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産まれるって爆発だ

「あれ?記憶していた痛みと違うな」

思っていた以上に痛かった。
こんなに痛かったっけ???と100回くらい思った。


待ち望んでいた二人目の出産。

不妊治療でお世話になったクリニック。心配と楽しみでドキドキしながら通った妊婦健診。ほんちゃんと三人家族の時間。
いろんな愛ある時を経て、ついに二月。
対面するときがきた。

二月に入ったばかりごろから、からだが「もうすぐ会えるよ」と言っている気がしていた。根拠はない。でも予定日よりは早く会えそう!と感じていた。

それでも仕事は、36週すぎてから代理の先生へ引き継ぎを終える予定。どうかその日まではお腹にいてね、と念じつづけ、なんとか産休入りして4日。ほんちゃんが発熱した。

なかなか熱が高いし、嘔吐もあるし。感染症も流行しているため小児科へ連れて行って検査するもなんでもなく。
上がったり下がったりの熱に翌日も振り回され「お姉ちゃん元気になってから出ておいで〜」とお腹に声をかけていた。
ところがお腹の張りはどんどん多くなってくる。

経産婦は早めに電話するように言われていたので、夜9時ごろ電話しクリニックへ行くことに。

車から降りる前にほんちゃんへ用意していた手紙を渡して、改めて行ってきますをした。
ほんちゃんと何日も離れるのは産まれてから5年、初めてのこと。お互い涙目で「がんばろくね」と約束をして力いっぱい抱きしめあった。

そのまま入院。
張りに耐えながらもしっかり眠れてしまって、明け方4時ごろ目覚めた。
よし、今日絶対に産む!と決意を漲らせて、スクワットとストレッチ。もりもり朝ごはんも食べた。

本陣痛が始まったのはお昼過ぎ。
気を紛らわせようと好きな音楽をかけてみたり、ラジオを聞くも、耐えられない痛みになってきて助産師さんに助けを求めた。

直行分娩室になるも、遠のいてしまって個室に戻され…を2、3回繰り返し。
立ち会い予定だったパパは、いつ呼べばいいのか定まらなかったのと、できるだけほんちゃんの側にいてもらいたかったが故に連絡するタイミングを逃してしまった。

いつのまにかもうスマホを触ることすらできない間隔まできてしまっていた。
身体が今にも爆発して飛び散って粉々に砕けそうな燃えるような痛み。深呼吸にだんだん声が混ざる。
「ゔゔぅ…ふゔゔ」
赤ちゃんが産道にメリメリと降りてきているのが分かる。

わたしの場合、股に頭が挟まっているのになかなか破水がなく、卵膜が破れない。
赤ちゃんがんばれ、がんばれと応援し続けどれくらい時間が経ったのか。

ようやく「パーーーン」と風船が弾けたかのような派手な破水。バシャーーンと助産師さんに羊水がかかり(ごめんなさい)更に痛みに火がついた。


足の震えが止まらない。
震えというと小さくブルブルするようなものを想像するけど「それわざと?」ってくらいにガグンガグンブルンブルン。揺れ幅が大きすぎる。こたつくつ下を履いていても足がとにかく寒くて冷たかった。

そしてなぜか「どうしよ、どうしよ」とずっと口にしていた。どうしようもなにも耐えていきむしかないのだけれど。。パニックを起こしていたのだと思う。


分娩台の手すりと助産師さんのツボ押しだけしか頼れるものがなかった。

ふといきみたくて仕方なくなり、それを伝えると分娩台がフォームチェンジ。
そろそろか?と担当の医師も顔を出す。
ほんちゃんのときも担当してくれたベテランマイペース先生だ。

助産師さんに「まだいきまないでねー」と言われても待てないほどもう出そうで「いやいや、もう出ます!出ます!!」と押し問答。

その傍ら薄い壁を隔てた前室のようなところから「ヒーーヒーーフーーーー♪」とのんびりのんびり、先生が言っている。なんなら少し音がついていて、こっちの部屋の壮絶な状況と先生のいる前室はまるで別世界だ。

産前に、いきむ時は目を開いて大きく呼吸する。サンシャイン池崎の「いぇーーーーい」を真似すると良いと聞いていたのでしっかりイメトレしていたはずなのに、、勢いのまま。

出ちゃう出ちゃう!!わーーーーーーーー!!!ほら、出ちゃった…!!!!

といったお産でプリッと出てきて、ゴポゴポと溺れてそうな声で泣いた我が子。
股の間から聞こえたその声だけで瞬時にこの子は元気だわ、と分かりホッとする。

呆気にとられるという言葉がピッタリ。
感動を実感するよりも超絶大きな声で「あーーーーーほんとにびっくりしたーーー」といいたいお産だった。

(なにがびっくりだよ。二人目だろうが。感動の涙!とかしろよ。その感想なんなんだよ)
と一人ツッコミが止まらない。
でも実際そうだったのだ。

何度考えてもお腹の中に人がいたなんて、産むまで実感が湧かないし単細胞だったころから見てきたからか。全てが神秘だと感じる。
やっとのことで顔をみて、この子がわたしの子なのかと不思議な気持ちになった。

シリコンみたいに立派な胎盤を先生方に誉めてもらい、見せてもらった。
「この子を守ってくれてありがとう」と胎盤にお礼を言ってサヨナラをする。
そんな人はあまりいないのか助産師さんにまた笑われた。


産まれた赤ちゃんも良好な状態で、元気に泣いて検査をひととおり終えて私の胸にきた。
ちょっと裂けた股の傷や、はちゃめちゃ押されて既にアザでもありそうなくらいの尾てい骨の痛みはもうへでもない。あの陣痛に比べたら。
そんな痛みさえも吹っ飛ぶ可愛さ。尊さ。

産まれた瞬間から自分の指をチュッチュと舐めて、ウトウトしてはこてんと寝てしまう。一生見ていられるほどの癒し。


産まれて二時間ほど、分娩台で安静に過ごす。
その間に遅れてやってきたパパと面会し、いろいろ考えて実感して。ジーンと涙が出てくる。
ここまで頑張ってきてよかったなぁと心からの感謝で溢れた。

そしてほんちゃんとこの子の人生を、必ず守り抜くと誓った。たくさんの幸福に包まれるよう祈りで守る。

この子たちの生きる未来が、よりよくあるために。わたしも精一杯の生き方をしていこうと静かに静かに決意した。


自分の記録のためのこのノート。
時間が経ってしまったけどここに記しておく。

ほんちゃんと赤ちゃんの日々も。
これからまた書き溜めている記事を少しずつ公開しよう

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