ワルシャワ医科大学医学部1年 まとめ【解剖学】
お久しぶりです。
長くて短い1年生をやっと終えることが出来ました!
今は、2年生が始まって少し経った頃です。
僕の大学の1年生で1番重要な履修科目は、1学期と2学期に丸一年かけて受ける授業の、解剖学(Anatomy)と組織学(Histology)です。2年前から僕の通う大学では、システムが変わり1年生では履修しなければいけない全ての科目の単位を取らなければ退学になります😅
この記事では、解剖学について詳しく書いていきたいと思います!
組織学の事についてはまた別の記事を載せますので、そちらをみてください!
解剖学で学ぶ順番は以下のようになっています。日本語訳は割愛します。
<1学期>
- Osteology
- Central Nervous System (CNS)
- Head & Neck
~中間試験1~
<2学期>
- Thorax
- Abdomen
- Pelvis
- Upper limb
- Lower limb
~中間試験2~
~(Admission Exam)~
◎期末試験
~(Comission)~
★★単位取得までの道のり★★
■1学期目はひたすらオンライン■
2020/2021年度の解剖学は対面とオンラインの両方で行われる予定でしたが、1番最初の対面授業の後にポーランドでコロナウイルスの感染者が増加した理由で、全ての授業がオンラインに変更になりました。
通常、解剖学は教授の話を聞く授業スタイルの「レクチャー」と、実際に模型や献体を好きに見て回れる「セミナー」の2つに分かれていて、元々はレクチャーのみオンラインのはずでしたが、セミナーもオンラインになってしまいました。
オンラインのセミナーでは、授業の前半はそのトピックに合わせたビデオを見る時間+模型や献体に印が付けられて、その構造名を当てる時間に分けられていました。正直、解剖学をオンラインでやるには無理があるし、解剖学の勉強の仕方が分からず苦労をした1学期でした。
■成長した2学期■
2学期からはコロナが落ち着いてきたこともあり、対面授業も再開してこの頃にはようやく解剖学の勉強の方法が分かってきました。
大学が推奨している本は、「Moore, Clinical Oriented Anatomy」と言う本で、1学期はその本を使いながら勉強していたのですが、読む分量が多い上、説明がイマイチよく分からなくて自分には向いていないと思ったので、TeachMe Anatomyという解剖学の事が分かりやすく簡潔に書いてあるウェブサイトを使いながら勉強するようになりました。この勉強法に変えてから、解剖の知識がスラスラと入ってくるようになり最終的に期末試験をパスする事が出来ました。
■試験の構成■
ここまでは、大まかに各学期についてを書いていきましたが、1番気になるのはどのように試験が行われるかですよね!
僕が通っている大学では、大きく分けて2つの中間試験(1学期目 - 1月末、2学期目 - 6月上旬)と、最後に期末試験(6月下旬)があります。
◎中間試験
・MCQ (5択問題 / 1つのみ正解) → 60問 = 60点満点
・Practical (模型や献体に印が付いていて構造名を当てる) → 30問/1問2点 = 60点満点
このようになっており、2つの中間試験でMCQ、Practical共に合計で78点以上(65%)取らないと期末試験が受けられません。
MCQは臨床ベースの問題が出る事が多いのですが、ほぼ過去問が出るので、先輩から受け継がれている過去問集をやって対策をします。MCQの制限時間は60分間です。
Practicalは1ステーションに2個のピンが刺されており、その構造名を各ステーション1分(1問30秒)で当てるという試験です。この試験は何が出るのか分からないので、本当に運だと感じています。何を勉強するか、得意不得意それぞれの学生であると思いますが、広く浅くやる事が大切です。また、Admission Examに行くほとんどの学生はPracticalの点数が満たない人です。自分もその内の1人でした😅
◎Admission Exam
2つの中間試験でMCQ、Practical共に78点以下の人は、Admission Examという試験を受けて合格しないと期末試験を受けることが出来ません。僕の学年は約100人いる内60人がこの試験を受けました。
Admission Examはその年によってテストの形式が違いますが、今年はMCQでした。
Admission Examは期末試験を受ける上での最後の砦と言われていて、Admission Examを不合格となれば退学になります。
◎期末試験
2つの中間試験で65%以上取れている、又はAdmission Examに合格した学生は最後の期末試験を受けることができます。
期末試験の構成は、中間試験の問題が多いバージョンで以下のようになっています。
・MCQ → 120問 = 120点満点
・Practical → 60問(1問2点) = 120点満点
2つ共に76点以上で合格です。
1つ注意しなければいけないのが、Practicalです。60問中、最初の20問はBasic pinsと言って、基本的な構造名になっています。教授は基本的な構造名なだけに、全ての医師が知っていなければいけないと言う考え方で、Basic pinの20問中18問正解していないと他がどれだけ正解していても試験は不合格となります。
期末試験は本試験を含めて2回受けられるチャンスがあります。
最初は6月末、再試は夏休み後の8月末です。
ちなみに僕は1回目の期末試験で合格する事が出来ました!
◎Commission Exam
期末試験まで行き着いたけれども、2回とも期末試験で不合格になった学生はCommission Examというテストを受けます。Commission Examは受ける学生の数などにより形式が異なりますが、受験者が少ない場合は、Oral Exam(口頭試験)、多い場合はMCQ(筆記試験)というケースが多いそうです。また、Commission Examに不合格となった学生はその時点で退学です。
僕が聞いた話ですが、Oral Examの場合はほとんどの学生がパスするらしいのですが、僕の学年は20人Commission Examを受けた学生がいて、MCQの問題で合格したのは7人だったそうです😅
今までは過去問が出されていたみたいなのですが、今年は新しい問題がほとんどだったらしく、こんなにも合格者数が少なかったようです。
■1年生の退学率■
僕の通っているワルシャワ医科大学は、6年間ある医学部で1年生を生き残るのが大変だと言われており、1年生を無事終えることが出来ればあとは留年や退学をする事があまりなく卒業できるそうです。
と言うのも、記事の1番初めに書いてあるように、1年生では全ての履修科目の単位を取ることが出来ないと退学になるので、1年生はサバイバル感満載の年となります(笑)。
僕の学年は1学期が始まった当初は115人学生がおり、何らかの事情で1学期の試験前に自主退学した学生が15人で、実際に試験で合格出来ずに退学になったのは30人でした。今現在2年生へは70人の学生が進級しています。
■まとめ■
解剖学は試験を受けられる回数が組織学よりも少ないので、組織学よりもより慎重に勉強しなければいけない科目でした。退学になったほとんどの学生は解剖学が理由です。
ですが、毎日少しずつ勉強していれば退学になるという事はまずないと感じています。
ポーランドの医学部は他の欧州の医学部よりも試験の難易度がそこまで難しくないという理由で、同級生でもチェコやハンガリーの医学部で退学になった学生がポーランドの医学部に来る人も多かったです。
少しはイメージが掴めてきたでしょうか?
次回は、組織学の事について、詳しく書いていきたいと思います!
それでは!