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長編小説「ブルー・ブライニクルの回想録」

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こんな力は望んでいなかったのに ─── 人間からヒトになった僕の回想録 銀行員の“僕“は毎年訪れるクリスマスを楽しみにしていた。小さなお店で身の丈にあったクリスマスツリーを買う…
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#ファンタジー小説

長編小説「ブルー・ブライニクルの回想録」 第一章 第三話

第一章 第二話はこちらから↓ 第一章 第三話  世の中奇怪な出来事というのは自分の身に起こ…

米田梨乃
7か月前
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長編小説「ブルー・ブライニクルの回想録」第一章 第四話

第一章 第三話はこちらから↓ 第一章 第四話  あの日はクリスマスツリーを買って家に帰り、…

米田梨乃
7か月前
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長編小説「ブルー・ブライニクルの回想録」第一章 第五話

第一章 第四話はこちらから↓  外は変わらずの銀世界で、雪は何事もなかったかのように静か…

米田梨乃
7か月前
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長編小説「ブルー・ブライニクルの回想録」第二章 第一話

第一章 第五話↓ 第二章 第一話  百三十五年。世の中がどれほど変わろうとも、どれほど大き…

米田梨乃
6か月前
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長編小説「ブルー・ブライニクルの回想録」第二章 第二話

第二章 第一話↓ 第二章 第二話  突然声をかけてきたその者は、背は低いもののすらりとした…

米田梨乃
6か月前
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長編小説「ブルー・ブライニクルの回想録」第二章 第三話

第二章 第二話↓ 第二章 第三話  一人アパートへ戻ると、僕はこの忌々しい能力に再び激しく…

米田梨乃
6か月前
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長編小説「ブルー・ブライニクルの回想録」 第二章 第四話

第二章 第三話↓ 第二章 第四話  僕は努めて普通を振る舞おうとした。いつも通り、何事もなかったかのように。しかし目の前に広がる惨状は、前夜の僕の必死の努力を無惨にせせら笑っていた。  君を驚かせようと夜通し飾り付けをした。君の喜ぶ顔が見たかった。そうして華やかに飾り付けたはずのツリーの姿は、そこにはなかった。見るも悍ましい姿へと変貌していた。  どこを見渡してもあの美しいツリーの姿は見当たらない。君との幸せな時間となるはずだったその全ては、跡形もなく、見事なまでに凍り

長編小説「ブルー・ブライニクルの回想録」第二章 第五話

第二章 第四話↓ 第二章 第五話  何かが崩れるような音が、どこか遠くで、そして近くで聞こ…

米田梨乃
6か月前
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長編小説「ブルー・ブライニクルの回想録」第三章 第一話

第二章 第五話↓ 第三章 第一話  こんな形でここへ戻ることになるとは。僕は再び収容所へ、…

米田梨乃
6か月前
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長編小説「ブルー・ブライニクルの回想録」第三章 第二話

第三章 第一話↓ 第三章 第二話  夜明けとともに目の前が開け、一面に広がる草原が目に入っ…

米田梨乃
6か月前
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長編小説「ブルー・ブライニクルの回想録」第三章 第三話

第三章 第二話↓ 第三章 第三話  ここでの暮らしは規則正しく進んでいった。村は男の暮らす…

米田梨乃
6か月前
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長編小説「ブルー・ブライニクルの回想録」第三章 第四話

第三章 第三話↓ 第三章 第四話  この町での生活にも慣れ、一ヶ月ほど経った頃だろうか、僕…

米田梨乃
6か月前
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長編小説「ブルー・ブライニクルの回想録」第三章 第五話

第三章 第四話↓ 第三章 第五話  一九九〇年十一月三十日。それは僕にとって忘れたくても忘…

米田梨乃
6か月前
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長編小説「ブルー・ブライニクルの回想録」第三章 第六話

第三章 第五話↓ 第三章 第六話   一九七二年七月四日———  私としたことが、もっと丁寧にやらなくては!あんな強引にやってしまっては気づかれてしまうだろう!あくまでも丁重に扱う必要があるのだ、あの娘は絶対に壊してはならないのだから。   一九七二年十月十三日———  ああ、邪魔だ、邪魔だ。父親も母親も、あ の友人も。あの娘を囲む全ての人間が邪魔 だ。全てを排除してしまいたい。この力を 持ってして、それは簡単なことだ!  いや、早まってはいけない。あの娘を悲し ませる