西川口ヘイトデモへのカウンター - 2024年4月28日(日)/埼玉県蕨市・川口市
2024年4月28日(日)、埼玉県蕨市・川口市で行なわれたヘイトスピーチデモに対する抗議の記録
[動画+写真33枚+コースマップ]
最高裁に「存在そのものがヘイトスピーチ」と認定された桜井誠氏ひきいるヘイトスピーチ集団「日本第一党」が蕨(わらび)市内の住宅街でクルド人排斥を叫ぶ差別デモを行った。この差別デモに対し市民による激しい抗議が行われた。
差別デモ隊は西川口駅東口から近い蕨市内の丁張公園を出発し、イオンタウン蕨や蕨市民公園の前を通って元の公園に戻ってくるという1.8kmのコースを30分ほどかけて行進した。上の地図の目印が付けられている三角形の公園が発着地で、反時計回りにその周辺を一周した。
今回のデモは西川口駅と蕨駅の間に位置する蕨市の塚越というところで行われた。住宅の他には学校と公園があるくらいでお店はさほど多くない、ごくごく普通の静かな住宅街だ。
住所的にはコースのほとんどが蕨市塚越5丁目で、ゴール前の曲がり角の前後160m区間だけ越境して川口市並木3丁目だった。集合場所の公園やコースの大半が西川口駅に近いのでデモの呼称は「西川口〜」とした。
【動画】
2024.4.28西川口ヘイトデモへのカウンター(13分28秒)
抗議が予想を超えて激しかったため、雑音や映像の乱れが多発していて見苦しくなってしまったが、現場のリアルを捉えていると言えなくもないので、そこは多めに見てもらいたい。映像を観ればわかるように非常に狭い道が多く、また警察の道路封鎖が多かったので、いつにも増して現場が混乱していた。
映像2:20に「公務執行妨害で逮捕するぞ!」という警察官の警告場面が収録されているが、今回4人の抗議者がこのように警告されているのを確認した。私個人の経験であるが、過去最多の目撃数だった。
全国にヘイト運動が広まるきっかけとなった、2009年の「フィリピン人一家に対するヘイトデモ」が行われた場所が蕨であり、ここで行われるヘイトデモを許せない気持ちは十分に理解できる。しかも今回は札付きのレイシスト桜井誠氏も来ていたので抗議がヒートアップするのは仕方ないものの、逮捕されては元も子もないので、それは絶対に回避しなくてはならない。
カウンターはお互いの名前や素性を知らないことも多く、それぞれが単独で行動しているため、助け合うのは難しい部分があるが、それでも危うそうな人がいないかと周囲に目を配り、なんとなくの連携をしながら抗議していくことが求められているのではないだろうか。
【写真】
差別扇動デモを先導している指揮官車のやぐら(指揮台)に乗った機動隊員が工事現場で見かける矢印板を掲げながら「左に寄れ」と指示を出していた。本来は地面に置いて使うアイテムであるが、 カウンターを何度も経験した埼玉県警察が騒がしく混乱している現場でどうやったら指示が伝わるか考えてきたのだろう。
よく見ると矢印板には埼玉県警察ステッカーだけでなく、埼玉県警察機動隊のロゴが貼られている。埼玉県警察機動隊のロゴは埼玉にゆかりの深い勾玉(まがたま)が使われている。そもそも埼玉県の県章が勾玉なので驚くこともない。ちなみに、管区機動隊のバッチには埼玉県の県鳥シラコバトがあしらわれているので、今度カウンターに行ったら見てみよう。
この看板を持っている機動隊員は最も階級が低い巡査で、黄色い小さな拡声器を持っている警察官は現場では最も高い階級の警視で機動隊の隊長である。よく見てみるとやぐらの上にはもう一人機動隊員がいて、姿は全く見えないが状況的に警部補のことが多い。埼玉県警察機動隊は左腕に黄色い腕章をしていて、拡声器も黄色で、規制用ロープも黄色でオシャレ意識が高い。(※皮肉ではない)
実はこのデモは『日本・トルコ友情のデモ行進』という名称で、その名の通り「日本とトルコの友好」という建前で開催された。そのためデモ参加者はトルコの国旗を手に持って歩いていたのだが、実際はクルド人をはじめとする在日外国人を排斥する内容で、普段通りの差別デモであった。いや、トルコの名やトルコ国旗を利用している分、いつもより悪質なヘイトと言えるかもしれない。
この記事に載せた映像や写真を見ても、立ちはだかる埼玉県警察が目に映るばかりで、トルコ国旗やヘイトデモ参加者の姿を捉えることは難しいはずだ。そういった意味では大量の警官隊は汚物を隠してくれる役割を果たしているようにも見えるが、構図としては警察はレイシストの守護者でありエスコート役に成り下がっていた。埼玉県警察はヘイトスピーチが違法ということを知らないようなので、警察手帳の1ページ目に書き込んでおけ。ヘイトスピーチは違法だ。
最初に見た時は、なんか変わった前掛けエプロンをしている人がいるなと思ったのだが、よく見たら日本国旗を腰に巻きつけていた。ファッションどうこうと言うつもりは特にないが、当然バカにする目的で撮影して写真を公開している。そこは誤解しないでほしいのと、大前提として日本第一党のデモに参加している時点でバカにされてしかるべきということがもっと広く理解されてほしい。
ヘイトデモ参加者は旗を大切にしないというのは事実で、雑に扱う例が頻繁に目撃されている。持ってきた国旗をその辺にぽいと倒しておいていたり、時には忘れて帰ってしまうこともある。国旗や旭日旗は愛国活動という娯楽の小道具であって、それ以上でもそれ以下でもないのだろう。
今回のデモは「日本とトルコの関係にヒビを入れてるのがクルド人勢力だ」という主張のもと、クルド人が多く住む「川口・蕨エリア」で開催された。それはともかくとして、コースの大半が住宅街の細い道をデモしていたのだが、なんでこんな家しかないエリアを行進したのか疑問に思った。
あえて住宅街でデモを行い外国人に対する差別を煽り立てることで、日本人住民には外国人への憎悪や敵意を生ませ、外国人住民には恐怖や抑圧を与える目的があったのかとも考えたが、今回のコースはレイシスト側が意図して選んだわけでもなさそうだ。
答えを知るすべはないものの、もし上記のような狙いがあるのだとしたら、わざわざデモ行進の申請なんかせず街宣車で住宅街に直接行けばより簡単に確実に目的を果たすことができる。それと、このデモは集合場所の公園が変更になる可能性があると告知されていたことから、警察都合で発着地の公園やコースが調整されていたのだろう。というのも、桜井誠という特大トラブルメーカーが出向いてくるので警備も厳重にする必要があったはずだ。警備上の理由で集合場所の公園の選択肢が狭められることはよくあることだ。発着地を同じ奥まった公園にすると警備上都合が良さそうなのでこの公園が選ばれて、この周辺を適当に周るコースが選定されたということではなかろうか。
上に載せているマップのコースを見ると、イオンタウン蕨を通り過ぎた直後に左折して一方通行の細い道へと入っている。デモをする側からしたら少しでも広い道でアピールしたいので、そこでは曲がらずそのまま真っ直ぐ道を進みたいと思うのが人情だ。映像4:38、イオンタウン蕨前で警察が急に道路を封鎖しはじめたと思ったらデモが細い道に入ったので、ここでカウンターをせきとめる意図があって左折したのだと思わざるをえない。どこでやってもヘイトスピーチのデモは許してはならないが、住宅街で行う差別の煽動は非常にグロテスクだ。
もはやこのデモは日本第一党と警察による地域社会破壊の共同作業とさえ思えてくる。今年2月に蕨市でヘイトデモ警備中の警察官による抗議者への「ザコども発言」があったが、埼玉県警察がどちらの側に立っているのかを象徴しているようだ。県外からやってきて地元に住む外国人の排斥を訴える者の味方をし、地域共同体の利益をないがしろにするのが県警察の役割なのか。
デモが終わるとすぐにヘイトの第二幕が始まる。デモ参加者が帰宅するので、警察が最寄り駅の改札までエスコートして送り届けるのだ。これは集団で帰っていく姿から「集団下校」と揶揄されている。
警察は迷うことなく道路を封鎖し、抗議者は排除して、差別を楽しんだレイシストを最後まで護りぬく。言ってしまえば、埼玉県民の税金の一部は差別者のニヤニヤした笑顔のために使われている状況だ。
東京や神奈川に比べたらカウンターは少なく、警察もしっかりガードしてくれるので、5月中に3週連続でレイシストが「川口・蕨エリア」での街宣やデモを告知している。埼玉県警察はレイシストフレンドリーな姿勢を見直すべきだ。
レイシストが活動を続ける限りカウンターの罵声は止むことはない。中指を立てヘイト豚をどこまでも追い回すだろう。社会にとって必要なその姿を私は写し続けたい。