愛してナイト
故・多田かおる先生の古い漫画。お好み焼き屋の看板娘やっこと、ロックシンガー剛とのドタバタ恋愛漫画です。
大阪のお好み焼き屋「まんぼう」お父ちゃんと、娘やっこ(本名は八重子)で毎日お店を切り盛りしています。お父ちゃんは演歌を好むので、店ではいつも演歌が流れています。
お父ちゃんのお馴染み客がほとんどですが、ひとりだけ若いお客がいます。大川里美さん、ロングヘアに綺麗な顔立ち、物腰が柔らかく優しい青年です。
里美さんはゲイバー勤めだそうで、やっこはおかまさんと思い込んでいます。
やっこは大学で、自分の隣で爆睡している派手なお兄さんと出会います。
前髪は真っ赤、それ意外は真っ黄、腕にタトゥー、八重子ちゃんか、かわいいねと軽口をたたき去っていきました。
やっこはよく近所の子供と野球をしますが、そこで可愛げのない猫ジュリアーノ、飼い主の男の子・橋蔵ちゃんと知り合います。橋蔵ちゃんから帰り際に「やっこちゃんか、かわいいね」と言われます。そこで先日出会った派手派手お兄さんを思い出します。
大学で友達の五十鈴ちゃんからロックバンド「ビーハイヴ」のライブへ行こうと強引に決められ、ライブハウスへ生まれて初めて行くことになります。
途中、橋蔵ちゃんに会い、五十鈴ちゃんも道に迷い「ルーズ」という名前を聞くと、橋蔵ちゃんはこっちいくの、こっち、こっちと言われるまま行くと、無事たどり着きます。
会場内に入ると、中は物凄い音、それに負けないくらい叫んでる女の子。ジュリアーノがステージにあがってしまい、ボーカルが慣れた手つきで抱きかかえ、よく見ると大学で見た派手派手お兄さん、キーボードは里美さん、橋蔵ちゃんが「あのお歌うたってるのが、ぼくのお兄ちゃんなの」と。里美さんのゲイバー勤めが嘘であることがわかります。
ボーカルは剛といい、ビーハイヴでいちばん人気のスター、やっこに軽口を言うと、ファンの女の子が、剛のなんなのと色めきたつと、里美さんが珍しく厳しい口調で「その娘にさわるな」と一喝「やっこちゃんを好きなんだ」と、里美さんから告白を受けます。
剛もやっこに好意を持つようになります。ロックコンテストがある前日、橋蔵ちゃんが肺炎を起こしますが、峠を越え、一位獲ってきてとやっこにことづけ、剛は「やっこちゃんが好きだよ」と…
やっこも自分が剛を好きなことを自覚し、同じく剛を好きな五十鈴ちゃんとも気まずくなります。バレンタインの日、剛と初キスを交わします。
ビーハイヴは東京へ遠征、シェラというオネエ言葉をしゃべる男性と、そのお友達の真理乃さんという女性と知り合います。シェラは東京の人気バンド「キッスレリッシュ」のボーカル、真理乃さんはマネージャーです。
ロックコンテストがあり、真理乃さんが交通事故に遭ったという話を聞き、シェラの顔色が変わります。真理乃になにかあったらあたしどーしたらいいのよとかなり錯乱します。
真理乃さんは軽傷で済み、お腹の赤ちゃんも無事だという話をしており、なんのことかわからない剛とやっこは?を頭に張り付けていると「あたしたち夫婦なの」と初めて明かされます。
真理乃さんの無事がわかったシェラは絶好調で、見事優勝、ビーハイヴは二位、大健闘です。ビーハイヴ一行は東京でいい経験をし、いい友達ができ、大阪へ戻ります。
五十鈴ちゃんは剛との失恋のあと、ビーハイヴのギター英次と、徐々にお互いを意識しあうようになり、五十鈴ちゃんは英次にプロポーズされます…
ライブハウスを借り切って、シェラたちも呼んでの結婚式で、マネージャーの山田坂さんから、剛と別れてくれと言われます。
やっこは剛と別れることを決め、剛は失恋の傷から、ステージの上で酒を飲んだり、プレイボーイ業に精を出しはじめます。橋蔵ちゃんも、やっこに会ってはならないと剛から言われ、それでもこっそり会いにきます。
子供が生まれたシェラは家族総出で、ビーハイヴのデビューライブを観にきます。実はやっこは、山田坂さんから剛と別れて欲しいと言われたことを真理乃さんに話していて、剛がやっこと別れたという話を聞き、そこで山田坂さんの口から、おれが八重子さんに別れてくれってたのんだ、聞いた剛は激昂。
山田坂さんは「おまえだって有名になって金もうけたいんだろ、それにはスキャンダルはいまいらないんだよ」と。剛は自分に、そんなもののためにロックやってたのかと自分に問いかけます。
結局、やっこも剛もお互いの気持ちを抑えられず、ようやく再会でき、結ばれます。
その後、剛がしばらくメンバーたちと東京へ拠点を置くため旅立つ、橋蔵ちゃんも連れていくという話になります。橋蔵ちゃんは嫌だと大騒ぎ、けど剛は、この仕事でやっこちゃんを食わせたいと宣言。
やっこも、橋蔵ちゃんとジュリアーノを預かる、だから早く帰ってきてと約束。
久しぶりに、三人でデートの日、やっこが剛とライブに行きたいと、ライブハウスへ行きます。
行くと、出演はパンクバンドばかり、見ると綺麗な顔立ちをしたボーカルがパンクを歌っていました。危ないから出ようと早めにライブハウスをあとにします。
ある日、お父ちゃんが求人の貼り紙をしたところ、前髪を垂らした若い男の子が「ここ求人してんでしょ、じゃあおれ、ここではたらくよ」と。よく見ると、ライブハウスで見たパンクの男の子でした。
もちろん、お父ちゃん橋蔵ちゃんは大反対。でも結局、彼はあっさり採用されてしまいます…
彼は北大路良太郎、20歳、でも実は17歳の高校生です。よく働くし、お好み焼きを焼くのも上手いので、お父ちゃんのお気に入りになります。
実は良太郎くんは、ビーハイヴの大ファンで、やっこより前からライブに通い、目標はいつも剛で、やっこが里美さんからステージで告白されたこと、剛の恋人になったことも知っているほどです。
まんぼうに入り込んだのは、二人の仲を引っ掻きまわしてやろうという好奇心でしたが、良太郎くんもやっこに本気で恋しました。
ビーハイヴにも変化があり、ベースの杉さんが、ビーハイヴをぬけると言い出します。お父さんが倒れ、実家の呉服屋を継ぐといって脱退。恋人のいづみさんを連れ、京都へ帰ってゆきました。
やっこが東京に帰らないでと駄々をこねると剛も怒りだし、港をぶらぶらしているとドラムの音がします。音のする方をのぞくと、倉庫の中で良太郎くん率いる因数分解が練習しています。
バンドの連中も、とても気のいい男の子たちで、良の彼女と気さくに声をかけてくれ、二人連れ立って帰ると、やっこは心配していた剛に頬を張られます。
良太郎くんも怒り、お父ちゃんもやっこのむこはんは良太郎はんやと声を荒げ、結果、喧嘩別れしてしまいます。
結局、橋蔵ちゃんは剛と東京へ行かなくてはならず、会えたのはロックコンテストの日。
まんぼうでも、ロックコンテストの番組がついていました。常連たちが、このあんちゃん、良太郎はんに似てへんかと声をあげ、見ると良太郎くん。
結局、優勝したのはビーハイヴ、因数分解は審査員特別賞、良太郎くんはみんなの前で、ビーハイヴの剛くん、結婚すんだってさあと言ってしまいますw
良太郎くんは、コンテストで負けたら身を引く約束だったので、約束どおり身を引きます。良太郎くんはメンバーの前で涙します。メンバーは慰め、メンバーが優しいなと、ジンときました。
やっこは剛にプロポーズされていたので、大阪にもどり、剛はお父ちゃんに「やっこちゃんおれにください」と。お父ちゃんは涙ながらに、やっこのことよろしゅーたのんまっせと承諾。
まんぼうで結婚式を挙げることにして、ウエディングドレスは五十鈴ちゃんといづみさんで作ったもの。とても可愛いです。やっこは幸せになりました。
私、実は、剛が好きじゃないのです。遊び人だし、いつ浮気に走るかわからないし、すぐ人を殴るので。
私は里美さんか良太郎くんがいいと思っていました。里美さんは優しいし紳士だしで、里美さんを振ってしまうのは勿体ないと思いました。
良太郎くんも、惚れた女には一途なようで、剛のように遊び散らかしたりしなさそうで、どちらもやっこを泣かせることはしないと思います。私は剛にいい印象を全くもっていません。
五十鈴ちゃんが剛に失恋したあと、英次さんとラブラブ夫婦になり、五十鈴ちゃんが幸せになってくれたのはよかったと思います。
やっこが冒頭からラストまで、ふらふらした気持ちのままいたのは若干イラっとしました。寂しいとき、優しくしてくれる男性がそばにいたら、そちらに惹かれる気持ちはわからなくもないですが。
五十鈴ちゃんは好きな男には真っすぐで、やっこのようにふらつきません。私、やっこもあまり好きでないです(笑)五十鈴ちゃんが好きです。
里美さん良太郎くんは、やっこを置き去りになどしないと思います。彼女に寂しい思いをさせる剛はダメ男と思います。男性陣は里美さん良太郎くんシェラが好きです(笑)
寂しい思いをさせているのに、そばにいてという言葉に怒りだす剛も自分勝手と思いました。
愛してナイトは文庫版だと全4巻で、たぶんBOOKOFFなどに行けば揃うはずと思います。私はまだ持ってます。
ロッカーとの恋、楽しみたい方、是非どうぞ♪