いつ起こるかわからない地震に備えてできる事~古民家編~
地震大国と呼ばれる「日本」
平成28年4月14日に発生した震度7の熊本地震や令和元年6月22日に起きた新潟県村上市で震度6強を観測した新潟・山形地震は、まだ記憶に新しいのではないでしょうか。
なぜ日本は“地震大国”と呼ばれるほど頻繁に地震が起こるのか。
そもそも地球の表面は、数十枚の巨大な岩の板で覆われています。これがいわゆる“プレート”というものです。このプレートは、毎年数cmずつ動いていてプレート同士がぶつかりあうなど力が加わり大陸を揺らす地震となります。このプレート、実は日本列島のまわりに4枚もあるんです。これがぶつかり合っているのですから、そりゃ日本も揺れますよね。
もうお気づきですか?そうなんです!
日本に住んでいる限り、どこにいても地震って起きるんですよね。今回はそんないつ起こるかわからない地震に備えて出来る対策を古民家編でご紹介したいと思います。
地震で家が潰れたのは
本当に瓦のせいだけなのか?
地震で怖いのは、家屋の倒壊です。
そんな時、よく耳にするのが瓦の話
「瓦は地震に弱いから危ない」
「瓦が重いから落ちるんだ」
「瓦なんて使わない方がいい」
なんて話しているTV番組をよくみかけます。
しかし、家屋が倒壊したのは本当に瓦のせいだけなのでしょうか?これには、ちょっとした誤解があるのです。なぜなら、地震で瓦が落ちるのにはきちんとした理由があるのです。
本来、瓦は葺き土(ふきつち)と呼ばれる土の上に乗っているだけの“土葺き(とぶき)”という施工方法が使われていました。年数が経てば土が痩せ、癒着力も落ちます。それにより、地震などでズレたり落ちたりするのです。しかし、これには先人たちの“知恵と想い”があるのです。
地震の際に一番大事なのは、人の命です。お金では決して買えないこの命を守る為には、あえて瓦を落とし建物を軽くすることで家自体が壊れないようにと考えられていたそうです。
しかし、阪神大震災以降に建築基準法が変わり、横桟木(よこさんぎ)と呼ばれる木と瓦の裏部分にあるツメを引掛けて釘を打つ“引掛け桟瓦葺き(さんがわらぶき)工法”が使われるようになりました。これにより重い瓦が落ちずに、重量に耐えきれなくなった家屋が倒壊してしまったというわけです。
瓦だろうと軽い屋根材だろうと、柱や梁・筋交いなどの量やバランスを考えた構造計算さえしっかりしていれば本当は地震にも耐えられるのです。
普段は見えない隠れた耐震補強
ここ数年人気の高い古民家。一般的には、建築後50年以上経過した建物を古民家と呼びますが、(一社)全国古民家再生協会によると「昭和25年の建築基準法の制定時、既に建てられていた”伝統的建造物の住宅”すなわち伝統構法とする」と定義されています。
よって、少なくとも築100年以上の住宅という事になります。
それだけ古い物件になると白蟻の被害はもちろん、旧耐震基準から新耐震基準への移行で震度6強~7程度の揺れにも耐えられるように設計しなおさなければなりません。家を支えるのにとても重要な太くて大きな梁や柱。それを守る為に、力を発揮するのが「制振ダンパー」です。
普段目に触れることはありませんが、地震が起きた時に建物の振動を低減させ建物自体を守ってくれる強い味方です。もちろん、普段は壁の中なので、目につくことはありません。
オシャレで美しい見える耐震補強資材
え、これが耐震補強になるの?なんて思ってしまいそうなくらい見た目もオシャレな「面格子パネル」
見た目の美しさを保ちつつ、通風や採光を兼ね備えた耐震補強資材です。
格子材の太さや間隔・角度を変化させることが可能な為、伝統構法にも柔軟に対応できる自由な空間づくりが可能になりました。
これにより、古民家ならではの芸術ともいえる技を施した伝統細工を残すことができ、さらに現代の技術として「面格子パネル」そのものが家と一緒に歴史に残っていく事となります。
まとめ
住まいだけにとどまらず、普段生活している中で「なぜそんな事になっているのだろうか」そう思うことは多々あるかと思います。それらは、必ずしも間違えではありません。物事には必ず意味があるのだと思います。目に見えている事実だけにとらわれず、陰に隠れた意味を探す努力も必要ではないでしょうか。
古民家にも、なぜそのような造りになっているのか理由があるのです。その良さを生かしながら、また弱点を補うことで現代の耐震基準を満たした立派な家にリノベーションできます。
そして、“伝える努力”と“知る努力”この両方の歩み寄りにより、先人の技術と伝統が守られ「ただの古い家」ではなく、「住み継ぐ家」として残っていけばいいなと思います。
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