朝鮮大学前ヘイト街宣へのカウンター - 2020年5月10日(日)/東京都小平市
東京都小平市(朝鮮大学校前)で行なわれたヘイトスピーチ街宣に対するカウンター(反対行動)の記録
北朝鮮政府と朝鮮総連への抗議を装いながら学生をターゲットにしたヘイトスピーチが朝鮮大学校の正門前で行われた。「入学式糾弾街宣」との名称で行われた差別を目的とする街宣だったが、この日に入学式はなく大学内に学生はいなかった。
警察は機動隊を大量に動員し、わざわざ学生寮の前に街宣スペースを確保、差別に反対する市民を排除し、差別扇動の手助けを行なっていた。
コロナ禍の渦中、感染のリスクもあり、批判もされることも覚悟で駆けつけ、カウンターに参加された方々に最大の敬意を表したい。
【動画】
2020.5.10朝鮮大学前ヘイト街宣へのカウンター(7分1秒)
【写真】
西武国分寺線・鷹の台駅から徒歩15分ほどの位置にある、朝鮮大学校正門前で、白昼堂々ヘイトスピーチが行われた。普段は静かな小平市たかの台にある住宅街の一角が闘いの舞台となった。
差別を許さない人々は、非常事態宣言が発令されていようとも差別主義者を追い回し、その野望を打ち砕き、居場所をなくすための努力を惜しまない。カウンターの罵声が響き渡る異常な状態に違いないが、クソにはクソと言わなければならない。多くの抗議者の存在こそが唯一の希望だ。
皮肉のつもりなのか、「김일성님 만세!(キミルソンニム マンセ!:金日成様 万歳!)」と書かれた紙を顔に貼り付けていたレイシスト。
この「金日成様」という表現は使わないし、「ㄹ(リウル)」が「己」になったりしていた。
朝鮮大学校正門へと続く道に密集する人々。写真左にある大きな木の下でヘイトスピーチ街宣が行われた。右にある建物が学生寮だ。
柵の中のレイシスト10名足らずに対し、抗議する市民は100名弱、そして動員された警察の総数は約150名だった。
街宣が始まって1時間ちょっと経ったころ、活動服の警官隊1個小隊が突然現れた。彼らは警視庁第四機動隊員で、どこか離れていたところで待機していたようだ。街宣が終わりかけのタイミングで登場し、レイシストの帰宅をエスコートするためにやってきた。手前にいるバタバタしてる雰囲気の警察官3名は、所轄の小平警察署の署員だ。
左腕に同じ「伝令」腕章をしている警察官が2名いるが、それぞれ所属が違う。白いシャツの警察官は「小平警察署伝令」(警部補)で、ジャケットの警察官は「機動隊小隊長伝令」(巡査長)だ。機動隊の伝令はよく見るが所轄署の伝令は初めて見た。
ひとしきりの差別をし終えたレイシスト連中の帰宅護衛任務を受け、プロテスターの前に立ち塞がる警官隊。
警察は街宣が始まる1時間も前から抗議の市民を排除し、柵を設置してレイシスト用の場所をしっかりと周到に確保していた。レイシスト側が頼んだわけでもないのに、警察はここまでしてくれる。そんな警察からサポートを受けた特等席で在日コリアンへのヘイトスピーチが行われた。お膳立て差別だ。
警視庁の警備規定を読んでみると、第110条に治安警備の意義は「部隊活動により犯罪を未然に防止し、又は犯罪が発生した場合の違法状態を収拾する警備活動」とある。シンプルに警察は目の前で行われている違法なヘイトスピーチに対処すべきだ。
2016年6月施行のヘイトスピーチ解消法は禁止規定や罰則がないとは言え、「許されない行為」と明確に宣言されている。警察庁としても全国の警察本部に宛てた通達で「いわゆるヘイトスピーチといわれる言動やこれに伴う活動について違法行為を認知した際には厳正に対処するなどにより、不当な差別的言動の解消に向けた取組に寄与されたい」と明確に姿勢を示しており、見て見ぬふりは許されないはずだ。
差別煽動集団を手厚く警護し、差別に反対する市民を乱暴に排除した警視庁は、差別する側に成り下がっているように思える。警視庁はただちにヘイトスピーチ問題に対し態度を改めるべきだ。
朝鮮大学校の正門に記されたハングル「조선대학교(チョソンデハッキョ:朝鮮大学校) 」。
街宣参加者たちは、警察に守られながら正門すぐ横にある小平グリーンロードを通って帰っていった。
朝に時間を戻すと、街宣が予告されていた朝鮮大学前だけでなく、最寄駅である鷹の台駅前でもカウンターはレイシスト撃退の為にスタンバイしていた。
結局、レイシストたちは電車を使わずタクシーで直接現場まで乗り付けてきた。大学前にいたカウンターからレイシスト出現の一報を受けた駅前のカウンターは現場に急行した。
今回の映像だが、走っているシーンから始まったのは、私も駅前にいてカウンターと一緒に大急ぎで向かったからだ。
KODAIRA AGAINST RACISM !!
【警察装備品コラム005:階級章の識別番号】
警察官の制服の左胸には階級章がつけられている。金属製の半円アーチ形のバッチだ。ご存知の方も多いだろう。
実はこれ、上部・半円形の「識別章」と下部・横長の「階級章」という二つのパーツで構成されていて、切り離すことができる。警視庁の機動隊は、上部の「識別章」は外していて、下部の「階級章」のみ着装して街頭活動を行なっている。
下の写真は、1人だけあごひもをしていない機動隊員がいたので気になって撮ったのだが、ここでは上部パーツが外された階級章を確認してほしい。都内でこのような階級章を着装している警察官がいたら、まず警視庁機動隊員と言える。この階級章の形状にプラスしてもう一つ、ジャケットの下襟、もしくはシャツの襟に金色丸型のバッチが付いていたら、それは日本中どこにいても100%警視庁機動隊員だ。
警視庁機動隊員は、「上が欠けた階級章」+「襟の金色丸バッチ」と覚えておこう。
警視庁の服制規程によると、治安警備実施の時は識別章をしないものとするとあるが、機動隊は雑踏警備実施の時も識別章をしていないし、所轄署員は治安警備実施の時も識別章をしているので、規則と実態は違うようだ。
下の写真に写っている人物は、小平警察署の署長だ。右胸に署長章という大きめの金色バッチをしていて、現場にいると目立つので、すぐに署長は見つけることができる。
ジャケットの左胸についているバッチ、これが冒頭に書いた「金属製の半円アーチ形」をした通常の階級章だ。警察官の間では、その形状から「カマボコ」と呼ばれているそうだ。
上の写真はクリックやタップすると大きくなるので、拡大表示して見てもらうと識別章の番号標に「UI001」と記してあることが分かる。
アルファベット二文字は所属を表していて、「UI」は小平警察署に割り当てられたコードだ。それに続く三桁の数字は、個人の識別をする為のものだ。ちなみに、「001」は所属長等に割り当てられた数字で、ここでは「署長」を意味している。
警視庁は超巨大組織なので、一文字目のアルファベットは大きな所属を表し、二文字目のアルファベットはその中での所属を表している。
具体的には、A〜Jは「A:総務部」、「B:警務部」、「C:交通部」のように本部組織を表し、M〜Vは「M:第一方面」、「N:第二方面」、「O:第三方面」のように警察署の所属先を表している。
以下に例として、「A:総務部」「U:第八方面」の詳細を記載した。警視庁ではこのように機械的な振り分けが行われている。
警視庁の規模から言えば、このような合理的で事務的なアルファベットの使われ方は当然とも言える。しかしながら、他の道府県警察では運用が違っていたりする。
例えば、警視庁と比べて人員は1/25程度の富山県警察では、識別章のアルファベットの自由度は高く、所属先の略語を使用している。「NZ:入善警察署」など、警視庁と違って親しみがわくコードだ。
話は思わぬ方向に広がってしまったが、警察官の階級章の上部分には、個人を識別するための名札の代わりとも言える番号が記載されている。
職務執行における責任の明確化を図る為に、制服での勤務中の識別章の着装が2002年に義務付けられた。横暴な警察官がいて警察に問い合わせたい場合、顔や階級なんかよりも識別番号を覚えておくのがベストだ。警察官の「匿名性の排除」がなされたことは大きい。
ここで再び、警視庁の服制規程を見てみよう。先ほど参照した部分の続きである第9条の2を読んでほしい。
実は識別章の番号標は裏返すことができる。裏面には「警視庁」などの都道府県警察名が記されている。普段は表面(識別番号)を表示させているが、職務執行に当たって著しい支障がある場合は裏返して識別番号を隠すことができる。具体的な例として、「暴力団の事務所を捜索する場合」と書かれているが、報復がありそうでこれは納得できる。
デモの警備の時も警察官が番号標を裏返している場合はよくある。これは、「その他の番号標の表面の表示が適正な職務執行を妨げることとなると所属長が認めたとき」ということなのだろうが、警察官の識別番号の表示は職務執行の適正を担保しているので、可能な限り表示させてほしいものだ。
最後に、富山県警察の通達を読んでいたら以下のような興味深いルールを見つけた。3個貸与されている識別章のうち1個でもなくしたら、その番号は欠番にするとのことだ。悪用される可能性もあるし、当然と言えるが言われてみないと気づかないことだった。
識別番号と言ったら、2001年に流行った狂牛病問題のBSE対策で国内すべての牛に振り当てられた「個体識別番号」を私は思い浮かべてしまう。警察の識別章の義務化が2002年で、牛の個体識別番号もだいたい同じ時期なので、どちらかがどちらかをお手本にしたのかもしれない。