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In Focus15-卒業生の現在-

展示している書籍のステートメントです。メモ程度に。

ぼくのおいしいは3でつくる』著=樋口直哉/辰巳出版

すべての写真撮影と、本文組を担当しました。樋口さんのアトリエで目の前で作る様子を数日かけて撮影し、撮影点数は2万点を超えていました。

AI親友論』著=出口康夫/装画=こいずみめい/徳間書店

著者の出口さんはとてもチャーミングな方だそうで、その雰囲気を感じられるイラストレーターを探しました。

白の劇場』著=恩田陸/河出書房新社

先駆けて発売された『灰の劇場』と遂になるデザイン。全ページレイアウトしました。年表やいろんなデータ部分の修正がとんでもなく大変だったことを覚えています。

『ドミノ』『ドミノ in 上海』 著=恩田陸/装画=若林夏/角川文庫

『ドミノ』の文庫はいろんなバージョンがありますが、若林さんのイラストは『ドミノ』にぴったりのにぎやかな絵だなあと思います。小ネタが散らされていて面白いです。
入社早々に恩田さんが好き!と言っていたら本当に恩田さんがいらしゃってびっくりしました。1冊目のロゴに合わせてタイポグラフィを作りました。

『spring 私家版』『spring』著=恩田陸/私家版、筑摩書房

恩田さんのデビュー20周年を記念して制作された私家版。東京バレエ団に取材に行き、実際に踊っていただいたものをパラパラ漫画化しました。すべての完成に2年ほどかかり、ライフワークのようでした。
私家版があったからこそ、単行本に入れることのできたパラパラ漫画は、大幅にコマ数を増やしたのでひたすら動画を見て調整しました。表紙の色が飛び散っているものは、画用紙に墨汁を散らしたものをスキャンしています。

「「spring」バレエ・プログラム・サウンドトラック 」編=恩田陸/発売元:(株)ソニー・ミュージックレーベルズ

書籍『spring』に合わせたもので、CDの盤面の色味が書籍と揃うように、色見本を見比べながら決めました。書籍から1色増えて5色になっています。

ルーマーズ 俗』著=堂場瞬一/河出書房新社

新しい表現で書かれた小説。鈴木さんに「登場するハンドルネームや記事の見出しを全部抜き出してカバーに入れたい」と言われ、本文を付き合わせながら必死で抜き出しました。

『無限の正義』著=中村啓/河出書房新社

物語に登場する土地の俯瞰写真を写真素材サイトから何十枚か探し、その中から一番内容に合うものを鈴木さんが選びました。

『覇王の轍』著=相場英雄/装画=太田侑子/小学館

警視庁捜査一課継続捜査班・田川信一シリーズのスピンオフ。イラストレーターさんの太田さんは描写がとても綺麗で的確なので、ミステリ系でとても活躍されています。

『アンダークラス』著=相場英雄/装画=太田侑子/小学館文庫

警視庁捜査一課継続捜査班・田川信一シリーズの一冊。親本は他事務所ですが、『覇王の轍』に合わせて太田さんにお願いしました。

『君はどう生きるか』著=鴻上尚史/写真=小野啓/講談社

写真は小野啓さん。高校生の引き込まれるような目線に、読者層である高校生はもちろん、書店で見つけるであろう保護者にも手に取りやすいデザインになりました。

『愛媛県新居浜市上原一丁目三番地』著=鴻上尚史/装画=しらこ/講談社

著者が高校の大先輩だというご縁で何冊か担当しています。大好きなイラストレーターのしらこさんに地元の景色を描いていただき、なんだか感無量でした。

『mitosaya薬草園蒸留所でつくる13のこと』著=江口宏志+山本祐布子/KADOKAWA

写真や図版がとても多いので、全ページレイアウトしました。

『わたしに会いたい』著=西加奈子/装画=西加奈子/集英社

西加奈子さんはご自身で装画を描かれます。題字も西さんの文字です。ダンボールに描かれた装画の撮影やレタッチを担当しました。西さん曰く「おっぱいの木」だそうです。

『くもをさがす』著=西加奈子/装画=西加奈子/河出書房新社

西さんが描かれた蜘蛛のイラストを全面に使おうとしたところ、予想外にリアルだったため手に取れない編集さんが続出し、今のデザインに落ち着きました。

『東京の生活史』『大阪の生活史』編=岸政彦/筑摩書房

本の構成の特殊さから、第1弾は全組みしました。150人分の原稿を読み、流し込み、修正していく作業は千本ノックのようでした。
東京に続いてノウハウができていたので、文字組みは印刷所にお願いしています。おかげで全ページ読み切れていません。

『自分が嫌いなまま生きていってもいいですか?』著=横川良明/装画=millitsuka/講談社

web連載時からイラストをmillitsukaさんにお願いしていたとのことで、引き続き装画をお願いしました。やや俯瞰でいろんな部屋がある=さまざまな個性の人がたくさんいるというイメージを伝えて描いていただきました。

『聖女か悪女』著=真梨幸子/小学館

石膏のマリア像に絵の具や血糊を使って汚したり、ワイングラスを割ったり倒したりして装画を作り、撮影とレタッチも行いました。

『半暮刻』著=月村了衛/双葉社

同期とその先輩に協力してもらってモデルになってもらい、ポリゴン化しました。当初の構想では、ポリゴン化した主人公をカバーに使用する予定でしたが、紆余曲折あり見返しに使用することになりました。

『Q』著=呉 勝浩/装画=POOL/小学館

加工や紙の制限がほとんどない豪華仕様の本になりました。Process4C+マットp.p.+箔+UV厚盛り。イラストはPOOLさんで、何度も修正をお願いして納得のいく装画を目指しました。

『凡者の合奏』著=片岡健太/写真=ヤオタケシ/KADOKAWA

あまりにもsumikaが好きすぎて撮影にも立ち会い、全組みして、ラフ用に書いたタイトル文字がそのまま採用されるという、思い入れの強い1冊になりました。

『メガネとデブキャラの漫画史』著=南信長/装画=天久聖一/左右社

下手すると炎上するのでは?というタイトルを、どうマイルドに見せるかが一番の議論でした。天久さんのポップで嫌味のないイラストが合っていると思います。

『八月の母』著=早見和真/KADOKAWA

実際にあった事件をもとにフィクション化された作品で、鈴木さんが物語の舞台になる地域まで行って撮影しました。

『牛乳配達ダイアリー』著=INA/リイド社

漫画のセリフ入れまで全て行いました。カバーの牛乳瓶は、実際に作者が配達していた瓶で、この形の瓶を探すために都内を駆けずり回りました。

「STORY BOX」表紙写真=伊丹豪/小学館

締め切りがきっちり決まっている定期物。連載小説の扉に使用するイラストレーターさんを探したり、自分が撮った写真を使用したりと、アイデアがたくさん採用されて楽しかったです。


In Focus15 -卒業生の現在-
2024年10月19日(土) - 11月24日(日)
[開館時間]10:00-18:00 入館無料
[休館日]水・木曜日
MOU尾道市立大学美術館

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「In Focus −卒業生の現在−」は、尾道市立大学を卒業・修了後、創作活動を継続している若手作家を紹介する企画で2010年より回を重ね、今回で15回目を迎えます。卒業生支援を重要な目的として掲げるMOU尾道市立大学美術館において、最も重要な企画展のひとつです。

今回は平林美咲、大場真美、大島愛の3作家を紹介します。 平林は鈴木成一デザイン室に勤務し、書籍のデザインに携わりながら、「紙作室そえがき」名義でグラフィックデザインを行っています。厳選された要素を用いた端正なレイアウトで、質感やものとしてのありようなど、その出力形態にも注目した作品を制作しています。また、日常空間を切り取った写真撮影を行うなど、デザインワークとは異なるアプローチでの表現も継続しています。大場は日本画画材を用いて、主に不安や焦燥感などの感情を、植物や人物など身近なモチーフを描くことで可視化する作品を制作しています。主題は一見ネガティブですが、自身の感情や身近な対象をありのまま受け入れ、それに寄り添う眼差しを感じさせます。近年は浜辺の石と砂が織りなす表情に着目し、死生観を意識した作品を制作しています。大島は、絵画・ドローイングを軸に、自身のイメージに基づき立体、映像など様々なメディアを横断・複合しつつ創作活動を展開してきました。主として人物の表象を用い、その表情や色彩が喚起する感情など内面の問題を表現してきましたが、最近、より長い尺度の時間と関係性を可視化する人物群像を描く作品を制作しています。

メディア環境の急速な変化により様々な作品をデジタル上でカタログ的に鑑賞・収集・消費することが可能となって久しい現在ですが、それぞれの媒体のメディアとしての存在感を尊重する試みを実践している3作家の作品に直に触れることによって、どのような感覚的な刺激が発生し、そこから何が喚起されるのでしょうか?会場にてぜひご覧ください。

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■アーティストトーク
11/10(日) 14:00〜(申込不要)
会場:MOU尾道市立大学美術館

自費出版・完全手製本で冊子版星屑を制作しています。第三弾の制作費のサポートよろしければお願いします!