101.四神
今回はちょっとつまらないお話しをします。私のライフワークの研究の中からの、よもやま話です。
「スバル」という名前はご存知のことと思います。日本の車のメーカー名でもありますし、谷村新司さんの歌の「昴」でも知られていますよね。
星の名前です。正確に言うと「星座名」ではなくて「星宿名」です。
ご存知の方にはくどい説明になりますが、「星座」は西洋の星の組み合わせに付けた名前です。「星宿」とは、古代中国で付けた星の組み合わせに付けた名前です。
「スバル」は「星宿名」の日本語読みです。古代中国では「昴(ぼう)」と読みます。スバルがある星座名は「プレアデス」です。私が地球にやって来る前に住んでいた星がある星座だと、勝手に決めつけています。
もともと古代中国の夜空の星の研究は、飛鳥時代には日本に入って来ていて、キトラ古墳の壁画の天井に描かれていることが知られています。
キトラ古墳の四方の壁には、想像上の動物の絵が画かれています。
東の壁には、「青龍」西の壁には、「白虎」北の壁には、「玄武」南の壁には、「朱雀」が動物というよりは、「禽獣(きんじゅう)」と呼ぶ、神の使いの獣です。
この「禽獣」たちは何の役目をするのかといいますと、その方角を守る役目を持っていると考えられています。
四方を禽獣が守ることで、中にいる人達は守られると言う考え方です。平安京にもこの禽獣を守りにしていました。都を守ることをしていたのです。
この四方の禽獣を、「四神(ししん)」と呼びます。「しじん」と呼ぶこともありますが、正しくは「ししん」です。
その四神が生まれた所が、夜空の星宿からなのです。全天の夜空に定められた星宿は、それぞれの禽獣を形作っています。
ここで全天とは、一夜で見える星ではないことに注意しなければなりません。
1年365日の夜空に見える星のすべてのことを言います。地球は1日1回自転をしていますが、太陽の周りを365日かけて1周しています。そこで見えるすべての夜空が全天です。
そこに定められた星宿をつないで、四体の禽獣としました。
でも全天に東西南北は存在しません。そこで定められた基準の星宿が「張(ちょう)」です。そこに四神の鳥である「朱雀」を定めて「南」としました。なぜ「朱雀」が「張」なのかというと「張」と「鳥」が同じ発音の「ちょう」だからということです。
それに意見を言う方は、どうぞ古代中国で定めた方に申し述べてください。
語呂合わせで神様の場所を決めていいのか、私にはわかりませんので。
このように天空の禽獣が人びとを守護する役目として、都や城下町を建設する際に様々な形で作られました。
京都の「朱雀大路」などはその名残です。ちなみに、「スバル」は白虎に位置しています。
各禽獣は七つの星宿でできています。七つが四体ですから、二十八宿になります。最後に四神の星宿の和名を載せておきます。
青龍
す
あみ
とも
そい
なかご
あしたれ
み
玄武
ひつき
いなみ
うるき
とみて
うみやめ
はつい
なまめ
白虎
とかき
たたら
えきえ
すばる
あめふり
とろき
からすき
朱雀
ちちり
たまおの
ぬりこ
ほとおり
ちりこ
たすき
みつかけ
白虎のすばるのところに「たたら」がありますが、昔はその星宿が見えて来ると、刀の製鉄の「たたら」を始める目安にしていたといいます。
今は意味不明の呼び名ですが、日本の古代の言葉であったはずだと思います。
「言語道断」を「えめら」と読んでいたということは、以前ノートでお話ししましたが、失われた日本語が星宿名に残されているのかもしれませんね。
今回はこの辺で終わります。ちなみに今思い出したのですが、平安時代や鎌倉時代には「北極星」はありませんでした。その昔「太一」を北極星のことと勘違いしていたこともあったようですが、1500年代半ばになって、ヨーロッパに記録が見えてきました。北極星は動かぬ星では無いのです。地球がコマのように軸をずらしながら自転する「歳差運動」をしているから、見える星が変わるのです。ちなみに、歳差運動が1周するのには、約二万六千年かかります。この歳差周期には、地球の秘密が隠されているのですが、機会があればお話しします。
今回も読んで下さりありがとうございました。感謝いたします。