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点数−たった1分で読める1分小説−

「なんだ、これ?」
 教室でユウタが目を丸くした。クラスメイト達の頭上に、数字が浮かんでいるのだ。
 全員がざわめき、ケンがユウタの数字を読み上げた。

「ユウタ、おまえは24って書いてるな」
「ケンは、89だって」
 その現象は世界中で起こった。数字の幅は0から100まで。
 最初は寿命かと思われたが、年齢よりも低い数字の人間も数多い。科学者達もお手上げだった。

 ある日、その数字の意味がわかった。巨大な宇宙船がやってきて、中から緑色の宇宙人があらわれた。
「我々はポトリ星だ」
 ポトリ星人は高度な文明の持ち主だ。その実力差に、地球人はしゅんとした。

「それは点数だ。我々の評価軸で査定した。80点より上の者は優秀な人間だ。ポトリ星に移住する権利を与えよう」
 世界中が大騒ぎになり、80点以上の人間はうらやましがられた。

 旅立ちの日。ユウタはケンを見送った。
「じゃあな、ユウタ。もう二度と会うことはないだろな」
「バイバイ……」
 80点以上の人間を乗せた宇宙船が、ポトリ星へと旅立った。

 ユウタが、おそるおそるポトリ星人にきいた。
「……僕たち、消されるんですか」
 点数の低い人間は用ずみとなる……そううわさされていた。

「君たちには何もしないさ」
「君たちにはってどういうことですか?」
「地球人は、牛を品質ごとにランク分けするだろ」
「はい」
「それと同じさ。

点数が高い人間は、上等の肉として我々に食べられるんだ」


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浜口倫太郎 作家
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