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フードデリバリー−たった1分で読める1分小説−

 瑛太は、フードデリバリーのバイトをしていた。
 配達中、誰かに呼び止められた。
「……私の声が聞こえる人はいないか」

 瑛太は驚いた。その声は、瑛太の頭に直接響いているのだ。
「なんだこれ?」
「これはテレパシーだ。申し訳ないが何か食事を持って、この住所まで来て欲しい」

 指定された場所は、普通のアパートの一室だった。そこに一人の男がいた。
「私の名は、リムル。パトレス星の宇宙人だ」
 瑛太はその言葉を信用した。テレパシーを使えるのが何よりの証拠だ。
 地球に来たが、リムルは病気になって動けない。回復するには食事をとる以外にない。

「このテレパシーは選ばれし者にしか聞こえない」
「僕が選ばれし者……」
 瑛太が感激する。
「すまないが、毎日私に食事を届けてもらえないだろうか」
「はい。僕、それが仕事なんです」
「……ただ大変心苦しいのだが、私はこの星の貨幣を持ち合わせていない」
「安心してください。僕が代金を払います。地球とパトレス星の友好のためですもんね」
 瑛太が胸を叩いた。

 それから瑛太は、リムルに料理を届け続けた。
「明日、また来ますね」
 瑛太が扉を閉めると、リムルこと戸田伸幸が、にやりと笑った。

 急にテレパシー能力が発動したのだが、なぜかフードデリバリーのバイト限定だった。 

 何か使い道はないかと知恵をしぼり、このアイデアを閃いた。
 伸幸が歓喜の雄叫びを上げた。

「無料のフードデリバリー最高!」

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