モテないようで実はモテる、「隠れモテ女」がいい。
けらえいこの「あたしンち」は、サザエさん、ちびまる子ちゃんに次ぐ、ファミリー漫画だ。
この漫画の面白さはまた今度述べるとして、主人公の「みかん」の入っているテディベア研究会という部活に、「新田」という後輩が出てくる。
彼女はメガネで刈り上げで、決して美人ではない。
しかしテディベア研究会で、唯一、彼氏がいる。
このキャラクターに彼氏がいるってところが、私は「妙にリアルだな〜!」と思った。
テディベア研究会の子たちはみんな可愛いし、主人公のみかんだってけっこう可愛いけど、彼氏がいるのは、地味に、こういう子だったりするのだ!
そんな実感を持つのは、かつて私に苦い思い出があるから。
高校生の頃、クラスにちょっと、いいなと思う男の子がいた。
カレは目立つ感じじゃないけど、気さくで話しやすかった。
私のグループと一緒に学祭の準備をしていて、おとなしい女子が多い私の4人グループの中では、男友達が多い私が、そのカレとも一番たくさん喋っていた。
私はコッソリ、「学祭のときにチャンスがあれば、告白してみようかな?」なんてちょっと思っていた。
ところが、チャンスがなくて私は告白できなかった。
それどころか学校祭が終わる頃、彼にはいつのまにか彼女ができていた!
しかもそれは、私と同じグループの、おとなしいメガネ女子だった!
あれ〜?あんまりカレとその子が話しているところ、見なかったのに!
私の方が、カレと話してたし、仲がいいと思ってたのに‥。
向こうから告白されて、付き合うことになった、と話すその女の子。
私はとにかく、なんで??とビックリだった。
全然、2人が好き同士とかわからなかった。
ふたりが喋っているのも、ほとんど見なかった。
グループの他の子にも、「知ってた!?」と聞くけど、他の2人も全然知らなかったという。
確かにその子は、メガネ女子でおとなしいけど、可愛い。
確かにその子は、男子の友達はあんまりいないし、男の子と喋ってるところはそんなに見ないけど、男の子に話しかけられたらよく喋ってる!
私は、なるほど、と思った。
地味にモテる女の子は、自分からガンガン話しかけないけど、話しかけられて男の子と喋ると、きっとすごくいい感じで話ができる女の子なのだ。
そしてきっと、私にはわからないが、話した人を好きにさせてしまうのだ。
私みたいに散弾銃をぶっ放すがごとく、色んな男友達がいて仲良くするけど、誰にも恋愛的に突き刺さらない女子ではないのだ。
きっとピンポイントで相手を射抜く、スナイパーみたいな人なんだ。
勝手な憶測だが、きっと男子に「この子には俺しかいない」みたいに思わせるのが上手いんじゃないだろうか。
男友達なんか1人もいなくても、「この子と一番仲がいい俺」と思わせ、さらに「あれ?この子、よく見るとちょっと可愛いぞ。そしてこの子の魅力は俺だけが知ってる」とか思わせたら、きっとその子は相手を落とせるのだろう。
違うよ?君が可愛いと思う女の子は、きっと何人も可愛いと思ってる人、いるよ!
‥とモテない私は男の子に指摘したいけど、それをわからせないのが、「隠れモテ女子」なのだ。
残念ながら、私はこういうことを言っている男友達はよく見てきた。
小学校の同級生だった男友達と、大人になってみんなで一緒にキャンプに行った時、みんなで夜に小学生の頃好きだった人を暴露しようとなった時‥。
3人の男子が全員、クラスで一番可愛い女の子の隣にいた、地味に可愛い女の子「大西さん」が好きだったことが判明。
えー!と3人ともビックリしていた。
誰もその子がモテていると知らなかった。
そして余談だが、一番仲がいい女友達である私が好きだった人は、誰ひとりとしていやしねぇ‥。
ちびまる子ちゃんで言えば、美人の城ヶ崎さんより、その友達の地味に可愛い笹山さんが、一番モテるんだ。
そして笹山さんの魅力は、たいていの男子が知ってる‥けど、他の男子が知ってることを、男子は互いに知らない。
一番モテる女子は、おとなしくて一見地味だけど、実は可愛いコ。
男子と積極的に話したりしないけど、魅力を相手にだけピンポイントで届けられる、目立たないコなんだ。
そんなポジションの女子に、私もなりたい‥。
しかし私のポジションは、「あたしンち」でいえば「吉岡」、ちびまる子ちゃんでいえば「山田」、ぐらいのもんだろう。
それはクラスの「お調子者」ポジションだ。
チーン‥。