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キャンディ♡キャンディ

いがらしゆみこ先生の代表作。古い作品ですが、大好きな作品です。

孤児である主人公・キャンディが、明るく逞しく生きていくストーリーです。

孤児院「ポニーの家」で育ったキャンディ。キャンディはお転婆で気の強い女の子です。同胞のアニーと大の仲良し。反対にアニーはおとなしく気が弱い子で、正義感の強いキャンディはいつもアニーを守っている、姉妹のような親しい間柄でした。

アニーは養子にもらわれ、しばらく文通していましたが、アニーは孤児院出身であることを新しい友達に知られたくないと、キャンディに別れの手紙をよこしてきます。

泣いていたところを、変わった格好をした青年が声をかけてきて、青年はバグパイプを持っており、吹くと「カタツムリがたくさんはったような音ね」とキャンディが笑うと青年は「おじょうちゃん、きみは泣いた顔より笑った顔の方がかわいいよ」と言って去ってゆきます。

青年が去ったあと、銀色の綺麗なバッジが落ちていて、青年が落としたものだろう、いつか会えたときに返そう、持っていればまた会えるかもとキャンディが持つことにします。青年を「丘の上の王子様」と呼び、キャンディの大切な思い出のひとつとなります。

キャンディにももらわれ先が決まります。ですがお金持ちのお嬢様の遊び相手としてもらわれるようで、内心はがっかりするものの、自分で遊び相手になるならとすぐに頭を切り替えます。

もらわれ先の兄妹、兄ニールと妹イライザ、このふたりが根っからの性悪で、家庭教師が18人も代わっているという筋金入りです。

イライザ兄妹からいじめられて泣いていると「泣かないで」と、丘の上の王子様そっくりの青年から声をかけられます。その青年はアンソニーといい、キャンディの初恋の人となります。

ある日、ボートに乗った青年が助けを求めており、キャンディは得意の投げ縄で青年を助けます。
青年は泳ぎには自信があるが、いま着ているブラウスを濡らしたくないという理由から湖に飛び込まなかったのだとか。青年はアーチーといい、少々キザですがとてもハンサムでおしゃれ。キャンディに好感を持ち、手にキスをしてゆきます。

イライザの家は、アードレー家という由緒あるお家と親しく、パーティに参加することが決まっています。買い物に出かけ、そこで置き去りにされ、街中で眼鏡の青年・ステアと知り合います。発明が趣味の変わり者ですがとても気のいい青年で、やはりキャンディに好感を持ったようです。

そしてパーティ当日、そこでアーチーとばったり出会います。アーチーはケーキをほおばり、頬にクリームをつけていて、クスっと笑ったキャンディは「誰です、いま笑ったのは!」と一喝され、キャンディは怯えがらも申し出て、アンソニー、ステアもいます。このとき、アーチーとステアは兄弟、アンソニーはアーチー兄弟の従兄弟ということがわかります。

パーティで、アンソニーと踊ったキャンディは、イライザに妬まれ、その後、部屋を馬小屋にされ、使用人として毎日働かされます。

ある日、アルバートさんという男性と知り合い、なにかあったら南風の吹く日に、小瓶に手紙を入れて流すようにと言われます。

キャンディはいずれ、もっとひどいところへたたき出してやると宣告を受けており、そのことを手紙に書いて小瓶を川へ流します。

イライザたちから泥棒の濡れ衣を着せられたキャンディは、メキシコへ売られることが決まり、そこでも酷い目に遭い、お酒を無理強いさせられるところを車でさらわれます。

車でさらったのはアードレー家の執事であるジョルジュ。キャンディがいなくなってから、アンソニーたちは元気をなくし、三人はイライザ兄妹に興味はなく、訪ねてきても無関心でした。

キャンディはアードレー家の養女となり、アードレーの肩書きがつきます。ウィリアム大おじさまという方がそう決め、アンソニーたちはことのほか喜びます。

キャンディが自分たちのそばにいるというだけで、アンソニーたちは嬉しく、毎日楽しく過ごしました。
アンソニーはキャンディを心底愛しており、近くに結婚を約束。ステア、アーチーもキャンディが好きですが、二人を祝福します。

そんなさなか、きつね狩りがあり、アンソニーが落馬し命を落としてしまいます…

失意のキャンディはポニーの家に帰りますが、ジョルジュがイギリスの寄宿学校へ通うよう、大おじさまの命をうけ迎えにきます。

イギリスへ向かう船で、泣いている青年を見かけます。テリィといい、同じ学校で出会います。
テリィはグランチェスター公爵の子供ですが、実は大女優・エレノア・ベーカーがグランチェスター公との間に生んだ隠し子で、厄介者扱いされて育ったので、基本、人嫌いです。

テリィは美男子ですが、学校きっての不良で、院長も頭を抱えていましたが、グランチェスター公から莫大な寄付をされているので、テリィに面と向かって注意できません。

キャンディは特別室を与えられますが、やはりそこにはイライザ兄妹もいて、周りから嫌われます。唯一、キャンディに好感を持ってくれたのは、眼鏡の女の子パティだけでした。

アニーも転校してきます。アードレー家が養女をとったと母から聞いていましたが、キャンディだと思わず、アニーはキャンディを避けます。

アニーはアーチーに恋しており、キャンディにとられるかもと心穏やかではありません。

パティが「私の友達を紹介したい」とキャンディに耳打ちしてきて、それが亀のヒューリィで、院長にばれてしまい、始末しなさいと言われ、キャンディはそれに怒り「なによがんこばばあ!」と怒鳴り、お祭りメイ・フェスティバルへの参加を禁止されてしまいます。

イギリスの動物園でアルバートさんが勤めていたことを知っていたキャンディは、ヒューリィをたのみ、テリィにも、がんこばばあと怒鳴ったことを笑われます。

院長と揉め、謹慎処分だったキャンディに、大おじさまから贈り物が届きます。男性用、女性用の衣装とかつらが入っており、キャンディは変装してパーティに参加し、そこでテリィから「一曲お相手願います」と請われ、踊ってみると、曲はアンソニーと踊った曲とつぶやいたキャンディは、テリィから強引にキスされ、キャンディはテリィの頬を張り「不良!」と怒ります。けどテリィは不良でもなんでもありませんでした。

キャンディに恋するアーチーは、テリィに嫉妬し、あんなやつに君をとられるのは嫌だと告白しているところをアニーに見られ、アニーは孤児院のときからキャンディの方がみんなに愛されていたとわめいていたところをイライザ一行が立ち聞きしており、瞬く間にアニーも孤児院出身である噂が広まります。

パティも賢いので、イライザたちが明らかに悪いとわかり、以降、キャンディたちと仲良くなり絆を深めます。

夏休みに入り、キャンディとテリィはますます距離が縮まり、口に出さずとも、お互い好意を持っていることがわかります。

イライザも同時に、テリィに好意を持っていて、それを妬んだイライザは、キャンディの悪口を吹き込みますが、テリィはキャンディがそんな人間でないとをわかっていたので、イライザを軽くあしらいます。

怒ったイライザは二人を罠にはめ、キャンディは退学になります。テリィはこれに怒り、自分が退学すると言い、キャンディに手紙を置いていきます。「俺はアメリカへ行く、やりたいことがある」とあります。キャンディも自分の道を見つけたいと、学園を去ります。

キャンディは看護師になろうと決め、ポニーの家で相談すると、ポニー先生の古い知り合いという看護学校の先生を紹介してくれます。

テリィはとある大劇団の看板スターになっており、その舞台のチケットをアーチーたちが取ってくれていて、キャンディも観劇に行くつもりでしたが運悪くその日は当直、いけないとわかりつつ、こっそり抜け出し、テリィの舞台を観にいきます。

テリィはやはり同じ劇団の看板女優、スザナと恋仲と噂されており、テリィの楽屋を訪ねましたが、スザナもテリィに恋しており、キャンディを追い返します。

当直を抜け出したので、同僚たちから総スカンを食います。ある日、テリィたち一行を乗せた列車があると聞き、キャンディは列車越しながら、久々にテリィと会え、テリィも白衣が似合ってると喜んでいました。

ある日、アルバートさんそっくりの男性が病院に運ばれてきます。重症で、記憶喪失にもなっていて、キャンディのことも忘れており、キャンディはこの人はアルバートさんだとはっきりわかり、アルバートさんと二人で暮らすことにします。

テリィから、次の舞台のチケットが届き、休暇届を出し、テリィに会えます。キャンディはしばらく旅先に滞在、テリィは稽古中、舞台装置が落下、テリィをかばったスザナは足を切断する大怪我を負い、女優活動はできなくなりました。

スザナはその前、以前にキャンディを追い返したこと、そして自分をどう思っているのかテリィに聞くと、テリィが愛しているのは昔も今もキャンディひとりと聞いていて、スザナはこれでテリィを独り占めできると思うものの、テリィを縛り付けるのは悪いと飛び降りようとします。キャンディはスザナに「生きていて!」と必死で叫び、スザナは無事に助かり、テリィもキャンディとの別れを決めます。

キャンディが帰ると、ステアが志願兵として旅立ち、気が休まりません。

意地悪兄妹の兄ニールが、キャンディに恋するようになり、自分になびかないキャンディに腹を立て、キャンディが夫でもない男と二人暮らししていることを病院の院長に告げ口し、キャンディは病院を辞めさせられます。

キャンディは次の病院を探していたところ、普段は飲んだくれ、暇さえあれば知恵の輪で遊んでいる変わり者の医師と出会い、そこで働くようになります。

ステアが戦死…ステアを愛していたパティは失意にあり、ステアの後を追うと言いますが、キャンディのおかげで思いとどまります。

悪いことは続くもので、キャンディとの失恋で自暴自棄になったテリィが酒に溺れ、旅に出るとスザナに告げ、たどり着いたのはどさ周りのような劇団、やはりお酒を飲んで舞台に立っており、観にきていたキャンディを目撃、もう一度やり直そうと立ち直ります。

そして、アパートのおばさんたちから、アルバートさんだけでも出ていけと言われます。アルバートさんが怪しげな男たちと何度も会ってひそひそ話をしていて気味が悪いからと。

アルバートさんは動物園勤務だと聞いていましたが、そんな人はいないと言われ、アルバートさんの持ってくるお金はどこからと、キャンディも疑問を持ち、アルバートさんも、キャンディに迷惑はかけられないと姿を消します。

ニールも業を煮やし、キャンディと強引に結婚するという話にもっていきます。もちろん皆は大反対ですが、賛成してくれなければ志願兵になると脅し、婚約披露パーティを開くのでそのつもりでとも。

キャンディは、ニールとなんか絶対結婚したくない、大おじさまに直談判したいとジョルジュに懇願、やっと大おじさまと会うことがかないます。すると聞き慣れた声、向かいあったのはアルバートさん…アルバートと名乗っていたのは大おじさまだったのです。

大おじさまの部屋には、綺麗な女性の肖像画があり、ローズマリー・ブラウン、大おじさまの姉で、アンソニーのお母さまです。

婚約パーティでも、キャンディはみんなの前ではっきり断り、大おじさまも、キャンディの意思を尊重したいと言って、ニールは黙るしかなくなりました。

大おじさまは自由人で、大らかで優しく、キャンディのことも本当の妹か娘のように思ってくれ、素敵な紳士そのものでした。

キャンディは結局、ポニーの家に帰ることを決めます。

ポニーの家に帰ると、アーチー、アニー、パティが待っており、ポニー先生、レイン先生、そして大おじさまもいて、物語は終わりです。

総括して、キャンディは一貫して自分の正義・信念を曲げず、間違ったことには毅然と否と言い、自分軸が全くブレない強く逞しい、賢い女の子で、本当に憧れます。

そんなキャンディに男子たち全員が恋したのも頷けます。個人的に私、アンソニーは好みでないです(笑)キャンディの相手としては線が細すぎるかなーというところでして…テリィが好みです。お似合いなのはテリィと思います。絵になっているのもテリィです。

スザナはとびきりの美人ですが、イライザとは違うベクトルで卑怯だと思いました。怪我を盾にテリィを縛り、結果テリィをキャンディと別れさせ、それで満足なのでしょうか?私こういう卑怯な女の心理はよくわかりません。キャンディの性格なら、スザナに無体なことは言えなかったのでしょうが、こういう形で男を無理やり縛る女はメンヘラです(笑)

陰湿ないじめに遭っても、つらい別れをしても、仕事を辞めさせられても、不当な結婚を押し付けられそうになっても、毅然と立ち向かえる強さ逞しさ正しさを持ち、自分の力で道を切り拓いてきた、そこが素敵と思います。こんな芯の強い女の子はいませんね。読むと元気をもらえると思います。

服飾も、キャンディが着ていたドレス、普段着、どれをとっても手抜きがなく、かわいいものばかりでした。
男子たちも皆おしゃれで、キャラそれぞれが好みそうな服装をきちんと描きわけていて、いがらし先生の美的センスは素晴らしいと思います。

いがらし先生は現在、新しい漫画を描いているという話を聞きません。私の敬愛する画家・柴田亜美先生が在籍するギャラリーに、同じく在籍しておいでで、キャンディ単体だったり、キャンディとテリィの絵が驚くような高値で売られていますがどれも完売しています。原画はどれほどかと、現物を拝みたいものです。

いがらし先生の名作、女の子のバイブルです。
懐に余裕のある方は、買って読むのも一興かと。




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りんな
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