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扉を出るとき


見送り。

名残惜しくても、ほんの数分だったとしても
その瞬間が、愛に溢れている人っていると思う。


「あーまたこの人に、この人達に会いたいな」

と思わせてくれる、見送られる側からのビュー。

優しい笑顔と、その笑顔を囲んでる
ベールのようなもの。

扉を出るとき、見送られたあと、何とも言えない温かな気持ちになる。

美味しいものを食べたり、お酒をシェアしたり
人生について話したり、家族みたいに一緒に過ごした時間が
その最後に凝縮されたような。


北海道。この風景がご近所だった時代

北海道に住んでた時に、いつも素敵なお見送りをしてくれる友人がいた。
その人を訪ねて、一緒に時間を過ごしたあと

冬の凍えるような寒さだろうが、
夜中まで飲んだり喋ったりして外が真っ暗であろうが
真夏の暑い日であろうが、
必ず玄関先まで出て
大きく手を振って、
”さようなら”
をしてくれた。
お見送りのお手本かと思う程、いつも変わらなかった。


北海道を離れるため、最後のご挨拶にお邪魔した際は

その人の見送りの向こう側に見えていた

どこまでも広がる青い空や
凍える空気の中で、眩しいくらいに光る太陽
(住んでいた道東、冬場独特の天気)
その全てがセットになって
記憶の中に保存されている。

あんなに安心感のあるお見送りは、絶対忘れない。

ここカリフォルニアでの暮らしでも
人種や文化や言葉を超えて、仲良くなった友人たちがいる。
そして、同じような瞬間に出会えている。
すごく幸せな気持ちになる。

人によっては、なんでもないことかもしれない。

でも、私自身としては
ちょっとした瞬間にその人達の
人間性を見るというか、
”あー、私はこの瞬間が好きだから
この人達を信頼できるし、
大切にしようと思えるんだな”
と再確認する。


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しばらく私のアトリエに、歌を習いにきていた生徒さんがいた。
学業で海外へ行くので
先週ちょうど、最後のレッスンを終えた。
別れ際に、ちょっとしたギフトとお手紙を渡したところ
これまでに見たことない表情で泣きそうになっていた。

普段はクールだけど、まだ幼さの残るお年頃、、
私の愛猫のことも大好きで
レッスンに来るたび会えることを楽しみにしていた。

しばしのお別れ、最後にうちの猫ちゃんを抱っこしてる時の
なんとも言えない眼差しが忘れられない。
ピュアで愛しかない、と断言できる
その瞬間を見て
私も泣きそうだった。


愛猫の〜びのび

ありがとう、と言いたくなる存在へ
見送るとき
見送られるとき

これからもその瞬間を大切にしたい、と思う。


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