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2018年に撮影したレインボーパレード動画 /東京・青森・盛岡・札幌・福岡+α

 2018年に私が撮影したレインボーパレードの映像を紹介する。今年のレインボーパレードに行く前の参考にしてもらえたらと思う。

 2018年は、自民党・杉田水脈議員の「LGBTは生産性がない」大炎上があり、『新潮45』が事実上の廃刊になった。この問題は多くのメディアで大きく取り上げられ、「LGBT」という言葉の意味を知る人が一気に増えたように感じた。これは私のごく個人的な感覚に過ぎないのかもしれないが、友人知人親戚などでLGBTについて話題にすることが増えたり、説明をせずにLGBTに関しての話題を話すことが多くなったというのがある。

 マスコミがこぞって報じたことが世間に与えた影響は少なくなかったし、なによりこのような問題が報道されるようになったのは時代が変わった証左だと思う。
 また、「間違っていることには抗議をする」ということが普通に行われるようになったこと、何年も前からLGBTに関する地道な活動を続けてきた人々の存在が大きく寄与したことを忘れてはいけない。

 杉田発言に端を発した「LGBT」報道ではあったが、これを機に企画を組んだという報道機関も多かったのは事実だ。「レインボーパレード」と検索する人が必ず増えると考え、それに応えるべくパレードの記録に力を入れた。
 そんなこともあって、多少無理してでも各地のレインボーパレードへ行くべきと考え、2018年は国内5ヶ所での撮影を行った。またレインボーではないが、多様性を訴えた2つのパレードも載せたのでチェックしてみてほしい。

【5月 - 東京都渋谷区】

東京レインボープライド2018・パレード - Tokyo Rainbow Pride Parade 2018(20分36秒)

 まずはパレード参加者7000人、国内最大のレインボーパレードの映像から。先頭のスタートから最後尾がゴールするまで全36フロートを約3時間40分かけて撮影した。
 フロートが多すぎて、物凄い長尺の映像になってしまいそうだったので、ある程度まとまって見せたい部分以外は、4秒間の細切れ映像を機械的に繋ぐ編集にした。それでも20分になってしまったが、可能な限り様々なシーンを入れてパレードの雰囲気を感じてもらいたかったので、このような作りにした。
 東京のレインボーパレードは毎年ゴールデンウィークに行われているので、仕事が休みの方も多いと思うし、季節も良く参加はしやすいのではないだろうか。それより何より参加者が本当に多いので、恥ずかしかったり誰にも気付かれたくないような人でも難なくパレードの中に紛れることができるのがポイントだ。
 派手な格好をしている人は目立つから目立ってるだけで、普段着で手ぶらの人も大勢いるので、特に気にせず列の中に入ればOKだ。沿道から応援しに行ってみて、気持ち的に平気そうなら適当に来たグループの中に入っちゃっえばいい。
 とは言え、沿道から応援することも参加の方法の一つだ。パレードの一員として一緒に車道を歩くだけが参加の手段ではない。
 手や旗を振ったりハイタッチしたりする行為は、空間を共有しパレードと混ざり合う行為に他ならない。パレードが存在している一体がパレードで、隊列も沿道もそこに垣根はない。

【2019年開催情報】
4月28日(日)


【6月 - 青森県青森市】

青森レインボーパレード2018 - 2018.6.24 青森市(8分37秒)

 スピーカーを積んだ台車(人力サウンドカー)を先頭に、参加者173人が青森駅前を一周する約1時間のコースをにぎやかに行進した。
 東北地方としては初となる青森レインボーパレードは、2014年にたった3人で行われた小さい小さいアクションだった。それが翌年2015年には24人になり、2016年は45人、2017年は101人に増え、5回目となる2018年は173人が参加するまでになった。
 人口が少なく大都市より多様性のない地域コミュニティの中で、非常にセンシティブな問題で声を上げるのは勇気がいったに違いない。しがらみのある地元で、行動を起こすことが大変なのは想像に難くない。彼らが街を行進したことの意味は計り知れず、その存在の可視化は誰かの救いになったはずだ。
 「ここに来れない人のために歩くパレード」と主催者が繰り返し言ってきたこの言葉を今一度心に刻みたい。
 この映像では「次のパレードの予定はない」と言っているが、今年に入り主催が変わり第6回パレードの開催が発表された。若い世代へのバトンタッチがなされ、新たな一歩を踏み出した青森から目が離せない。

【2019年開催情報】
6月30日(日)


【9月 - 岩手県盛岡市】

IWATE RAINBOW MARCH 1st - 2018.9.1 岩手県盛岡市 いわてレインボーマーチ(11分2秒)

 岩手県内で初の、東北地方では青森県に続いて2県目となるプライドパレードが盛岡市で開催された。
 盛岡の中心地を(岩手初の)サウンドカーを先頭に行われた160名の行進は、非常に注目度が高く沿道から手を振って応援する人々の姿が多く見られた。主催が若い女性たちで、参加している層もビジュアルも普段行われているデモと明らかに違うことは誰の目にも明らかで、明るい一団の行進に対して沿道から声援が送られた。
 なかなか大きなデモがない盛岡、通行人がデモ隊(パレード)に対して反応を示すことがほとんどない盛岡で、160名という結構な人数での行進が行われただけでなく、街の反応も非常に良かったのは画期的なアクションと言えよう。正直とても驚いた。
 時期的に杉田発言があってからそれほど時間が経っていないこともあり、地元報道機関の「LGBT」への注目度も高く、関連ニュースとして『いわてレインボーマーチ』を取り上げていた。この行動が街に受け入れられたのは、そういったマスコミの後押しもあったのかもしれない。
 5月に東京へ行ってレインボープライドに参加して「地元でもやりたい」という思いを持ち、4ヶ月後に本当に開催してしまう(!)。そんな彼女たちのバイタリティには驚かされるばかりだ。SNSでの情報発信も活発で、活動の広がりが期待される。

【2019年開催情報】
10月12日(土)


【10月 - 北海道札幌市】

さっぽろレインボープライド2018 - 2018.10.7 北海道札幌市(10分1秒)

 『さっぽろレインボープライド』は、1996年から2013年まで続いた『レインボーマーチin札幌』の意志を引き継ぎ開催された。今回の主催とは別ではあるが、札幌のプライドパレードとしては、2017年に学生が中心になって『さっぽろレインボーマーチ+』が行われている。
 パレードは、6グループ(サウンドカー5台+撮影禁止グループの先導車1台)680名が大通公園を出発し、周辺を明るくパワーを感じさせるサウンドと共に練り歩いた。
 新たに立ち上げた団体による初開催のパレードにも関わらず、ビジュアルの完成度の高さは驚きだった。
 今回、台風の影響で雨が心配されていたが、当日は無事に晴れてくれた。(北海道には台風の影響はあまりないだろうとは思っていたが、関東から当日早朝便で向かう私は欠航にならないかと本当にヒヤヒヤしていた…。)
 札幌のパレードは、今年も開催の予定が立っていて、現在クラウドファンディングが行われている。

【2019年開催情報】
9月15日(日)


【11月 - 福岡県福岡市】

九州レインボープライド2018 パレード - 2018.11.4 福岡市(9分15秒)

 福岡では、2014年に学生たちが主催した『福岡レインボーパレード』が行われ、翌年から主催が変わり『九州レインボープライド』と名称も変わりプライドパレードが引き継がれた経緯がある。
 パレードは参加者は800名で、福岡市の中心街・中州や天神を通過する全長3kmのコースだ。撮影禁止エリアが設けられていたり、体が不自由で長距離歩けない方のためにオープントップバスも隊列に加わっていた。
 福岡のパレードは、規模のわりにスポンサー企業の存在感があるように感じられたかもしれないが、それは私の撮影・編集のせいでもあって、こういった取り組みをしてくれている企業の活動をちゃんと写そうと思ったからというのもある。
 また、パレードの中には「福岡市」という自治体のノボリがあり、冷泉公園で行われていたイベントでは高島宗一郎市長がスピーチをしていた。福岡市は、多様性を認め合いながらいきいきと輝くまちをめざしており,LGBTをはじめとする性的マイノリティの方への支援の充実に取組んでおり、2018年に「パートナーシップ宣誓制度」を導入している。

【2019年開催情報】
発表なし(4月現在)


 ここからはレインボーパレードではないが、いかなる種類の差別も受けることがない社会を目指すべく行動しているアクションを紹介する。


【4月 - 大阪府大阪市】

ダイバーシティパレード2018 - 2018.4.1 大阪市(23分8秒)

 関西でヘイトスピーチを許さないという声を路上であげてきた人々が、抗議だけでなく「共に生きる」というメッセージをつたえるべく多様性を祝うパレードを行った。
 大阪のキタからミナミまで(梅田〜難波)3時間弱という長距離コースにも関わらず、最後まで活気あふれる行進だった。歩道からの反応はとても良く、手を振ってくれたり笑顔で写真を撮ったりする人が多く見られた。
 このパレードで特に注目されたのが、第3グループの「EXCITED WOMEN'S」だった。以下に紹介文を引用する。

「女だからこうしろ」とか「男だからこうあるべき」って、おかしくない?そう思ってるのに、私たちは人生の節目節目で性別による役割を求められます。

服装、髪型、恋愛、結婚、子育て、就職…いつでも全部!!あーもうウンザリ!!

ほんとは性別による不平等や抑圧からみんなが解き放たれ、対等な個人としてありのままに生きていきたい!

私たちのフロートではそんなことを訴えます。韓国で大活躍中DJ SEESEAとSELFIEの選曲で踊りながら、普段感じてる「これ変じゃない?」「私はもっとこうしたい!」を大きな声で、一緒に言おう。

自分であること、女性であることを祝福できる未来に向かって、一緒に歩こう。みんな来てね!

【2019年開催情報】
発表なし(4月現在)


【10月 - 東京都新宿区】

東京ラブパレード - 2018.10.8 新宿 TOKYO LOVE PARADE(10分47秒)

 杉田水脈議員による新潮45「生産性」発言に対する抗議も明確に打ち出された、東京レインボープライド主催の「LOVE & EQUALITY~すべての命に平等を」をテーマとするパレードが行われた。4グループ(4先導車)約500名が新宿駅周辺を行進し、それぞれ違った雰囲気のアピールの仕方で訴えた。
 以下、パレードの趣旨。

趣旨・目的
『TOKYO LOVE PARADE』の「LOVE」には、「愛」や「慈しみ」「敬い」だけでなく、「怒り」や「プライド」「危機感」といった、さまざまな思いが込められています。
「LGBTのカップルは生産性がない」「同性愛は趣味だ」といった国会議員の発言に対したくさんの怒りの声が上がり、それはLGBTQ(性的マイノリティ)当事者だけでなく、連帯する非当事者の仲間たち(ストレート・アライ)にも共鳴しました。また、「生産性」を出産と結びつけた内容には障害者や難病患者らからも強い危惧と抗議の声が上がりました。
性的マイノリティは、あなたの家族の中にもいるかもしれません。あなたの子どもが障害を持って生まれてくるかもしれません。そう考えると、これは限られた人の話ではなく、誰かを批判する話でもなく、あなた自身の話なのです。
すべての命が平等に存在する社会でありたい。LGBTQの枠を超え、それぞれの想いを「LOVE=愛」という言葉に託して、私たちは新宿の街を行進します。


 性の多様性を表す虹色。レインボーパレードも場所場所でそれぞれ個性があり多様だ。
 東京と比べたら各地のパレードは規模は小さいが、それぞれの地元でそれぞれのレインボーパレードが開催されることに意味がある。誰もが東京へ行けるわけではないし、東京で行われていることは遠いことのように感じている人もいる。
 行動する人がいることは、誰かの支えになっている。参加はできないが、行動を見守っているだけの人もいる。それが少しでも近い場所で行われると、より他人事ではないと感じることができるというのが人情だ。

 気付いたら私はデモやパレードや抗議を最も撮影しているカメラマンとなっていたのだが、「何のためにやっているのか」と問われたら答えに窮してしまう。全然お金にならないし、実は明確な答えなど持っていないのだ。それでも今年も可能な限り各地のレインボーパレードの記録を行っていく予定だ。
 各地で立ち上がった人々の存在そのものが救いのメッセージだと思う。分かれ分かれだった人々、あるいは心を繋げる力もあるはずだ。私はそんな人々の存在を記録し、発信し続けたいと思っている。

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秋山理央
全国各地のデモや抗議などを自腹で記録しています。サポート頂けますと活動資金になります。よろしくお願いします。