限界突破イベント
堕天使に、ペガサスの羽が命中して、2秒。堕天使の体が弾け飛んだ。いや、弾け飛んだというよりかは、消し飛んだと言うほうが正しいのだろうか。結果、ペガサスは、「最強種」の堕天使さえ、一撃で倒す、ヤバいモンスターということだ。今の俺でさえ、勝てるかどうかわからないくらい強い。こいつが仲間でよかった。だが、一つ疑問に思ったことがある。こんなに強いモンスターが、普通に出てくるのであろうか?「最強種」とはSランク冒険者でも苦戦するようなものだ。その「最強種」を難なく倒せるようなモンスターが、あと、八十八匹も出てくるということか?それだとしたらチートすぎる。いや、案外あり得るかも。だって、レベル1でさえ「最強種」を瞬殺できるほどの「恒星弾」がレベル4になった時に発現した能力だ。そりゃあ強いに決まっている。そう思った時、下腹部に強い衝撃が走った。「龍」に蹴られたのだ。だが、そこまで俺も弱くない。「肉体強化」で強化した、右脚で地面を蹴り上げ、跳躍した。今手にしているのは、「罠糸」だ。「罠糸」は標的者がに当たれば、「状態異常」や、「ステータス低下」、「トラップ」などを仕掛ける、凡庸性の高い能力だ。早速、「罠糸」を「龍」の右脚に引っかかった。よし。「状態異常」を引いたらしい。「状態異常」は「混乱」だ。「混乱」は相手を混乱状態に陥れるという能力を持っている。100種以上ある「状態異常」の中でも結構な「当たり」だ。混乱状態は、最悪の場合、自分自身を激しく攻撃するようになる。そして、「龍」はその最悪の場合になったようだ。鋭く尖った自分の爪を胸に突き刺し、自分の、赤茶色の鱗をベリベリと剥がす。もう、「龍」の、青緑の、綺麗だった目は、だんだんと色が消え、薄い灰色になっていた。死んだのだ。ふう、やっと終わったか。「龍」は死に耐性があるが、その死に対する耐性も、無に等しかったようだ。「龍」を討伐した時にもらった経験値が、なんと9999999999999というバグった数値になってた。やはり、「竜」の最上位種「龍」なだけある。「恒星時間」を「終滅太陽」に進化させ、チートスキルを7個獲得した。それでちょうど経験値がゼロになった。どんだけあったんだよ。そして、その膨大な経験値を使い切った結果、今のステータスはこうなった。
結構、強くなったんじゃないか?今なら「最強種」を相手に、肉弾戦でも、勝てると思う。だって、ステータス、全部カンストしてるもんね。「最強種」の中でも、ステータスがカンストしてるのなんて、「神」か「魔王」くらいだ。つまり、「神」や「魔王」くらいに強くなったということだ。そして、先ほども言った通り、わざわざ「魔の森」のボスを倒しにきたのには、理由がある。ある「イベント」をしにきたのだ。
(おめでとうございます!あなたは、森林系ダンジョン「魔の森」のボスを討伐したため、イベント「限界突破イベント」に参加できます!)
そう頭の中に声が響くと、目の前に、金色の扉が出現した。俺はその扉の中に入っていった。空間が、激しく動き始める。
空間の動きが止まった時、目の前には金色の扉ではなく、殺風景な風景が広がっていた。そして、この会場全体に、機械質な音声が響く。
周りが静かなため、音がやけに大きく聞こえる。
「それでは、第一試験門:地獄界でのイベントを始めます。開門。」
目の前に大きな扉が現れる。次々と若者たちが、扉に向かって、走り始める。そして、扉の向こうから、人が棍棒で、たたき殺される、耳障りな音が響く。自分も、扉へ向かって、歩み出した。 地獄界の中には、グロデスクな光景が広がっていた。人の腐肉、舌を抜かれているもの、大きな鍋で煮られる者たち。なかなかに地獄界は辛そうだ。と、その時、後ろから悲鳴と、大きな足音が聞こえてくる。後ろにいたのは、人と、大きな火の鳥だった。アイツらには悪いが、大きい火の鳥と戦うつもりはない。そのまま足を進めよう、と思った時、大きな火の鳥が、こちらを向いた。標的を変更された。明らかにこちらをエサだと思っている。ここはもう、戦うしかなさそうだ。炎の嘴が迫る。
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