長編小説「ブルー・ブライニクルの回想録」第二章 第五話
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第二章 第五話
何かが崩れるような音が、どこか遠くで、そして近くで聞こえたようだった。
僕に残されたはずの最後の救いは呆気なく僕の手から滑り落ちていった。もうそこに我が家はなかった。隣の家もさらに隣の家も変わらずそこに建っているというのに、我が家だけが姿を消していた。そこは更地となり、土地は売りに出されていた。
当たり前のことだ。数十年もの間、誰も訪れることなく、管理されることなく、空き家となっていたのだから。勝手に取り壊されたところで文句は言えない