秋葉原ヘイト街宣へのカウンター - 2021年3月14日(日)/東京都千代田区
2021年3月14日(日)、東京都千代田区(秋葉原駅電気街口北側)で行なわれたヘイトスピーチ街宣に対する反対行動(カウンター)の記録
差別扇動団体「日の丸街宣倶楽部」が、日の丸や旭日旗を掲げ秋葉原の街で街宣を行った。2回目の緊急事態宣言が発出されている最中だったが、差別を許さない人々が集まりアクションを行った。
【動画】
2021.3.14秋葉原ヘイト街宣へのカウンター(4分56秒)
前回は秋葉原駅(電気街口北側)の改札を出たすぐの広場で街宣が行われていたが、今回は秋葉原UDXへ続く歩道橋の下(秋葉原ダイビル横)に移っていた。実際に行ったことがないと位置的に分かりづらいと感じたので、場所の位置を表すようなカットをいくつか入れておいた。
短い動画ではあるが、観れば当日の様子がある程度は理解できるはずだ。このような場においては差別的言動を阻止さえできればそれでいいので、現場の行動は単調になることがある。そういう場合は編集で極力カットするので、動画の尺が短い時は見せなくてもいい気がしている。
【写真】
写真右上(右奥)に見えるのがJR秋葉原駅(電気街口北側)で、左のロータリーの向こう側にはガンダムカフェやAKB48カフェがある。右の樹木側にはUDXのタリーズコーヒーがある。
AKIBA AGAINST RACISM !!!
【警察装備品コラム009:警察装備ウォッチ-2】
今回も前回と同じように「警察装備ウォッチ」と題して、3月14日の秋葉原の現場で撮った警視庁警察官の装備品について警察装備研究家として再び好き勝手に書いていくこととする。(写真5枚:約4,400文字)
写真1枚目、まずはウォーミングアップとして、この活動服の警察官の情報を読み取っていこう。
左胸に着装している階級章を見てみると、土台が銀色で左右に金色バーが2本ずつあるので階級は巡査長だと分かる。本来であれば警察官の階級章はかまぼこ型(半月型)をしているが、警視庁機動隊員は階級章上部の個人を識別するための番号を表示する「識別章」は外して街頭活動を行なっている。
もう既に機動隊員だと明かしてしまったが、着用している活動服の下襟に着装している金色丸型バッチが警視庁機動隊を表す。上の写真は押すと拡大するので記されているマークや文字を読んでみてほしい。警視庁機動隊の記章は2個1セットで、それぞれ意味を持っている。
まず、左襟に着装しているのが桜花模様の「機動隊章」だ。警視庁には10個の機動隊が存在していて、それぞれに隊歌があるのだが、その歌詞の中に「襟の桜」や「胸に桜花」という表現で登場している。日本人に古くから親しまれてきた桜には、強い思いが込められていることが少なくない。警視庁機動隊に桜の意匠が与えられたのは偶然ではないはずだ。首都の護りを司る最前線の精強部隊として、大きな期待が込められているのではないだろうか。
片や右襟にあるバッチは「部隊章」で、記された数字は所属している部隊を意味している。この人物の記章には「3.1」とあるので「警視庁第3機動隊第1中隊」ということになる。制服警察官の名札とも言える識別章を常に外している警視庁機動隊員を追う唯一の手がかりは「部隊章」の数字なので、何かあったらこの番号だけでも覚えておくといい。
写真2枚目、女性警察官の制帽あごひもを初めて目撃したので、女性用制帽と改めて「あごひも」について。
この日は風が吹き荒れていて、普段からビル風が強い高層ビルの真下だったので、目の前で何人もの通行人の帽子が飛ばされ、抗議者の帽子が飛ばされ、レイシストの持っていた国旗が飛ばされていたほどだ。踏ん張らないと倒れそうになるほどの強風が吹くこともあって、私も着用していた帽子やマスクまでもが飛ばされ、撮影した映像に強風による乱れがあった。
1枚目の写真に写っているように機動隊員は帽子が飛ばされないよう、あごひもを使用していた。男性用制帽のあごひもは普段はバイザー(帽子のつば)の上に収納されているのだが、ひもが重なっている部分をスライドさせることによって長さの調節ができる。使用する際に引き伸ばしてあごに掛け帽子が脱落するのを防ぎ、使い終わったら短くして元の位置に納める。
男性警察官の制帽あごひもは常に見えていて、装飾品としての機能も有しているのだが、女性警察官の制帽あごひもは全く違う。上の写真を見てもらいたいのだが、耳の後ろを通ってあごに掛かっている黒くて細い「ゴムひも」が分かるだろうか。これが女性警察官用の制帽あごひもで、使わない時は帽子の中にしまっておくか、後頭部に垂らしておいたりしているようだ。
前述したようにこの日は非常に風が強く、写真の女性警察官も制帽が飛ばされそうになり、帽子を脱いでその中からひもを出してあごに掛けた。実を言うと、女性用制帽にもあごひもが付いていることをこの時に初めて知った。女性用制帽あごひもはヒッソリしていて、その存在に今まで全く気が付かなかった。
女性警察官が着用している制帽は、ブリム(全周つば)の後ろがはね上がっていて、クラウンが丸い形をしている「ハイバック型丸帽子」だ。腰に巻かれている黒色のリボンは帯章という階級標識で、警部補以上だとリボン中央に紺や金の線が入り階級を区別する。巡査部長以下の階級の場合、この帽子のリボンのように単色で、中央部に付いている帯章飾りの左右に1本ヒダ(折り目)が入る。帽子の内側にあごひもとして「あごゴム」が縫い付けられている。
写真3枚目、機動隊員の鍵チラからはじまる活動服のデザイン考察のようなもの。
手錠の鍵がポケットから飛び出ている機動隊員がいた。「機動隊の活動服は特別仕様でポケットのサイドに切れ込みがあって物が取り出しやすくなっている」のかと思ってしまったが……なんのことはない、ポケットが破けているだけのようだ。
内部の人間でないとそれが仕様なのかどうなのか分からず、制式でなくとも容認されているみたいなこともあり判断が難しい。警察は公の組織なので、国民に向けて情報が公開されているため、頑張って調べればわりと調べがついたりする。このコラムの情報源はほとんどが公の資料で、あとは現場での観察と本職からの聞き取りで補完している。
この飛び出しちゃってる小さくてかわいい鍵は手錠の鍵だ。肩に掛かっている鎖の先に繋がっている警笛(ホイッスル)とヒモで結ばれていて、一緒に右胸ポケットの中に収納されている。笛を吹いている警察官に注目してみると、笛の横にブラブラしている物が見えるはずだ。通常は警笛を使用している時にしか鍵が見えることはない。
破けているというアクシデントで、まず手錠の鍵にスポットを当てたが、この軍服みたいなデザインの胸ポケットも特徴的で食指が動いてしまう。官給品らしく角度は真っ直ぐではあるが、雲形の雨蓋(あまぶた)と中央に内ひだが付いている凝ったデザインは、活動服のポイントの一つであると私は思っている。
実は、よく見ると活動服はほとんどの部分が特徴的だったりするので、最後に少しだけ書いておこう。まず活動服というのは、よく動く業務向けの略式制服で、きれいめの作業服と思ってもらえばいい。活動服とはまた別に作業着(出動服)があるので、活動服は制服(背広型)と作業着の間に位置しているちょうどいい格好と言えそうだ。活動服はシャツとネクタイの着用が前提とされているためか、テーラードカラーブルゾンという他では見ないスタイルの上衣で、ニーズに合わせて作られたのだろう。両肩には装備品を取り付けたりするためにショルダーループ(肩章)が付いているのだが、見えている金属ボタンは実は飾りで、留め外しは上襟の下に隠れているボタンで行う。女性警察官用の活動服は形状がまた違っているのだが、それはまたの機会に。
写真4枚目、警察官が所持している拳銃やホルスターについて。
銃の所持が禁止されている日本では、警察官が職務のために所持している拳銃が市民にとって一番身近な存在だろう。なかなかお目にかかれないからこそ、気になって見てしまうのは私だけではないはずだ。
収められているこの回転式拳銃は、ふたの隙間から少し見えているプラスティック製のグリップが濃いあずき色をしているので、約60年前に警察用として開発された国産のニューナンブM60と分かる。「ナンブ」と聞くと岩手〜青森の南部(旧南部藩)を思い浮かべるかもしれないが、そちらではなく日本軍の南部十四年式拳銃、こちらの南部が由来である。ニューナンブ製造元の新中央工業のルーツは、南部式自動拳銃を開発した南部麒次郎(元陸軍中将)が設立した「南部銃製造所」で、南部の名にあやかってネーミングされた。
制服の警察官が銃を携帯する時は、利き手に関係なく右腰に着装しなければならない。山梨県警察では「納めた拳銃の撃鉄の前端がズボンの右縫合線に位置するようにする」と……なかなか理解するのが難しい文章であるが、このように細かく着装する位置まで決められている。
ホルスター(拳銃入れ)に納められた拳銃に繋がっている固定電話の受話器コードみたいなのは「拳銃つりひも」で、盗難や紛失防止のために拳銃に結着している。もともとはただのひもだったものが、切断されて拳銃が奪われたことがあり、芯に金属が使われていて切断されにくくされた。今ではタクティカルなカールコード式ピストルランヤードになっている。
警察官を殺害し奪った拳銃で民間人が射殺された2018年の『富山市奥田交番襲撃事件』が記憶に新しいが、これまで警察官が襲われて拳銃が奪われる事件が何度も起こっている。その対策の一つとしてホルスターの改良がなされていて、本人以外は抜きにくい作りの新型ホルスターが導入され、現在装備の更新が進んでいるところだ。交番勤務員など街でよく見かけるような部門の警察官には、もうほとんど新型が配備されているはずだ。この写真のホルスターは革製の旧型モデルなのだが、警備系の警察官が新型ホルスターを装備しているのは見たことがないので、よく人と接する機会が多いところから優先的に配備しているのかもしれない。
本来なら新型ホルスターの写真を出したかったのだが、デモの警備の現場で目にすることがほとんどなく旧型の写真になってしまった。いずれ全て新型に切り替えられてしまうので、まだ旧型が使われているうちに紹介ができてよかったと考えよう。
写真5枚目、交通警察官の着用している帽子の階級章について。
これは交通警察官用の作業服「交通捜査臨場服」の帽子の後ろ側を写した写真だ。『警視庁警察官服制規程』第18条2に「交通事故の現場活動に従事する場合は、交通捜査臨場服を着用することができる」とあるように交通警察官が事故現場で着用する、袖が黄色い青の作業服だ。都内ではこの服装の警察官の姿を事故現場以外でも見ることがあるが、もしかしたら便利な作業着としても着用されているのかもしれない。
交通警察官は視認性を高めるために白色の装備品を多く着装している。それでも紺色の制服は視認性が悪く、自動車が走る道路上での活動は危険が伴うので、目立つ交通捜査臨場服が着たくなるのは理解できる。あるいは、ネクタイをしなくて楽とか他にも理由があるのかもしれないが。
この警察官は秋葉原駅前を管轄する万世橋警察署の交通課員で、警備の人が足りなくて応援に来ていたものと思われる。交通警察官が応援に来ることはあるのだが、交通捜査臨場服を着た警察官がやってくるのはなかなか珍しい。
さて今回の注目ポイントは帽子にある。天井部分が平坦な丸天型帽子で、後頭部に調整具(アジャスター)が取り付けられている。白いテープが帽子の腰下部に縫い付けられているが、これは階級章ではなく安全のための反射材である。階級標識は帽子後面上部にある紺色台座に白い線の部分で、太線2本なので警部を表している。見覚えのある階級標章だと思ったら、活動帽と同様の物だった。そこそこレアではあるが、たまに見かけることがある。また他の道府県警察でも似たような交通警察官の作業服があるはずなのでチェックしてみて欲しい。