音楽×NFTの可能性-そもそもNFTって?
「NFT」というものが流行っている。漠然とそんな話を聞いたことがる、という人も少し増えてきたのではないでしょうか?
とはいえ、実際はほとんどの人がまだ、NFT?何それ?な状態や、聞いたことはあるけどよくわかってない、という状態かと思います。
NFTという言葉自体の説明を簡単にすると、「Non-Fungible Token」の略で、日本語にすると、「代替不可能なトークン」となります。
・・・は??ですよね。
あ、申し遅れましたが私はThe NFT Records(以下、NFTR)という音楽専門のNFTのマーケットプレイス(簡単にいうと音楽のNFTが売買できる場所)でマーケティングを担当している者です。
他にも音楽分野には、Feel Liveという特許技術の3Dホログラムでの音楽番組でのアーティストの演出技術提供や音楽を始めとした番組のCG制作、アーティストのライブ配信などを中心とした映像制作会社にも立ち上げから関与する形で関わってきました。
さて、話が少し逸れましたが、NFTとは?という説明からNFTRが何をやろうとしているのかというところまでをつらつらと記していこうかなと思いますので、なんかちょっと興味あるぞ、って方は読んでいただけると喜びます!
本記事に関してはかなり一般的なことを書いていこうかなーということで、玄人の方々は目新しいことはないと思いますので、先にお伝えしておきますm(_ _)m
ぜひ暖かい目で見ていただきたいと思っておりますw
1.音楽業界の今
さて、NFTの話をする前に少し音楽業界についての話をしようかなと思います。
まず、この図を見ていただきたいのですが、
引用元:https://www.nippon.com/ja/currents/d00262/
日本の音楽市場って実は世界2位なんですよね。図は2015年のもので古いですが、2020年も2,727億円で2位のままです。
ちなみに同2020年においては世界3位のイギリスは2,392億円、4位のドイツが2,333億円となっております。
参考:https://www.nikkei.com/article/DGXZQODZ104XI0Q1A310C2000000/
参考:https://completemusicupdate.com/article/uk-music-sales-reached-1-55-billion-in-2020/
参考:https://www.musicman.co.jp/column/386401
ちなみにイギリスとドイツが先程の図から比べて伸びているのは、サブスクやストリーミングといった配信の部分が大きいと言えます。
世界の音楽市場で見てもストリーミングの伸び率は明らかですね。(下図の青い部分がストリーミングです)
引用元:世界の音楽市場、2020年は7.4%増の売上216億ドルに到達。成長続く理由と世界が注目するアジア市場。IFPIレポートを解説: Music Ally
少し歴史を辿ってみると、2000年代に入り、レコードやCDといったフィジカルとは別のデジタルコンテンツという概念が誕生。スマホや高速データ通信等ストリーミング環境の普及により、アーティストが創造した作品を「所有」する事から、音楽データに「アクセス」するというサービスへと音楽の楽しみ方が変化してきました。
もちろん、それ自体は素敵なことだと思っています。私もそういったサービスのヘビーユーザーであるので。笑
ただ、誰でも手軽に大量の音楽データを楽しむことが出来るようになった一方で、貴重なアーティストの作品の価値が希薄化してしまっている点はあると考えています。
例えば、代表的な因子が「ストリーミング系の還元率の低さ」であると思います。
以下は主なストリーミングサービスのアーティストへの支払い額とされているものです。
Apple Music:0.0059ポンド(約0.8円)
Spotify:0.002〜0.038ポンド(約0.27〜5.17円)
YouTube:0.00052ポンド(約0.071円)
そして、続いてこう記載されています。
上記の支払い額は、レーベル、作曲家、アーティストに分けられ、アーティストへの支払い額は平均13%となっているため、Apple Musicの場合、1再生ごとにアーティストに支払われるのは0.0000988ポンド(約0.01円)という計算になります。すなわち、100円を稼ぐのに、1万回の再生が必要になることを意味します。
参考:https://iphone-mania.jp/news-321634/
上記からわかるようにストリーミングと従来までのCD購入などの収益を考えるとCDの方が単価で考えると収益性が高いことは一目瞭然です。
しかし、CDって今売れませんよね?日本ではまだCDはよっぽど売れている方で海外はもうCD文化すらないレベルです。
※アイドルのCD販売の形でよく見られるイベント参加券などがついて売れているケースは一旦除外して話しています。
しかも、上記でストリーミングの収益還元率の低さは述べましたが、ストリーミングのよさとして1再生される「毎」に収益が入るという構造があります。
この点は、単価は高いが何度聞いても収益が変わらないCDより優れる部分であると思います。
なので、アーティストの収益が最大化する理想はCD購入もされて、「視聴はストリーミングで何度も聞いてもらう」という形が理想となります。
ただ、しつこいですがCDは今基本的には売れなくなったんですよね。
そこで、ストリーミングとは別の軸でかつCDのようなフィジカルともまた違う形でアーティストの次の収益のスタンダードになるのが「NFT」であると考えています。
次からNFTについての話をしていきます。
2.NFTって何?
NFTとは、「NFT=偽造・複製が不可能なブロックチェーンを用いた証明書が付いたデジタル音源や映像、画像等のデータ」の事を指します。
※ちなみにこれから先に書いていくことはNFTRでの解釈という形で記していきます。
では、証明書が付くと何が変わるのでしょうか?それは、「誰がそのデジタルデータの所有をしているか」ということが明確になります。
そもそもデジタルデータというのは、所有するデータが本物かどうかを証明することが困難だったのですが、ブロックチェーン技術により、所有証明が可能となり、替えの効かない権利データ、つまり固有の価値や独自性を持ったデジタル資産として扱うことが可能になったというわけです。
所有証明ができることで生まれるメリットに関しては下記の様なものがあります。
・数量限定でデジタルコンテンツを販売することに価値が出せる
→所有証明できるので、「世界に貴方だけが持つ一曲」という概念がデジタルにおいて可能になります。
・二次流通が可能
→二次流通とは「自身が買ったNFTを他者に販売する」、という行為のことです。
平たくいうと、「転売」ですね。しかし、一般的に転売と言うとあまり良い印象を持たない方も多いのではないかと思うのですが、NFTのそれは普通の転売とは違う部分があります。
それは、ユーザ間同士の売買が成立すると、元のクリエイター(アーティスト)に転売された額のいくらかが手数料として入るという点です。さらに、これは転売される度に、なので永続的にアーティストは転売される度に手数料を得ることが可能というわけです。
例えば、今はまだ出たてのアーティストの楽曲を購入して、そのアーティストがメジャーデビューしたり著名になれば自然と作品の価値も上がりますし、その際に二次流通すれば買った金額よりもユーザ自身も高く売ることができ、アーティスト自身にも手数料が入るため、win-winになるというような具合です。
3.音楽×NFTでできること
音楽業界の現状とNFTについての部分を書きましたが、では実際に音楽NFTってどういうものを出すの?というところです。
結論から言うと、「今、その瞬間にNFTでしか手に入らないデジタルコンテンツ」であれば何でも良いのです。
何でも良いというと若干横暴でもあるのですが(笑)、音楽でいうとだいたいこういう切り口かな、というのが下図です。
・音源(未発表、先行、旧譜活用、カバー曲など)
・映像(MV、メッセージ、ライナーノーツ、XR系など)
・画像(未公開、デジタルサイン、トレカなど)
大きく分けるとこの3つですね。こう見ると、要素自体は特殊なものってないなぁ、とまとめていて改めて思いました。
ただ、あくまで上記は要素的な話であって、そこにアーティスト毎の特色やストーリーがクリエイティブに落とし込まれ、ファンとの深いエンゲージメントや購入に繋がるではないかというのが私見です。
例えば、音楽単体ではなく、アートと組み合わせて販売する(ジャケ写とかはまさにアートだったりしますよね)やストリーミングやCDとしても販売している旧譜だけど制作している際の様子の動画やトレカっぽいコレクティブ(集めたくなる)商品と組み合わせるなど、買ってくれる人、ファンがどういうものなら価値を感じてくれるのか、というところが大事になってきます。
もちろん何かを制作するには負荷がかかります。なので、安易に全てのアーティストさん、レーベルさんに全身全霊をかけてNFTをやるべきだ!というのは正直な話私も言えませんし、言いません。
ただ、「現状を変えたい」「新しい手法でやってみたい」という方には是非やってみていただきたいな、と思います。
ちなみに宣伝になりますが、NFTRではNFTデビューオーディションやDIY機能というアーティスト、レーベル自身でNFTを販売いただける機能の事前登録も行なっています!
4.The NFT Records β版について
本記事の最後は、NFTRについての話をさせていただこうと思います。現在、NFTRは7月にローンチしてからβ版として様々なアーティストさんのNFT商品販売をさせていただいております。
β版の特徴は次の様なものが挙げられます。
・音源、動画、画像をセット販売することが可能。
→通常、1NFTに1データなのですが、NFTRでは1セットに対して1NFTととして販売が可能です。
・数量限定販売やオークションの販売方法がある
→商品特性や意向によって販売方法の変更が可能です。
・avexテクノロジー社のA trustを採用
→高度なセキュリティでNFTの証明書が発行可能です。
・ガス代無料
→NFTマーケットプレイスに出品する際に必要な手数料(ガス代)が不要のため、気軽に始めることが可能です。
・クレジットカードでの決済が可能
→多通貨に対応が可能です。(日本円、USD、ウォン)※中華圏準備中
・多言語対応
→通貨同様に現在日本語、英語、韓国語に対応しています。
さて、こういった特徴があるのですが、少しここからは細かい話になります。
というのも、「そもそも仮想通貨を使ってないプライベートチェーンはNFTじゃないのではないか」という声があるのも認識しています。
弊社の場合、NFTに対して現在のNFTRにおいては、「"コンテンツアクセスの鍵"となる証明書を販売する」という概念を用いています。(現在の、としているのは後日別で出すnoteでNFTRの構想の話を書くためです)
コンテンツアクセスの鍵はavex technology社開発によるA trustを採用し、「The NFT Records」上で 音楽レーベルやアーティストが販売する数量限定のデジタル音源やファングッズといった限定デジタル商品の真正性を証明する、という形です。 これにより、多くのファンが安心・手軽に正規の限定デジタル商品を購入することができるというわけです。
そのため、現在のNFTRがβ版で目指すところとしては「まずはNFTの擬似体験をしてもらう」ことだと考えています。
日本ではまだまだNFTに対する認知度が低いです。特に、仮想通貨と紐づくことが多い技術ということで、生活に直結しないのではというイメージを持っている人も多いのが現状だと思っています。そのため、アーティストとファン双方に、音楽という切り口で所有体験を実感していただき、NFTの良さをもっと知っていただけたら、と考えています。
もちろんその中で、アーティストやファンの皆様の声をいただき、技術的にもビジョン的にもどんどん取り入れて音楽×NFTとしてのポジションを作っていければと私を始め、弊社全体でも思い、取り組んでおります。
5.結び
前述の内容と一部重複する部分もありますが、私自身NFTという切り口を活用することで、アーティスト・ファンの双方にとっての「資産」という概念を持つ時代を築きたいと願っています。
NFTはデジタルのものをフィジカル的に所有できる、言うなれば「デジカル」なものだと考えています。
証明書があることで、デジタルデータに資産価値を付加するのがNFTです。アーティストが自身の才能を発揮し、その結果として生まれた音楽をきちんと管理し、所有する。そうすることで、音楽は資産となります。また、これまではマスマーケットに向けて、どれだけの数の商品を売るか、何回再生させるか、という音楽の基軸を変化させ、本当に創りたい音を、聴きたいという限定されたファンが所有することを可能にします。その結果として、「世界にたった一つの曲を所有出来る」という贅沢な商品を創りだすことも出来ますし、また、ファンにとっても貴重な所有体験を得る機会になると思います。
また、こちらも前述したようにこうしたフィジカル的な体験と今現在主流となっているストリーミングを合わせる形でアーティストの収益の最大化を目指すこともできると考えています。
NFTはあくまでも手段の1つでしかないですが、それを活用することで、音楽業界の新しいマネタイズのみならず、マーケットのひとつとして、そしてスタンダードに昇華していければ、そんな世界が作れればいいなと思っております。
最後に、NFTRのTwitterアカウントがあるので、よれけばフォローしていただけると喜びます!(@TheNFTRecords)
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