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長編小説「ブルー・ブライニクルの回想録」

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こんな力は望んでいなかったのに ─── 人間からヒトになった僕の回想録 銀行員の“僕“は毎年訪れるクリスマスを楽しみにしていた。小さなお店で身の丈にあったクリスマスツリーを買う…
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#ファンタジー

長編小説「ブルー・ブライニクルの回想録」第一章 第四話

第一章 第三話はこちらから↓ 第一章 第四話  あの日はクリスマスツリーを買って家に帰り、…

米田梨乃
7か月前
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長編小説「ブルー・ブライニクルの回想録」第一章 第五話

第一章 第四話はこちらから↓  外は変わらずの銀世界で、雪は何事もなかったかのように静か…

米田梨乃
7か月前
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長編小説「ブルー・ブライニクルの回想録」第二章 第一話

第一章 第五話↓ 第二章 第一話  百三十五年。世の中がどれほど変わろうとも、どれほど大き…

米田梨乃
6か月前
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長編小説「ブルー・ブライニクルの回想録」第二章 第二話

第二章 第一話↓ 第二章 第二話  突然声をかけてきたその者は、背は低いもののすらりとした…

米田梨乃
6か月前
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長編小説「ブルー・ブライニクルの回想録」第二章 第三話

第二章 第二話↓ 第二章 第三話  一人アパートへ戻ると、僕はこの忌々しい能力に再び激しく…

米田梨乃
6か月前
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長編小説「ブルー・ブライニクルの回想録」 第二章 第四話

第二章 第三話↓ 第二章 第四話  僕は努めて普通を振る舞おうとした。いつも通り、何事もな…

米田梨乃
6か月前
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長編小説「ブルー・ブライニクルの回想録」第二章 第五話

第二章 第四話↓ 第二章 第五話  何かが崩れるような音が、どこか遠くで、そして近くで聞こえたようだった。  僕に残されたはずの最後の救いは呆気なく僕の手から滑り落ちていった。もうそこに我が家はなかった。隣の家もさらに隣の家も変わらずそこに建っているというのに、我が家だけが姿を消していた。そこは更地となり、土地は売りに出されていた。 当たり前のことだ。数十年もの間、誰も訪れることなく、管理されることなく、空き家となっていたのだから。勝手に取り壊されたところで文句は言えない

長編小説「ブルー・ブライニクルの回想録」第三章 第一話

第二章 第五話↓ 第三章 第一話  こんな形でここへ戻ることになるとは。僕は再び収容所へ、…

米田梨乃
6か月前
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長編小説「ブルー・ブライニクルの回想録」第三章 第二話

第三章 第一話↓ 第三章 第二話  夜明けとともに目の前が開け、一面に広がる草原が目に入っ…

米田梨乃
6か月前
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長編小説「ブルー・ブライニクルの回想録」第三章 第三話

第三章 第二話↓ 第三章 第三話  ここでの暮らしは規則正しく進んでいった。村は男の暮らす…

米田梨乃
6か月前
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長編小説「ブルー・ブライニクルの回想録」第三章 第四話

第三章 第三話↓ 第三章 第四話  この町での生活にも慣れ、一ヶ月ほど経った頃だろうか、僕…

米田梨乃
6か月前
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長編小説「ブルー・ブライニクルの回想録」第三章 第五話

第三章 第四話↓ 第三章 第五話  一九九〇年十一月三十日。それは僕にとって忘れたくても忘…

米田梨乃
6か月前
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長編小説「ブルー・ブライニクルの回想録」第三章 第六話

第三章 第五話↓ 第三章 第六話   一九七二年七月四日———  私としたことが、もっと丁…

米田梨乃
6か月前
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長編小説「ブルー・ブライニクルの回想録」第三章 第七話

第三章 第六話↓ 第三章 第七話  轟音が響き渡った。  突如として書斎は氷柱に包まれた。 「天よ、神よ、この告白を聞いていたでしょう!私は救われて然るべき!」  男は、彼の持ちうる全ての能力を解放した。積もり積もった怒りは、ただ凍らせるだけではない、万物を破壊するだけの力を持っていた。  書斎の壁はメリメリと音を立て、一瞬にして本が雪崩のように降ってきた。咄嗟に僕は机の下に身を隠した。それらは一瞬にして凍りついた床を滑るように流れてゆく。僕の頭上にある机も見事に凍り