私の恋愛 成長物語 ☆第7話☆別世界に住む彼との恋
私の恋愛と、恋愛を通じた成長の物語を綴っています♪
✩第1話✩ ダメダメ恋愛からの卒業
✩第2話✩ 初めてのフランス人の彼
✩第3話✩ 失恋からの学びと覚悟
✩第4話✩ タヒチから来たフランス人
✩第5話✩ 彼との別れ いよいよの自立
☆第6話☆アプリで出会った運命の彼
コロナによる外出制限を機に、
お互いをよく知らないまま、
彼のご実家の一階に位置する
独立した空間(キッチン、シャワー、トイレ付)で
彼との同棲生活が始まった
(以前に訪問した時は、ご両親と一緒に過ごしていた)
日本でもフランスでも、
田舎暮らしは大変とはよく聞くものの、
東京での生活が長く、
日本でも経済的には不自由のなかった私とって、
彼との生活は、まず物質的な面で衝撃の連続だった
買い出しに行くと、食材は質よりも10円単位で安いもの
(そして割り勘)
シャワーのお湯は節約しないとすぐ出なくなる
洗濯は水道代の安い夜間に、週に一度のみ
(ギュウギュウに詰め込んで)
食器は欠けていて、
コーヒープレスは網がボロボロで指に刺さるw
シーツやタオルは換えもなく、古くてゴワゴワ・・・
彼が日常に身につけるものは、
穴が空いていたり、子供時代から着ているもの、
リサイクル置き場から拾っできたものまで…
自ら望んで来た場所だったし、
それでもお庭や自然の環境は素晴らしいし、
後悔などは一切なかったが、
とにかく順応するのに必死だった
まずは可能な限りお家の整理整頓と掃除をし、
時には散歩先からお花を摘んできて、
お部屋に彩りを添え、
少しでも快適に過ごせる工夫をした
次に衝撃だったのは、
彼の家族や友達とのコミュニケーションの取り方だった
長い間、人に心を開くことが苦手で、
東京で孤独に生きてきた私は、
他人を信頼できなかったこともあるが、
人生において、人に何かを相談したり、
意見を求めるということはほとんどなく、
「自分で考え行動する」がモットーだった
スピリチュアルを学んでからも、
「自分の中に答えがある」と信じていきたので、
人に相談することは意識的にしないできた
そんな私に対し、誰にでも心がオープンで
人とのコミュニケーションが大好きな彼は、
いつでもどこでも人とおしゃべりをし、
真剣に議論を交わし、
(これはフランスの文化でもある)
何かあればすぐに人に相談し、
人の意見やアドバイスに真剣に耳を傾けていた
以前彼が、
「家族や友達がいなければ生きていけない」
言ったときには、
「自立心の欠ける人だ」と思っていたけれど、
そんな彼の姿を見ていると、
私には斬新であっただけでなく、
人とぶつかることや、自分の考えを変えることを恐れず、
人との対話の中で、自分の中に答えを見つけていく、
彼なりの方法なのだと理解した
私に対しても、
私の意見が、彼の意見と異なるものであっても、
彼は一生懸命、理解に努め、
結果、同意に至ることも至らないこともあったが、
人とのコミュニケーションの中に、
自分にとっての最善の答えを見つけようと懸命だった
こうした活発なコミュニケーションにより、
周囲から愛されている彼を、
私にはない魅力を持っていると感じた
そんな彼は、
暇さえあれば友達の家に遊びに行きたがり、
私を誘ってきたが、
(フランスはカップルで行動する文化で、
彼もいつでもどこへでも私を誘ってきてくれた)
そこでもまた、
衝撃の世界が私を待ち受けていた
彼の親友の家は、
彼の家はよっぽどマシだと思えるくらい・・・
3人の小さな子どもと、
3人の子どもを合わせたくらいの大きさの 大きな2匹の犬が、
リビングを常に徘徊していた
物はすべて出しっぱなしの ひっちゃかめっちゃか
そこに、子供の泣き声と犬の鳴き声、
お母さんが叱る声が常に飛び交っていた
そんな状況をものともせず、
友達とおしゃべりをする彼・・・
私は環境に適応するのに精一杯なのに、
何の前触れもなく突如として家に入って来て、
私の隣に座りビールを飲み出すオジさん
(彼らの友人)
そう、彼や彼の周りの人々には、
境界線という概念など皆無で、
所構わず、どこへ行っても、
人と人との距離が近すぎることが、
繊細な私には、とても厳しかった
私が夢に思い描いていた優雅なフランス生活とは
まるでかけ離れていたけれど、
どこかでそんな究極の異文化を楽しんでいる
自分がいることも、否めなかった
私が彼の住む世界とのギャップを感じた
一番の極めつけは、
彼や彼のほぼ全員の友達が、
マ○○○ナをやっていたことだった・・・
フランスでは違法ではあるけど差ほど厳しくはなく、
トゥールーズの街では至る所で匂いが漂っている程だった
彼は子供時代からお金がなかったために、
10代前半に仕事として始めたのがきっかけだった
彼自身も十分に苦しみ、人生を棒に振ってきたので、
もう長らく絶つことができていたが、
外出制限により
何か不安を掻き立てられたのか、
再開したところだった
その影響で、彼はいつも集中力が散漫で、
ハイテンションだった
私のことを「My Wife」と呼び、
(なぜか英語、なぜそう呼ぶのか彼もわからないと言いながら)
歌をうたい、踊り、
私を抱きしめて、キスをしてくれた
彼はシェフだったど、シェフは仕事だから
家ではご飯を作りたくないといい、
午前中にご両親のお庭の手伝いをする以外は、
いつもゲームばかりしているか、
友達の家に遊びに行きたがる、
まるで子供のようだった
そんな彼は私にとって
人生史上最強のバカでww ふざけた怠け者で、
もう笑うしかなくて、
私の男性への「〇〇であるべき」論は、
見事にぶち壊されていった
これまでの私は、自分と同じような人、
タイプも価値観も趣味も似ていて
共感できる人がいいと、
当然のごとく、思い込んできた
でも考えてみたら、
私にはもう守るものなど何もないのだし、
さっきのコミュニケーションの取り方と同じで、
むしろ私の型を破ってくれる彼は、
私に新しい世界を見せてくれ、
私の可能性を広げてくれる人なんだと思った
音楽や映画の嗜好に関しても、
彼の好きなのは、
RAPとテクノ、スペイン語やアラブ語の音楽
映画はアクションやホラー・・・
私の嫌いなものを好き
と言っても過言ではないくらいww
これに関しては、
単純に世界が広がるという訳にはいかなかったけど、
それでも、
私の好きな音楽にも出会わせてくれたし、
どんな文化や世界に対してもオープンで
新しいものへの探究心が旺盛な彼に、
私も刺激をもらっていた
こんなふうに、
生活の質や環境に始まり、生活習慣や文化、
人付き合いやコミュニケーションの取り方、
音楽や映画の趣味まで、
ありとあらゆることが
極端に違いすぎる私達だったけど、
同時に、とてもよく似ているところもあった
同じ射手座同士、
スピリチュアルが好きで、
人生へのパッションや自由を求める精神が強く、
そんな話で彼と共感できる瞬間は、
嬉しいのはもちろん、
深いところで繋がっているような、
とても不思議な感覚だった
満月の夜に、
お庭のチェアに腰掛けてふたりで月を眺めながら、
お互いの望む未来について語り、
いつもは子供っぽい彼が ロマンチックな一面を見せ、
キスをしてくれたあの光景は、
今でも鮮明に思い起こされてドキドキする
さらに、月星座も同じ牡牛座の私達は、
食への拘りが強いが、
残念なことに彼の方は、
17年も続けた 稼ぎの少ないシェフの仕事に飽き飽きし、
料理へのパッションは完全に失っていた
それでも、野菜や果物、ハーブなど、
自然の食材への知識は豊富で 鼻もよく、
聞けば何でも教えてくれたし、
嫌々ながらも(w)料理をする彼の姿は、
セクシーで大好きだった
こんな私達が共通して楽しめたもののひとつに、
「Yann」というゲームがあった
5つのサイコロを順番に振って、
様々なパターンを揃えて競うのだけれど、
いつも1や2や3ばかりを出す私に対し、
彼はいつも5と6を多発させていた
そんな彼もまたセクシーで、
私にはない強運の持ち主だと感じていた
そして とある回で、
私は彼との運命を宇宙に尋ねるように、
毎回彼のセクシーな目をじっと見つめながら、
サイコロを振ってみることにした
するとこの日、
私はいつもの彼以上に5と6を多発させた上、
見事にパターンを次々に制覇して圧勝した
こんな不思議なことが起こるたびに、
私は彼に運命を感じていた
「僕たち好き合っているよね、不思議だね」
同棲が始まって、10日ほど経った頃だったか、
彼にそう言われたとき、
私はまだ自分の気持ちがわからなかったけど、
数日後には、私もそうだなって思えて、
こんなにも違う私達なのに
好き合えていることが幸せだった
「リオが幸せでいることは、
僕にとってとても大切なことだよ」
事あるごとに、そう言ってくれたことも、
私はすごく嬉しかった
彼と知り合った頃は、
お金を出してくれないことや
気遣いに欠けること、
歯並びが綺麗じゃないことww、
(これは言ってなかったけど、私は顔&歯並び重視w)
そんな表面的なことばかりで彼を判断し、
「好みじゃない」とか「私には合わない」などと決めつけて、
もう会うのはやめようと、
それ以上にお互いを知り合い、想い合い、成長し合う機会を、
私は自ら奪おうとしていた
(今回だけではなく 私の恋愛はいつもそうだったことに気付かされた)
お金があるとか、
立派な仕事についているとか、
立派な家に住んでいるとか、
安定した人生を送っているとか、
表面的な気配りができるとか .....
そういった目に見える部分や
頭で考える条件とは無関係の、
それらを超えたところにある
心で感じる優しさと愛
魂で感じる深い繋がり
私は彼と生活することによって、
彼の本質に触れることができた
そして、
表面的な部分でジャッジを入れることなく、
心をオープンに、
自分の可能性にオープンに、
時間をかけてお互いを知り合い、学び合うことの大切さ
そういう恋愛関係の育て方を、
私は初めて学ぶことができた
ところが一方で、
自分の思いを表現するという、
私の兼ねてからの課題にも、
私は再び向き合わされていた
恋愛経験が私より遥かに豊富で、
日本人の女の子とも経験もある彼は、
「思ったことはちゃんと言わなきゃだめだよ」
と言ってくれていた
だけれど、
何でも素直に伝えればいいのは分かっていても、
もっと質のいい美味しいものを食べたいとか、
お肉は食べたくないとか、
テクノはまだしもRAPは聴きたくないとか (w)、
友達の家にはもう行きたくないとか…
食べるもの 見るもの 聴くもの 触れるもの 等
お家の快適空間が大切な私にとって、
生活の中に不快なものがたくさんありすぎて、
だけど私は、
居させてもらっている立場だから、
私が合わせるしかない、
我慢するしかないと思っていた
本音を言って、上手くいかなくなって、
ここに居れなくなるくらいなら、
我慢したほうがマシだと、
そんな風に思っていた
私なりに伝える努力もしたけれど、
言葉でのコミュニケーションが命の彼には、
全然足りていないのは自分でも認識していた
1ヶ月が経過し、
外出制限が更に1ヶ月延長される
というニュースが入ると、
私はもっとここにいられると、内心ホッとした
ところが安心したも束の間、
外出制限を機に旅に出ていた
彼の弟さんカップルが、
急遽 家に戻ってくることになり、
私達は住んでいる場所を出ざるを得なくなった
検討の末、
私達は家の敷地内にある大きな倉庫を整理し、
ベッドとテーブルを起き、
そこに寝泊まりをすることになった
そして、
食事とシャワー、トイレは、
弟さんのカップルと共同にするしかなく、
私に不安が押し寄せた
様々な違いを乗り越え、
彼と一緒にいることや生活の空間にようやく
慣れてきていたが、
彼の弟さんカップルはまたクセがある上に、
共有できることも少なく、
彼らと生活の中で関わり上手くやっていくことに、
私は全く自信がなかった
案の定、
私は4人で料理や食事をすること、
夜の時間を共に過ごすことが苦痛で、
追い詰められていった
だけどさすがに、
彼の大切な弟さんと一緒に過ごしたくない
そんなことは、とても言えなかった
私の不安とシンクロするように、
彼の態度も変わってくのが明らかだった
そして、間もなく彼から言われた
「僕には自分の時間が必要だから、もう一緒に住めない」
私自身も苦しくて、
この生活に限界を感じていたから、
彼からの言葉は予測できた
私にとってもそのほうがいいことも、
よくわかっていた
だけど、行き先のない私は、
どうしたらいいのか・・・
「急ぐことはないし、一緒に見つけよう」
彼はそう言ってくれて、
間もなく、
この村から車で50分ほどの カオールという街にある、
彼の弟さんの彼女のアパートを借りるという案が出た
数日後、
私はアパートの下見に行き、
心の準備が整ったら引っ越しをすることを決め、
彼に伝えた
私が決断をすると、
彼はやっぱり去ってほしくないとも言ったが、
むしろ私にとって、
ひとりの時間と空間が必要だったことは、
もう明らかになっていた
こうして、
約1ヶ月の彼との生活に終止符を打ち、
私は彼の家を発った
彼との別れはとても悲しかったけど、
カオールの街に着くと、
これから始まろうとしている新しい生活に、
ワクワクをも感じはじめた
そして私はこの後、
彼との距離を置きながら、
私の恋愛におけるかねてからの課題であった
男性の依存心の根源に、
気づいていくのだった
(つづく)