告白ーたった1分で読める1分小説ー
「私、彼氏と別れたんだ……」
喫茶店で望美が寂しそうにこぼすと、拓海の胸が波打った。
拓海はずっと前から望美が好きだったが、望美には彼氏がいたので、その気持ちを必死に抑えていた。
「去年おじいちゃんが亡くなって、おばあちゃん一人になったでしょ。おばあちゃんの寂しさが、彼と別れてよりわかるようになった……一人って辛いよね……」
拓海がキッと目を見開いた。
「俺、ずっと前から好きだったんです。付き合ってもらえませんか!」
ここで告白できなければ一生後悔する。えっと望美が表情を硬くした。まさかという面持ちだ。
「……でも年上だよ」
確かに望美は拓海よりも年齢が五歳も上だが、そんなことは関係ない。
「かまいません」
「……」
望美は迷っている様子だったが、やがて覚悟を決めたように言った。
「わかった。じゃあ明日遊園地でデートしましょ。十時に待ち合わせね」
「はい」
告白が成功し、拓海は天にも昇るような気持ちだった。
翌日、拓海はおしゃれをして、遊園地の前で待っていた。もう胸がはちきれそうだ。
「お待たせ」
女性の声に拓海が振り向くと、拓海は唖然とした。
それは、望美のおばあちゃんだった。
「おばあちゃん、どうされたんですか?」
「望美から話を聞いたよ。
あんたが私と付き合いたいって。
年上でもかまわないって。私も独り身が辛くて、新しい夫が欲しかったもんでちょうどよかったわ」
そう言うと、おばあちゃんは頬を赤く染めた。
↓7月11日発売です。冴えない文学青年・晴渡時生が、惚れた女性のためにタイムリープをするお話です。各話ごとに文豪の名作をモチーフにしています。惚れてふられる、令和の寅さんシリーズを目指しています。ぜひ読んでみてください。
コイモドリ 時をかける文学恋愛譚
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