はほかに、童話とエッセイしかなくてとても残念です。
デジコレでこの手の作品を探すのはなかなか困難なのですが、これからも発掘活動を続けていきたいと思っています。(完)
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