オケナイト
黒孔球が現れ、多聞天のロボットを吞み込んだ。
「ギギギ レベル∞ |完璧究極無敵破滅幻影死王魔神凶狂嵬剣偽戯疑巍」
それに何とか対抗しようと魔法を放つ。
『【魔力球】属性変化:闇連続発射。』
こちらも黒孔球を創る。
ポンポンと多聞天ロボに向かって穿ち、終わらせた。
討伐完了だ。
(メカ多聞天を討伐したので、メカ多聞天のスキル、【北ノ加護】【北解放】を獲得しました。〈スライム〉)
初めて二つスキルがもらえた。
結構おいしい報酬だな。
「おし、やっと終わったな。ところで何か、忘れていることはないか?」
頬を緩ませているときに、レイブに話しかけられた。
忘れていることなんて、ないと思うが。
「ヒント1!声。ヒント2!機械。これで分かるだろ。」
あっ、そうだ。
声を出す機械を改善してもらうんだった。
ふんふんふーん。
楽しみだな。
「上位錬金術」
虹色の魔法陣が光り輝き、どこからか現れた調合釜に吸収されていく。
「おし、これでうまくいったはずだ。この機械の前で喋ってみろ。」
「あーあー、マイクテス、マイクテス。」
おっ、うまくいったらしい。
「やった、これでまともに会話できるようになったな。」
次は、どのダンジョンに向かおうか。
しばらく考え、考えた結果、未踏破ダンジョン〈災害迷宮〉に行くことにした。
出る魔物の数こそ少なく、弱いが問題はそこで起きる災害だ。
雷雨、土砂崩れ、津波、台風、大雪。
非常に多くの災害が起こる。
死傷者はこの一年間だけで1000人に及ぶ。
それだけ危険なところ。
面白いだろう。
生身で行くのは危険だから、ちゃんと耐性系のスキルを取っておく。
「雷耐性、風耐性、衝撃耐性、だけでいいかな?」
その時、スキル獲得一覧に、気になるものが見えた。
【オケナイト】というスキルだ。
獲得しておこうかな?
「【オケナイト】を獲得。」
(【オケナイト】を獲得しました。)
「スキル【オケナイト】発動!」
発動した瞬間、白いモフモフに包まれた騎士が現れた。
オケナイトって、あのモフモフに包まれた鉱石じゃなかったっけ?
俺の記憶が正しければ。
そして、今までステータスに表示されていなかった〈オケナイト〉という項目が表示されている。
どうやら、この画面を開くとこの騎士を操れるようだ。
それに、強くなると操れる数と、力が上がるらしい。
どちらにしても、このままではまともな戦力にならない。
でも、雑用なら使えるかもしれない。
試しに、近くある樹の果物を採らせてみることにした。
すると、従順に従い、果物を5つぐらい採ってきてくれた。
これには驚きだ。
しばらくそれを繰り返していたら、頭の中にピコン!と弾むような音がした。
レベルアップの音声だ。
まさか、こんなことをしているだけでレベルアップするとは。
よし、もっとこいつをレベルアップさせるぞ!
×一時間後。
俺はダンジョンの中に居た。
果物を取らせても、なかなかレベルアップしないのである。
堪忍袋の緒が切れそうになった時、レイブに、「ダンジョン行けば?」と言われた。
で、こうやってレベリングしてるわけだ。
ゴブリンを倒すだけでレベルアップするし、もう俺の今までの苦労は何だったんだと思うほどである。
でも、そのおかげで新しい〈オケナイト〉をもう一体作り出せるようになった。
それに、今気づいたことだが、こいつのステータスが俺のステータスに付与されていたのである。
これは結構、いいスキルなんじゃないか?
そんなことを考えながら、Bランクダンジョン初ボス〈ゴブリンリーダー〉と戦いに行くのだった。