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11/14 つばめグリルのハンブルグステーキ

今日はなんだか全然上手くいかない日だと思ったので、早々に見切りをつけてお昼にちょっとお高いハンバーグを食べに行った。つばめグリルである。

ビーフシチューと包み焼きにされたハンバーグが看板商品のつばめグリル。「ハンバーグ」ではなく、「ハンブルグステーキ」と呼ぶのだそうな。
私の前には4人の家族と、後ろに2人の初老のご夫婦が並んでいた。私は、テイクアウト用として積まれた、銀の包み紙をぴかぴか光らせるハンブルグステーキを眺めながら、あふれてくる歓談の声と柔らかであたたかい香りの中、久しぶりの豪勢なランチへの期待に胸を膨らませていた。

つばめグリルには一度だけ行ったことがあった。
大変良くしてくれた百貨店の宣伝のSさんが、辞めるときにどうしてもお話しする機会が欲しくて、「行きましょう!」と誘ったことがあった。そのときに食べたのは大きな看板商品のハンブルグステーキで、少し寒くなり始めた秋の思い出であることも相まって、幸せな記憶になっている。

今日は本調子でなかったのもあり、すこしさっぱりしたものにしようと決めていた。
選んだのは和風のハンブルグステーキ。付け合わせはパンにすることにした。洋食のサイドメニューは、大抵パンにしてしまいがち。

しばらくして、トマトが丸のままのせられ、オレンジ色のとろりとしたドレッシングがかけられたサラダ(ファルシーサラダと言うらしい)と、フランスパンが3切れとバターをひとかけ金色の紙に包んだものが運ばれてきた。ファルシーサラダは、湯むきされたトマトがへたのついていた部分を皿につけた状態で鎮座しており、第一印象:とても丸い。丸い球が、突然食卓に現れたようで、かかったドレッシングがその形を強調する。ナイフを入れると、へたがついていた部分に控えめにポテトサラダ(玉葱のスライスがいいかんじ。公式を見たら、チキンサラダとあった)が詰められている。メインは湯むきされたトマトで、柔らかくもしっかりとしたジューシーさがあって美味しい。

ハンブルグステーキが来るまで少し時間がかかったので、スマホを取り出すのは少し抑えて、(そのときの私は会社の連絡をあまり積極的にとりたくなかった、というのもある)周囲のお昼ごはんな人々を観察してみることにした。

隣に座ったのは、私の後ろに並んでいた年配のご夫婦。グラスワインを頼んでいた(こういう年の取り方ができればいいのに)。あまり話しすぎず、ときどきにこにこと「美味しいですね」と話している。つばめが三つ巴になって飛んでいるガラスの仕切りの向こう、反対側のお隣には、一転して非常に賑やかなご夫婦が座った。奥さんがマシンガントークで二人いるらしい娘さんのことを心配しており、旦那さんは慣れた合いの手を入れている。
ふと、こんなに賑やかな中で食事をするのはいつぶりだろうとも思う。周囲のことに興味を持てるようになった/持てる状態だった、というのは大きいかもしれないが。
はす向かいに背を向けて座るスーツのお姉さんの丸まった背中を見ながら、何となく仲間意識を持つ。

待ちに待ったハンブルグステーキが、鉄板と共に運ばれてきた。お肉には大根おろしが乗せられ、大きなクレソンが飾られている。添えられているのは和風ソースと和辛子、付け合わせは丸のままのほくとろのポテト。皮の周りが美味しくて好きだ。
和風ソースをそのままかけると熱されてはねるので、つけながら食べるようにとのこと。ハンブルグステーキの下にはスナップえんどうが敷かれており、肉に火が通り過ぎないように配慮されていた。

ナイフを入れてみると、しっかりと弾力のある肉質。ざっくりした粗挽きで、しかし大変柔らかい。まずはそのまま口に入れてみると、脂がじゅわっと溢れ、肉の美味しさが広がる。次にソースにつけて、和辛子もつけて食べてみると、とたんにさっぱりとしてしかし風味が増えて味わい深い。惜しむらくは、一口大に切ってソースにつけるときにほんの少し冷めてしまうことだろうか(ソース自体は鉄板に乗っているため、温められてはいる)。最初はつけて食べて、途中からはかけても良かったかもな、と思う。パンにはバターともに和辛子を塗って食べる。美味しい。たっぷり食べられて、お腹いっぱいの幸せなお昼ごはんだった。

ハンバーグ(※ハンブルグステーキ)は最高。

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