タイの列車にて、観光客で私だけお坊さん専用席に座ることが許された話
大学4年生の3月。
これは卒業間近にバックパックを背負って、タイバンコクで一人旅をした時に起こった、ちょっとばかし不思議な出来事。
バンコクに到着した次の日に、列車に乗ってアユタヤまで行った。
タイの列車には等級がある。
たしか、1等級から3等級まであった気がする。
1等級は、冷房完備かつ快速列車で金持用の列車。
それに対して3等級は、冷房なしのノロノロ走行車。
当時は学生でお金がなかったので、迷わず3等級を選択した。
お値段なんと15バーツ(約53円)!
これなら暑くても、時間かかってもなんでも我慢できるでしょ!?
早速チケットを手に入れて、列車に乗り込んだ。
しかし、どこに座ればいいのやら。
チケットに席番号は書いて、、、ない?
分からなかったので、
近くにいたお坊さんに聞いてみた。
すると、自身が座ってる横の席を指差して、
「そこに座れ」
と言われたので、
「ありがとうございます」
と伝えた。
私が座った席は、4人掛けのボックス席。
そこに1人で座り、列車の発車を待っていた。
周りを見渡すと、お坊さんもみんなボックス席に1人で座っている。
しばらくすると、次々と外国人観光客が乗り込んできた。
そこで私は気付く。
"私が座っている席はお坊さん専用ではないか!?"
お坊さん自身が観光客に向かって
「お前らはここに座るな向こうへ行け!」
って指示してるし、
よーく見ると掠れた字で「僧侶専用」って書いてある。
慌てて謝って、他の席に移動しようとしたら、
「あなたはそこに居ていい」
って言われたのだ。なぜだ?
しかも親切に窓の日除けをおろしてくれたりもした。
私が座ってるボックス席に
一般人が座ろうとするものなら私以外の人間を追い払うお坊さん。
なぜワタシだけ特別扱い?!
なんだかちょっと笑えてきてしまった。
列車が出発すると、車掌さんが切符を切りに来た。
案の定、席を移動しろと注意されたが、
それを見兼ねたお坊さんが、
タイ語で車掌さんに何かを説明してる。
車掌さんは、なるほど!って顔をしていた。
その後私に向かって
「楽しんでね!」
と、ニッコリ微笑んでくれたのだ。
やっぱ私はここにいていいんだ???
タイでは、僧侶は尊い存在。
本来はこちらが敬意を払うべき存在の方に
こんなに良くしてもらえるなんて、こんな貴重な体験中々ないよね??
なんで私だけが許されたのだろう?
日本人だから?
お坊さんと同じ色の服を着ていたから?
(これは絶対ないと思う。ごめんなさい。)
座ることを許可したお坊さんが偉い方だから?
答えはいまだに分からんけど、とても印象深い旅の思い出。
おしまい