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働きアリの法則ーたった1分で読める1分小説ー

 各国の首脳達が集まり、世界会議を開いていた。

 某国の大統領・ヘンダーソンが頭を抱えた。
「このままでは地球は崩壊してしまう」
 人口増加による食糧危機をどうするか? その議論をしていた。

 科学者のリチャードがいった。
「働きアリの法則はご存じでしょうか?」
「なんだ、それは?」

「働きアリの集団がいるとします。するとよく働く2割のアリと、普通に働く6割のアリと、怠け者の2割のアリに別れます。パレートの法則、2:8の法則とも呼ばれています」

 ヘンダーソンがにやりと笑った。
「なるほど。2割の優秀な人間を選別して、残りを消せばいいというわけか。地球の大掃除だ」

 リチャードは最新鋭のAIを作り、優秀な人間2割を選別させた。そして残り8割を跡形もなく消し去るウィルスを開発した。

 リチャードが科学的な説明をすると、ヘンダーソンがいらいらした。
「ややこしい説明はどうでもいい」

 リチャードが手にカプセルを持ち、確認した。
「このカプセルを割ればウィルスが一瞬で地球中に飛散し、8割の人類が消えますがよろしいですか?」

 ヘンダーソンがうなずいた。
「かまわん。これも人類のためだ。優秀な2割さえ生き残ればいい」
 全員が賛同し、リチャードがカプセルを割った。

 するとリチャード以外の全員が消滅し、服だけしか残らなかった。
 リチャードがあきれていった。

「この人達はどうして、自分達が優秀な2割だと思ってたんだろ?」


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浜口倫太郎 作家
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