2024年2月10日(土)、東京都渋谷区で行なわれた『バレンタインデー粉砕デモ2024 in 渋谷』の記録
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恋愛資本主義粉砕を掲げ、社会に抗い続けている「革命的非モテ同盟」による『バレンタインデー粉砕デモ』がバレンタインデーを4日後に控える渋谷の街で行われた。
新型コロナウイルス感染拡大の影響もあり、この世直しデモが敢行されたのは実に4年ぶりのことだった。2月の風物詩の復活である。
バレンタインデー粉砕デモ2024 in 渋谷(5分18秒)
2月の三連休初日、渋谷の神宮通公園に10人あまりの非モテたちがデモをするために集まっていた。主催するのは「モテない人たちの精神的なセーフティネット」を自負する革命的非モテ同盟である。2006年に結成され、以来ずっと非モテのために闘い続けている、伝統ある団体だ。
代表の秋元貴之氏はデモ出発前に参加者に向け激励のスピーチを行い、バレンタインデー粉砕の決意を新たにした。
先頭に「バレンタインデー粉砕!」と書かれたゲートフラッグを掲げた非モテ一行は12時に神宮通公園(北側)を出発した。神宮前六丁目交差点を右折してJRの高架下を通過し、ファイヤー通りを渋谷駅前スクランブル交差点まで進んで左折、JRの高架下を通り宮益坂下交差点から明治通りに入り、元の公園までの約1.4kmのコースを22分かけて歩いた。
2台の警察車両と複数の警察官に先導されながら、12人の非モテたちはシュプレヒコールをあげ、堂々と渋谷の街を行進した。沿道からは驚きの声や笑い、そして少しの声援が聞こえてきた。
ゴール地点に着くと「バレンタインデー粉砕」宣言がなされ、恒例の記念撮影を行い解散となった。
このデモを主催した革命的非モテ同盟の主な活動(年中行事)は、2月の『バレンタインデー粉砕デモ』、3月の『ホワイトデー粉砕デモ』、12月の『クリスマス粉砕デモ』という年3回の粉砕デモである。
その中でも例年最も注目を集めるのは『バレンタインデー粉砕デモ』なのであるが、どういうわけか今回はメディアの取材がまったくなかった。そのせいかネットでの注目度も低く、今年のデモは盛り上がりに欠けてしまった印象がある。しかし裏を返せば、それはバレンタインデー自体が注目されなくなった証左でもある。
彼らの目的は注目されることではなく、闘争の勝利、いわば非モテに惨めな思いをさせる腐った文化を断固粉砕することなので、決してネガティブな状況ではなかろう。
革命的非モテ同盟の活動に興味を持った方々にお知らせしておくと、次の粉砕デモの予定は12月後半の『クリスマス粉砕デモ』とのことだ。本来であれば来月の『ホワイトデー粉砕デモ』であるのだが、実は2016年に開催されたのを最後にしばらく行われていない。
それは、3月前半の土日はちょうど3.11があって反原発デモのシーズンなので他団体と予定がかぶってデモが行いにくいという実務的な理由と、そもそもバレンタインデーは粉砕したのでそれに付随するホワイトデーは粉砕する必要はないという観念的な理由、この二つがこれまで主催者から述べられてきた。しかし真相は「フラッグがどこかにいってしまった」ということらしい。秋元代表がそう教えてくれた。
今の代表の秋元貴之さんは4代目で、2018年2月の『バレンタインデー粉砕デモ』から行進の指揮を執っている。紳士的で知的な人物で演説がうまく、活動に歴史的要素を入れていて、彼が代表になってから出発時に「ものども出陣じゃ〜!」という声を張り上げ、ゴール地点でバンザイを叫ぶようになった。この儀式めいた行為は個人的な趣味なのだろうが、結果としてメンバーが一緒になって行うことで一体感や連帯感を生み出していそうだ。
バレンタインデーのオワコン化は避けられない時代の流れでもあり、もしかしたら彼らの闘争の結果でもあり、あるいは本当にリア充文化の終焉の始まりなのかもしれない。
恋愛の商業化は社会的圧力を強化するばかりで、多様性を受容しより豊かで持続可能な社会を目指している現代にいまだ息をしていることが不思議なくらいだ。恋愛をするしないは自由であり、恋愛を当然視せず他者にもその考えを求めるべきではない。
バレンタインデー粉砕デモの「もらったチョコの数で人間の価値を決めるな」というデモのシュプレヒコールは、もはやSDGsの取り組みと言っても過言ではないだろう。令和の時代にも粉砕を叫ぶデモ隊の存在は必要とされていそうだ。
以下に私が過去に記録してきた革命的非モテ同盟主催の粉砕デモの動画や記事のリンクを載せておくので、興味があったら見ていただきたい。(気がついたら10年以上も粉砕デモを記録していた。)