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【プレイ感想】白昼夢の青写真
当時に体験版だけやっていたゲーム。ノベルゲー熱の再燃と友達のおすすめとSteamのセールが重なったのでようやく着手。
当時やらなかったのは前作の未来ラジオと人工鳩が自分には合わなかったのと、世界観を引き継いでるからです。プレイした目線から言うとLaplacian過去3作品や未プレイでも問題ないと思います。プレイ済みだと対応caseで音楽やUIが流用されていたり、内容を知っていると「お、これは」と思える内容があるくらいで知らないと困ることはない。一応地続きの世界である可能性はあり。
この作品は人によっては「耐え」の時間がある。プレイヤーが口を揃えて高評価なのを絶対的に信頼して「今読んでるのって何なんだろう」という気持ちをネガティブな意味ではなくポジティブな意味を持ってそれぞれのcaseを蔑ろにせず向き合うことをオススメしたい。幸いcase2、case3に関してはそれ単体でもかなり面白い。
騙されたと思ってやってほしい。というのもcase1あたりほんとに騙されたと思うかもしれない。でもやってほしい、最後やればわかる。
Case1
2番目に選択。書斎のスチルは物語が始まった感じで良き。
先に妻が浮気してたとはいえ襲っておいてなんで上から目線なんだ…?この夫婦両方やばいよ…。ちょっと人間性がやばすぎて有島のチョークの音すら不快になってきた。
ウィルの周りはあんなにいい人ばかりだったのに、有島の周りはネガティブな人ばかり。文字書きの才があるウィルと折れて腐ってる有島の対比エグすぎる。
こんなに健気な凛が有島を好きになる要素がどこにあるんだろうと思ったけど幼少期から愛に飢えてきたんだね。
凛も変な強さを持ってる、母親として堕ろせなかったか…。ここで終わりで良かったかもしれない。この後の有島がどうなるのか見たくはなかった。女性として強くはあるけど結局最初から最後の判断まで子どものままではあった凛。今の有島だったら仕事くらい辞めたんじゃないか…?変にお金がなければ頼ることもできたんじゃないか…?最後まで後味は良くなかった。
秋房の部屋に似た場所で似てる子がcase1の話を書いていた…?他の話もそうなのかな。
主人公のパートが多いから人の声も少なめで、話も万人受けするものではない、これを1によく持ってきたなと思った。多分後ろに回されても後味が悪そう。渡辺が唯一の良心。
ここを読むのがまあまあしんどくて完走するまででcase1が一番ネックになると思った。暗い雰囲気が苦手なのもあって読んでて楽しい、面白いとは思えなかった。少なくともこの時点では。
Case2
オリヴィアが気に入って選択可能になってから最初にやった。貴族に合わせるために虚勢で強い態度を取ってるけど優しい女の子。
キキの気の抜けたふぁいが可愛い。ぼかされてるけど何歳なんだろう?
ウィルと作品について意見交換するあたりから彼女の素の部分や可愛い部分を感じる。悪い貴族ムーブに慣れすぎて普通に接せ無いの可愛い。
劇団として良くなっていく様子やオリヴィアのウィルに対しての劇作家としての信頼が見てて心地いい。本当に劇が好きなんだねオリヴィア、脚本を読んでるときは完全に素って感じ。
ハロルドがいちいちきしょすぎる、形を整えた美剣咲夜みたいな顔しやがって…。キャラクターとしては結構芯が通ってて嫌いじゃない。
微NTRがあるけど時代背景とか身分を考えたらギリ耐えられた。そこからのウィルとオリヴィアのやり取りは良かったしね。
一緒に作詞してるスチル好き。case2終わり方は作中作だからこそ受け入れられるかも。普通に作品の締めがこれだとまあまあ心に傷が残る。
怒鳴り声だけゲームに限らず苦手なんですけどオリヴィアのことがかなり好きでした。
ただこのcase2に関しては最初に読んだのもあってcase0との繋がりが全然予想つかなかった。
冷たい壁の向こうにはと夜明けの片隅でが両方ボーカル曲の中では好き。
Case3
すももの写真を撮るところ、物語が始まった感じで良い。凛の書斎のシーンと同じく。
鬱屈としたcase1の後にやったので開放感がすごい。会話のノリも美少女ゲームらしい小気味のいいやつ。いつものLaplacian。スペンサーまさかの再登場。喋り方と実力はあるのも同じ。名前だけの登場かと思ったら家まで来た。
しかもスペンサー嵐山めっちゃいい奴。時代や打ち込むものが違えばそんなに違うのかお前。話し方引っ張られてるし主人公。オリヴィアたちも時代が違ったら幸せになれたのかな。
パパもスペンサーも梓姫もみいんないい人だ。
現実のご飯がずっと牛乳粥なのはこのcaseの影響…?逆に現実で食べてるから夢に出てるのかな。
ここでも記憶みたいなのがフラッシュバックしてる。case2は?あっちでも一緒に芝居をしてた夢みてたみたいだけど回想はなかったのに、ますます繋がりがわからない。
お別れめっちゃ切ないけど一番綺麗で未来があってよかった…。冒頭で美容師になって再開してるしね。他2つがいろいろしんどすぎて…。
オルゴールが好きなのでNo More Tearsが好き。
Case0
ここもOPあるんだ!?
夜凪の元の性格はすももっぽい…?夜凪の能力と仮想空間、研究。嫌な予感しかしない。
夢の内容はcase2含めて夜凪の小説なのね。お話が今まで見ていたものに出来上がっていくのを見るの楽しい。ヒロインと主人公以外全部出雲のシュミレートだったんだ…。梓姫がポリッジしか作れないのもそういうことだったんだ。出雲のキャラが一気に面白くなった。
読んでいくうちにcase1の存在がめちゃくちゃ膨れ上がっていってすごかった。同じ部屋に入った瞬間目を見開いてしまった。根幹にある話なんだとは思ったけど、ここまでとは…。そりゃ父親に見てもらえなかった娘にもなるし奥さん悪く書く。凛と同じ構図の夜凪のスチルしんどすぎる。助けてって言ってくれ。
お互いに理解し合っての初夜がオリヴィアと同じセリフで始まって立場や窓の風景が逆転しててもうやばかった。
case1が家族との辛い記憶、たぶん海斗との辛い記憶も、case2が理想の自分と奥手な海斗と隠してたことを打ち明けても一緒にいてくれた記憶、case3が楽しかった子供の頃の記憶、認知症で忘れてしまっても思い出せるように書いた物語。切ない。
研究が行き詰まり認知症が進みどんどん良くない方に転がって極めつけの遊馬の独断。研究でどうにもならないから世界のために自我を消してシステムの一部にされる。あまりにも外道すぎる。遊馬からロボトミーしたことを伝えられたとこのもう取り返しがつかない絶望感が半端じゃなかった。能力と研究内容で嫌な予感はしてたけどそこまでするか。なんならアルツハイマーで徐々に進行してても苦しんでた自信があるのにもはやこれNTRみたいなもんですよ。白昼夢の青写真、タイトルは世界になった夜凪、最悪のタイトル回収。
ゲームを始めたときは夜凪がまさかここまで酷い状態とは思わなかった。出雲が夜凪に戻ってきてほしいって自我を出し始めたの泣いちゃう。当たり前に聞いてた抑揚のない夜凪の声がさっきまで聞いてた声の後だとめちゃくちゃ辛い。
日光が大丈夫だったのは夜凪と海斗が特別なのかと思ってたけど基礎欲求欠乏症の話でシャチの死に方含めて腑に落ちた。滅亡を防ぐための人類全体に対するカバーストーリー、SCPみたいだ。基礎欲求欠乏症に今まで夜凪がかかってなかった理由が切なすぎる。最後の最後までお別れのストーリー。
本編終了でプロローグ回収して終了だと思ったからエピローグで救われてよかった。方法自体はお母さんの時に提示されていたし、みんなから認知されて存在できればお母さんのときと違って本人の脳内だからちゃんと本人としていられる(多分)。海斗とお別れすることもなくなったから物語のヒロインと主人公もお別れで終わる必要がなくなったからcase1~3も幸せな終わりにしようって流れがご都合主義ではなくちゃんと理由が通っててハッピーエンドになって完璧だった。小説としては蛇足なのかもしれないけど夜凪のためのお話だからね。
全体の感想としてはとにかくcase1の昇華が本当にすごかった。たぶんcase1を読むのが辛いと思えば思うほどこの感動は大きいと思う。父親に愛されなかった凛、子供っぽい行動、一方的に有島が悪いと思えない家庭状況、父親と有島が同じ職業でおかしくなっていくことやなんなら身籠ったことや物語に対するイライラや嫌悪感すらも意味のあるもので見る目が180°変わった。
他のcaseはそもそもお話単体としての時点で楽しめていたしcase0で込められた意味が明らかになっていくのが面白かった。あのcaseのあの設定それかあ!がずっと続く感じ。スチルの使い方が本当にうまくてそれぞれのcaseのスチルをcase0で違ったシチュエーションで同じ構図で夜凪のスチルとして再現されていくのがズルすぎる。noteにも使ってるジャケットイラストの場面とタイトルの持つ意味が重すぎる。
夜凪を好きになるのは当然としてオリヴィアが相当好きだった。最近こういうかっこいい女性、粗暴な姉貴タイプとかボーイッシュな感じではなく女性のままかっこいい女性が結構好きです。
case0展開がめまぐるしく変わりすぎではあるけど積み上げて来たものの回収の点が素晴らしかった。世間の高評価にも納得の内容、夜凪には幸せになってほしい。