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【有料級 | 人事はここを見ている vol.1】面接編

みなさま、こんにちは!メガベンチャーで人事責任者をしているりんりんです。しばらく、業務多忙につきnoteの更新がすっかり止まってしまっておりましたが、今回から連載型で人事目線でのコンテンツを投稿しようと思います。

今回は、人事はこういった観点・判断ポイントで面接時に候補者を見ているよという点で書いてみようと思います。


面接実績

面接時のポイントを解説しますなんて大それたことを言うならば、まず自身の面接経験を正しくお伝えすべきだと思います。

私は、上場前のベンチャー企業から人事(主に採用)業務に従事し、今では当社はIPOを経てプライム市場にも鞍替えしているメガベンチャーにて採用部門の責任者をしております。

年間で100~200名の採用実績があり、面接、カジュアル面談は転換率から勘がると相当数の方々と日々お会いをさせていただいており、かなりの候補者の方々の職業人生に触れてきた自負がございます。

なぜ匿名なのかと言うと、上場もしている企業であり、且つある程度の知名度にもなってきたメガベンチャー企業の人事責任者が企業名も公開して説明することは昨今のSNS界隈の情勢から鑑みてよろしいものではないため、匿名での発信となりますことご容赦ください。

公開する理由

では、なぜこんな生々しいことをわざわざnoteで公開するのか。
それは、候補者の方々が"誤った"面接対策や、ストーリーをお話しされることが多いこと。テクニック的なものが横行しているのか、本質的な会話に残念ながら繋がらないケースも散見されることがあるからです。
また、企業側も面接の手法が確立されていないことによって誤った評価のまま受け入れてしまうことが一定数生じているからです。

それによって、相互にアンマッチな状態での入社を迎えてしまい、結果的に双方にとって不幸せな結末を迎えることが散見されるからです。

少しでも自身の知見が世の中に役に立てばと思い、こんな観点で面接では見ているよというのを言語化して残してみようと思ったからです。

想定する読者

  1. これから面接を受ける候補者

  2. 企業の採用担当として面接を担当するリクルーター

前者の候補者の方が是非ご覧になってみていただきたいのは言わずもがな、後者のまだ面接慣れしていない、特にトレーニングも受けずに我流で面接をやっている面接担当者の方にも見ていただけたら幸いです。

着眼点単位で、おすすめの書籍などもご紹介しますので是非ご覧になってみてください。

着眼点①

着眼点の一つ目はコンピテンシーです。コンピテンシーの定義は以下の通りです。

コンピテンシー面接とは、応募者の行動特性(コンピテンシー)を評価基準として、採用面接を行う手法です。応募者の過去の経験に焦点を当て、質問を繰り返しながら、採用基準となる行動特性にどれだけ当てはまるのかを確認します。

つまり、その人の能力値、行動特性を見ています。よくある、コンサルティングファームで行われていたフェルミ推定みたいな思考力の速さみたいな能力を測るわけではなく、その候補者の特定の場面を深掘っていき、

  • 挑戦が必要な場面

  • 困難が訪れた場面

  • チームで成果を出す必要がある場面

などでどういう行動を執る方なのかを見させていただく手法です。

例えば、以下のようにコンピテンシーをレベル分けをしていたりします。

コンピテンシーのレベル( ≒ 力量)とその存在割合の肌感覚

このどこのラインを越える人を合格とするか、不合格とするかを企業によって基準を作ったりします。
弊社の場合はレベル3を最低限超えてないと合格にはならないです。
新卒のハイレベルを獲る場合はレベル4以上を採用者比率で20%は目指そうなどの目標を置いてます。

例えば、レベル4、5とはどういう行動なのかを一例で挙げます。

  • 学生時代にマクドナルドでアルバイトをしていた

  • マニュアルにはxxというルールがあったが、顧客のことを思うとyyが良いのではないかと考えた

  • そのyyの行いが店長にも認められでyyが新しい店舗でのルールに採用された(レベル4:創造行動)

  • そのyyがエリアマネージャーの目にも留まり、マクドナルドの店長同士のカンファレンスでyyの取り組みを発表し、社としての公式のルールに採択された(レベル5:パラダイム行動)

などです。ここまでの行動特性を持っている方はなかなかいないかもしれませんが、リーダー候補を採用するにはこういった創造行動、パラダイム行動ができる社員を一定数採用する必要があるので、特定の行動場面を面接時に聞き、どのレベルの行動特性を持っている方なのかを推し量るのがコンピテンシー面接となります。

着眼点②

着眼点の二つ目は「内省力」です。
言い換えると、ある特定の経験から何を学んだのかをしっかりと言語化できているかを見ています。

具体的な経験から抽象化すると何を学んだか、それは具体的に言うとどんな要素やエピソードなのかを聞いていくなど「抽象↔︎具体」の振幅を通じて深ぼっていきます。

質問を通じてこの抽象↔︎具体の振幅をしていきます

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今からこういった思考法について学びたい方にオススメなのは細谷功さんの具体と抽象です。弊社の人事では課題図書になってます。

この抽象↔︎具体を、別の言い方をすると「演繹法と帰納法」の思考の違いかもしれません。

新規事業などの答えがない世界で頑張ってきた候補者とかには、経験的に学んだものに抽象化した学び・答えを結論づけるのか、仮説をもとに具体的な行動で立証していったのかなどのその方の思考力を見ていきます。

演繹と帰納法の違い

特にこの思考法が求められるのは、

- 事業がアーリーフェーズ(確立した答えがなく高速にPDCAが必要)
- BIzDev(≠ 営業)
- PdM / PMM

的な方々です。なぜなら、初期フェーズは特に情報量が少ない中で演繹的に仮説を立てる動きと、帰納的に顧客に当てて検証していくというサイクルを高速に回していく必要があるからです。

着眼点③

着眼点の三つ目は経験学習サイクルを回せているかです。
二つ目と近く、その派生系と捉えるのが正確かもしれません。

経験学習サイクルの定義は以下です。

経験学習サイクルとは、経験から学び成長するためのフレームワークで、次のような4つのステップを繰り返すことで、経験を自分のものにして次のステップへと活かしていくものです。

経験:具体的な業務に自発的・意欲的に取り組む
内省:行動の振り返りを行う、フィードバックを受ける
教訓:経験を多面的に捉え、教訓、持論化(マイセオリー)する
実践:教訓に基づき行動し、新たな経験を得る

経験学習サイクルを継続的に繰り返すことで、気づきや学びを深め、非連続の成長を見せることができます。また、具体的な振り返りを実施して深く掘り下げていくため、ミスを予見して失敗やトラブルを回避できる力が備わります。

何か特定のエピソードからの場面をどう教訓としたのか。ここまでは着眼点の二つ目と似ています。経験学習サイクルの要諦はそれを活かして、他の場面でどう活用したかという学びを次に活かせているのかを問います。

何か特定のエピソードの学びの話を聞いたら、それを活かして成果に結びついたエピソードはありますか?みたいな形で、経験を活かしているのかを確認していきます。

特にマネジメント人材においては、個人での経験学習ではなく、組織として経験学習サイクルをどう回したかのエピソードを聞きます。

特に、日本人の優秀層は個人単位での決断や内省力は一定高い方が多いです。一方で欧米と比して、組織の中でのリーダーシップ、組織で学習を回していく経験を得ている方は少ないと言われます。
その方の実績が"再現性がある"実績なのか、たまたま偶発的に生まれた実績なのかを検証する意味でもこの経験学習を回した範囲・単位を着眼しています。

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経験学習サイクルについては、上記の本が非常に有名でオススメ本です。


着眼点④

着眼点の四つ目は、本人の行動特性やパーソナリティが形成されたであろう原体験を伺います。

例えば、何事も非常にやり切る力(=グリッド)が強い方がいたとします。その方に問うのは、

  • そんなにやり切る力が強いのはなぜ?

  • どういう環境で鍛えられた?

  • 何が原動力になっている?

などを聞いていきます。そうすると、深いところで辿り着くのが

  • 受験に昔失敗して見返したくて仕事を頑張っていた

  • 兄弟の中で一番自分が劣等感を感じていたので

  • 部活動が強豪で常に限界突破するよう求められていた為、行動基準が高い

など、それぞれのストーリーに辿り着けたりします。
人を選ぶ技術の著者であるグロービスキャピタルの小野さんの本で、ソースオブエナジーという言葉があります。
本質的には、同じことを言っており、同じ着眼点で見ているものだと感じました。その人を駆動する"なにか"を探りにいくというイメージです。

ソース・オブ・エナジー(≒その人の原動力)を視る

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このソースオブエナジー、原動力の大きさがその人の馬力の大きさに比例するので、ここを着眼点として見ていきます。


特にベンチャー企業の場合、大きなことを短期で成し遂げることが求められる事業体のため、圧倒的なエネルギー量の方の方が評価が高く活躍可能性が高いのは言わずもがなです。そのポテンシャルを図るために原動力を測るために見ていきます。

着眼点⑤

着眼点の五つ目は、その人の活躍する環境を探るという点です。
言い換えると、どういう状態が心地よい方なのか、どういう環境だと輝く人なのかを見ていきます。コンフォートゾーンとは別ではありますが、その人なりの合う環境がどういう環境なのかを見ていきます。

  • 答えがない中で自分が先陣を切って前線で戦うことが好むのか(新規事業、BizDev向け)

  • ある程度舗装された道の中で全速力走るのが合うタイプか(レイターステージの事業とかに合う)

などを推測っていきます。よく面接では数年後の未来から逆算して次のキャリアで求めることを聞きがちでありますし、それを明快に答えられないと逆算思考が足りないと減点されることがあると思います。私はそれは違うとも思ってます。

To-Do(何をしたいか?)ではなく、To-Be(どういう状態が心地よいか?)を言語化できていれば、自ずとキャリア選択が明快になると思っています。キャリア選択の誤りはここが起因していることもあると思っております。学生時代は自らサークルを立ち上げバリバリ自ら作る経験をしていて楽しかった人間が、大企業でガチガチに舗装された道から出れないことに居心地が悪かったり。逆も然りで、ずっと答えのある受験勉強で勝ち抜いてきた方が答えのなく、マニュアルなんて皆無のベンチャー企業に入って力を発揮できなくなってしまうのは、自己分析だけでなく、自身が活躍しやすい環境分析までを深いところでやれてないことが起因すると思います。

以前、自身が書いたnoteにてそういったキャリアに関する記事を投稿しました。もし読者の中で、「x年後に何をしていたいですか?」とか、「次にどんな経験・スキルを身につけたいですか?」などの質問の回答に窮する方がいたら、是非ご覧になってみてください。

まとめ

いかがでしたでしょうか?かなり赤裸々に書いたつもりではありますが、要約すると以上のような着眼点は、

・未来視点での面接でなく、過去に着眼したヒアリング
・考えを聞くのではでなく行動特性を測る

という面接手法になります。なので、「10年後の自分の姿を描いて次のキャリアで何を身につけたいですか?」とかの問いに答えられなくても全く問題はございません。あくまで、行動特性とその原体験を聞くことが正しい面接だと思っております。

着眼点の一つ目で挙げたコンピテンシー面接では、こんな言葉があります。

考えは嘘をつけるが、行動は嘘をつけない

よく、口が達者でとても優秀そうだと錯覚してしまう方もいますが、行動特性を深ぼっていくと以外にそうでもなかった、事実としてその人の周りのサポートがあって成し遂げられたことだったということがたまにあります。

なので、自身でも今一度面接を受ける際に、

・どこまでが自分の頭で考えて取り組んだのか
・どこをサポートしてもらいながら成果に繋がったのか
(チームでの成果エピソードも当然高評価ですのでご安心を!)
・今振り返ると、こうすべきだった。次に同じ機会があったらこうする!
(内省力、経験学習サイクル)

を是非、言語化してみてください。
これは何も面接があるからではなく、日々の仕事においても重要な観点ですし、マネジメントについた方は部下に常にこういった問いを投げかけてメンバーに言語化、構造化させる力を身につけさせることが重要です。

それが理論として体系立てられているのがカッツ理論というモデルです。上位役職者になればなるほど、概念化、構造化する力が求められるというものです。まさに、今回の着眼点の二つ目、三つ目の抽象↔︎具体、経験学習サイクルに通じるものですよね。

従って、こういった観点は面接だけでなく日々の仕事の中でも意識をすることで自身のビジネスパーソンとしての成長にも寄与するので是非意識してみてください。

最後に

以上になります。いかがでしたでしょうか?皆さんにとって少しでもお役に立てたら幸いです。

もし、模擬面接などを受けてみたい方などいれば、僭越ながら私が模擬面接官をしますので、お気軽にご相談ください。ココナラにてページを立ててみました。


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