戦略立案における誤解と成功するためのアプローチ
戦略立案を支援する際の違和感
戦略立案のご支援をする際に以下の様な場面に出くわすことがあります。
事例1:ある事業部長の方
「俺は戦略を考えるのが仕事であって、戦術を考えるのは現場の仕事だ」
この発言に違和感を覚えます。
戦略の定義は様々ありますが、少なくとも戦略が立案されたというのは、戦略が立案された時点で今から何をすべきかについて戦略を実行するメンバーが各自のアクションをイメージできる状態であるはずです。
事例2:ある会社の社長
「これからはDX戦略だ!」と号令をかけDX戦略室や、DX推進チームを作るだけに留まる
これは戦略を立案したとは言わないです。方針を出したに過ぎないですし、方針を出すだけなら誰でもできるじゃん、と思ってしまいます。
上記の様な場面に出くわすたびに、組織長として高い給料をもらっているのに、それはダメでしょ、、役割を果たせていないのでは?と思ってしまいます。
組織長としての役割・成果責任
組織長の責任として、組織長は自組織の戦略を描く必要があるはずです。
それなのに、戦略を立てられないまま組織のリーダーを続けているケースをよく見かけます。
おそらく、過去の戦略を続けていれば大丈夫だったので、自分でイチから戦略を描く必要がなかったのだろうと思います。
しかし、VUCAの時代と呼ばれる現代では、過去の戦略では通用しない企業が増えています。一方、適切な戦略を立てられない組織のリーダーが多くなっています。これは、十分な能力が備わっていないにもかかわらず、能力以上のポジションを任されていることが明らかになったためです。
組織長として何をすべきか
では、組織長として、自組織の戦略を描くためにまず何をすればいいのでしょうか。
戦略をシンプルに言うと、”これから何をするのか決めること”と言えます。
ここの定義を踏まえると重要になるのは①「これから」を予測する力と、②「何をするのか」を決める力であると言えます。
①未来予測(「これから」を予測する力)
まず①(「これから」を予測する力)についてですが、大前提として、未来のことは誰にも分かりません。ただ、未来のことを予測しようと努力することは可能です。では、どの様な努力をすればいいのでしょうか?それは、世の中(PESTEL)、顧客、競合がどうなりそうなのか持論を語れるようにすることです。この持論は日々アップデートしていいのですが、「現時点ではこう思う」というものを組織長は語れる必要があると思います。その上で、②「何をするのか」を検討します。
②戦略立案(「何をするのか」を決める力)
少し話が脱線しますが、そもそも企業とはどうやって成り立つのかシンプルに整理したいと思います。企業がお客様へ何かしらの価値を提供し、その見返りとしてお金をもらえてこそ、企業として成り立ちます。なので、何をするのかとは、誰に、どんな価値を提供するのか考えることと言えます。
まだこれだけでは戦略を立案したとは言えないですが、この基本的な部分を語れない組織長が多いです。(過去の戦略を推進することが得意な組織長はたくさんいますが、、)
「何をしているのか」(=過去の戦略)を語れる方は多いのですが、これから何をすべきか、を語れない人がほとんどです。また、語れたとしても、その考えが正確に他者へ共有できている組織は更に少ないです。
なお、上記の②の答えで本当に売れるのか(顧客がいるか)、儲かるのか(スケールするのか)、競合にも勝てるのか、自社でできるのかを検討する必要もあります。
組織長は、自組織が誰に、どのような価値を提供するのかを明確にし、その価値が顧客に受け入れられ、収益につながるのかを判断する必要があります。
単に過去の成功体験を踏襲するのではなく、常に新しい価値創造の機会を探求し、実行に移せるかが問われます。
上記の2つの力を発揮するためには、以下の点を意識することが重要です。
情報収集を徹底する: 業界動向、競合企業の動向、顧客ニーズなど、あらゆる情報を収集し、常に最新情報を把握する。
多様な視点を取り入れる: 社内外の人々と積極的に議論し、様々な意見を取り入れる。
仮説思考を鍛える: 確実な正解が存在しない中で、仮説を立て、検証しながら戦略を策定していく。
行動を起こすことを恐れない: 失敗を恐れずに、積極的に行動し、経験を積み重ねる。
まとめ
戦略策定は、組織長にとって最も重要な役割の一つです。上記のポイントを意識し、不断に学び、成長していくことで、自組織を成功へと導くことができるでしょう。
なお、戦略策定は一人で成し遂げるものではありません。組織全体を巻き込み、協力しながら進めていくことが重要です。組織長は、ビジョンを明確に示し、メンバー一人ひとりが戦略策定に主体的に取り組める環境を整えることが求められます。
真の戦略策定を通して、組織全体の成長を加速させ、持続的な発展を実現しましょう。