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daisaw33
ありがとう−たった1分で読める1分小説−
ヒロシは、友人のケンタとカフェにいた。
「お待たせしました」
声をかけられ、ヒロシはびっくりした。
ロボットがコーヒーを運んできたからだ。
ケンタが、笑いながらコーヒーを受けとる。
「びっくりしすぎだろ。この店はロボットが店員なんだよ」
「そうなんだ。凄い時代だね」
ヒロシが感心すると、ロボットが立ち去ろうとした。
「ありがとう」
ヒロシが笑顔で礼を述べると、ケンタがうすく笑う。
「おい、ロボットに礼なんていうなよ」
「だって店員さんにはありがとうっていいなさいって、お母さんに教えられたから」
「意味不明だな。なんで金払って礼をいう必要があるんだよ。ギリ人間にならわかるけど、ロボットに礼をいうバカがいるかよ」
「そうかなあ……」
ヒロシは納得がいかなかった。
そんなある日、巨大隕石が衝突し、地球が壊滅するというニュースが流れた。優秀な人類のみが、宇宙ステーションに避難できる。
ヒロシはしゅんとして、ケンタにいった。
「……お別れだね」
「おまえのことは忘れないからな」
ケンタは高学歴で一流企業のエリートだが、ヒロシはそうじゃない。
ロボットがやってきた。
「ヒロシさん、あなたは宇宙ステーションのメンバーに選ばれました」
ケンタがぎょっとする。
「俺は?」
「落選です」
「なんでだよ!」
「新世界にあなたのような人間はいりません。
ロボットの我々にもありがとうをいってくれる、心優しい人間だけが必要なのです」
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