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【プレイ感想】ジュエリー・ハーツ・アカデミア


 2月に続編がでるジュエリー・ハーツ・アカデミア。きゃべつソフトのシナリオに力を入れているゲームの中では唯一未プレイだった。プレイ前の時点でキャラクターデザインは好みな子も多い。
 ネタバレにならない部分で面白い部分はジェム周りの設定。強い意志を持つものが発現させその意志と宝石の種類に応じた力を得る。意志が物質になって視覚化しているとも言え、喪失や大きな心境の変化がわかりやすく、キャラクターのバックボーンが先の展開への興味になりやすい。どんなに強力な能力でも物理的解決以外の手段を模索できるし、意志の強さ心の変化がそのまま熱い展開にも絶望的展開にもなり得る。ファンタジー×異能力として純粋に面白かったが能力のぶつかりあいというよりは意志のぶつかり合いがメイン。ジェム以外の設定もとても面白かったのでおすすめ。
 本編はHシーンはなし。特定の進行度や選択肢で開放され自由に見ることができる。本編がずっと気になる展開が続くので分離しているのは読みやすかった。ヒロイン以外の掘り下げとベルカの1つ目はシーンではないので読むのを推奨。全体的に恋愛要素も控えめで友情の話。

 以下ネタバレありの感想。
 学園ファンタジー部分のイメージしかなかったので主人公がスパイというのは意外だし、たいてい主人公の所属する組織ってどんな組織か序盤に説明があるものだけど主人公すら目的はわかっていない。かなり怪しい。
隠してる主人公の能力やジェムが意志から生まれてるなら破壊されたらどうなるのとか気になる。
一番気になっているのはメア。最近極端に背が小さい子が女性的な可愛さというよりは小動物的な愛らしさで好きなことが多い。言葉が強い猫ちゃん。


EpisodeⅠ~

 主人公が能力を隠しているため普通のファンタジー世界学園生活って印象、無能力主人公物に近い。その作品の独自の世界観、能力で頭を使って状況を切り抜けるジャンルは結構好き。
個性の強い協調性のない面々やそれぞれの能力。我の強い面子だけど結構それぞれの能力はオーソドックスに見える。アリアンナの能力が空を飛ぶだけとは思えないくらい。メアの解析能力が主人公には相当都合が悪そう。間章で出てくるセシリアが可愛い。

EpisodeⅡ、Ⅲ

 ジェムの設定や敵対勢力等。新しく出てきたノアも可愛い。
 このあたりの設定がかなり面白そうでアリアンナのダイヤモンドの特異性やジェムが変化する変彩、半端に意志変わった場合はジェムが砕けるとか。この世界特有の寓話とかも結構面白くて好き。心が折れたらジェムが割れるならやっぱりジェム壊されたら意志に影響出るのでは…?
石喰いやメドゥーサ、特定の意志を持つように追い込む人体実験だったりEpisodeΧ等ダークな設定も見え始めて世界観がかなりしっかりしてる。EpisodeΧがいつの話なのか、過去なら2人が今どうなったのかが気になるところ。

 メアの意志が道への恐怖を根源にしていそうだったり、ヴェオの過去だったりそれぞれが意志を持つ過程にそれぞれストーリーがちゃんとありそうな感じ。主人公の能力も隠せと言われるわけだ。使ったら隠せないし戦闘にしか使えないし制御ができない。この意志を得るまでに何があったんだ…。

ギメルロードが出てきてから話の規模めっちゃでかくなった…。現状一番ΧっぽいけどΧだとしてEpisodeΧで一体どんな凄惨な話になったら隕石落とせるんだ…。少なくともセシリアの生存が絶望的。
新しい能力が出てきて能力が強ければ強いほど過去が気になる仕組み、こういうとこもジェムって設定の強みを感じる。
第二OPがあるのは熱い。

ていうかこんなに大規模に立ち絵のあるキャラ含め死んでいく作品とは思ってなかったよ…。

EpisodeⅣ~

 EpisodeΧで若干現実とリンクしてるっぽい可能性も出てきた。ていうかセシリア吸血鬼なんですか!?吸血鬼好きなんでなおのこと死なないでほしい。

 ジェムが割られると性格ごとやられるんだ…ヴェオ見てて辛い。対して全く屈していないベルカがかっこいい。ベルカの周りにペガサス組の面々が集まってもとに戻っていくくだりはかなり好き。
しかしベルカの憧れの人の名前カミラって、セシリアの話があった直後に吸血鬼の名前っぽいしそうじゃなくてもメドゥーサの幹部が女騎士ってことでかなり先の展開が怖い名前。

EpisodeⅤ、Ⅵ

 怪しすぎるゲゼルマンが去ったけど学園の地下にがセシリアたちいないんだ。同じ場所っぽいけど…?
ノアがヴェオのことを結構気にしてるのもなにかあるのかな。世界観的にかなり獣人への差別意識が高い中で能力も込で例外的な存在なのかもしれない。

 ゴーレムといいメイナートといい敵勢力が強すぎる。ソーマの能力も無機物に効かない、集団戦で使いにくいと能力を明かしたあとも結局能力縛りでなかなか活躍できない。
なんだかんだアリアンナ以上に距離が近いメア可愛い。なんて呑気に思ってたそばから裏切り展開。好きなのに…黒い服格好いいけど。展開がずっとしんどいこのゲーム。ソーマは人のこと言えない立場なのがまた辛い所。

EpisodeⅦ~

 メア奪還編。この人また人が飢えるゲームしてる。

 ネスター軍曹最初圧倒的敵対関係っぽかったのにすごいいい大人ポジションに収まったね。死にそうで怖い。マスターは死ね殺せと言う割には結構ソーマに温情を与え続けている。口調は厳しいけどかなり優しいか大分肩入れしてくれてる。実はソーマ大好きかもしれない。

 ペガサス組のために奮起した生徒を見せておいての殺されたまではまだしも石化した人体を継ぎ接ぎして遺志を埋め込んだゴーレムはかなりメンタルにくる。人間性を残したまま化け物にされる、人体を素材にするどちらも地雷とは言わずとも悪い意味で弱い展開でかなりしんどい。

EpisodeⅧ、Ⅸ

 アシュリーペッカーの名前重すぎる…。ゲゼルマンがあまりにカスの意志だけど彼周辺の話は強い意志の持ち主が必ずしも崇高な存在ではない、無理やり作られた意志等の話としてこの作品で外せない話でもある。
制限のあるどこでもドアを使えるカーラ、レースで使わなかったの偉い。カーラ能力の使い方うますぎ。

 開幕のシーン、言われてみればメアいなかった。何も知らないと主人公を助けに来てるみたいな構図になってるのうまいと思った。その後の作中初のメアの変色や遊色等のジェムの設定をふんだんに使った展開、単に古い意志を超える意志を抱いたんじゃなく作られた意志を捨てて仲間たちから得たものが意志に昇華されるのがすごくいい。デレメア可愛すぎるでしょ…。メアに根負けしてるヴェオもいい。毒舌も好きだったからそこはさみしい。
そしてどんなに強い意志でも小さな綻びから隙ができる単純な力同士の戦いではない部分が現れた戦闘でもある。

 ここでのEpisodeΧではゲゼルマン死んで来なくなったっぽかったり最後にΧに頼ろうとしていたり研究ファイルだったり現存している雰囲気をだしているが果たしてどっちなのか。

 和平のチャンスも裏目裏目でふいにして状況は悪化する一方でジェムの強さに対してどうしてもギメルがしっかりアリアンナの手紙を読んでいたり悪いやつに見えない。

 エメラルド・タブレットの場面は今作で使い切っていない話がありそう。ゆっくり見せてほしい、これは不満点。わざわざ録画して見るにしてもこの速度で流されたものに後の単語があってもここにあったんだ!ってならない。CGに入れといてくれさすがに。
ケイトの目はエメラルドとサファイアに見えるが…?

EpisodeⅩ~

 EpisodeΧ(カイ)と見た目がわかりにくい。意図してかせずかこの作品一番の問題の章。
 胸糞の悪い捕虜だったフリギア人がルビィの大切な友達を殺した話から始まる。相変わらず話が陰鬱。だけどそんな話が吹き飛ぶくらい次の話は衝撃がすごかった。

 「僕は吸血鬼じゃない」。食堂のシーン。今年は自分なりに少なくない数のノベルゲームをやったし白昼夢の青写真やさくらの雲*スカアレットの恋等展開に驚くゲームもあったけど衝撃という点において間違いなく今年一番で声が出るくらい驚いた。こんなの他の作品なら次の瞬間に目が覚めて悪夢でした~のシーンでしょ。このシーンにぶち当たったのが午前4時くらいで次の日があるし続けたら間違いなく長くなるから中断したけど興奮で寝れなかったくらい。おかげでここまでの発言を思い返す時間にはなかったから結果中断したのは良かった。
 「骨と皮だけになった」エージェント、頑なに断り続けた食事、メドゥーサを同胞と呼ぶ、ヴェオだけならともかく洞窟でソーマだけ衰弱が早い、リビュアに向かうときも不時着したって言ってたから途中トイレや食事は途中で降りてるものかと。
後で読み返した時にルビィの能力がソーマとヴェオには効かずソーマの能力もメアには効かないと確信していたり、ヴェオは食事は一人だしメアもヴェオやソーマとは食事の場面や発言があったり、洞窟でベルカから「妙な血の匂い」と言われたり。特に能力の有効判定はかなりのヒントだった。一番わからなかったのは日光を克服してたせいかな。アストゥリオスの意志が強すぎる。マスターが絶対に正体を明かすなというのもスパイ以前に命の問題も大きそう。
セシリアの吸血鬼発言の時に吸血鬼好きって言いましたけど!周りほとんどが吸血鬼だとは思わないじゃん!誰がそこまでやれと言った。
言われてみれば王家のマークスやノアはそれっぽいデザインかも。
ちなみに吸血行為というのが好きなのでベルカの3つ目のシーンは好きです。
人間が絶滅危惧種だから背水の陣で強い意志(とりわけ戦闘向けの)を抱くというのもなるほど。ルビィがソーマがペガサス組に絆されてるのが気に入らないのもそれはそう。鏡の件もすごい。鏡がない洞窟の環境で語気が荒くなったり、ベルカに近づかれた時に衝動と言っていたけど性的なものではなく殺意だったの相当危険だった。
メアが安心できる相手として夜会話する場面好き。序盤にもルビィが言ってたコウモリって表現めちゃくちゃ皮肉効いてたんだな…。最終的にソーマの眼で見ることが信頼の証明になるのもいいなって思った。

 冬茜トムは本当に真実を偽らずに隠すのが上手い。後で見返すとクリティカルな発言結構してるし吸血鬼がいること自体も明かしてある。毎回主人公が当たり前に接している部分や普通に描写されているものにとんでもない事実が置いてある。異常を異常と思わせない天才だと思う。
獣人との種族問題は最初からあったけど種族間の問題がここまで中枢の話になる作品とは。

EpisodeⅪ、Ⅻ、ⅩⅢ

 マスターがママすぎる。ちゃんと親としての役割も果たしてるんだよなあこの人。
ヴェオとノアの関係が本当に良い。ペガサス組+ノアが本当に人種問題の希望。ノア器が大きすぎる。そんな直後にノアの死亡、ここに来てこんなメインキャラ死ぬんだ…。滅茶苦茶死亡フラグは立ててましたけども…。ヴェオの普段の態度もあって死亡シーン、その後のマークスとの決闘しんどかった。ただ変彩は本当にいい設定。マークスもあのサイドストーリー見せておいてのこれだから…。

 石化の解除とかいう一縷の希望。アストゥリオスの遺志の効果を考えたらアリアンナも結構なことができるのか。希望の意志ならありえる能力。
メイナート強すぎなとこにもっと強すぎなマスター。Mと名乗る匿名の手紙マスターの頭文字じゃなくてマクラクランかよ。すっかり人形に騙されてたというか表に出てくると思ってなかったというか。断然キャルちゃんの顔よりもマスターの顔が好き。背が低くて格好いいのがいいし、身長差がかなりあって低いほうが上司なのもいいし、今までマスターと接してきてて可愛い見た目に飲まれない強者感があって本当に好き。ずっとメア好きでやってきてたけどこんな終盤でマスターが台頭してくると思わなかった…。
差別主義者と紹介しておきながらいい人なのにと思ってるソーマがマスター盲信しててちょっと好き。差別主義者だけどちゃんと先生してるし。

ギメル戦でのEpisodeΧの種明かし。ずっと状況をあやふやにしていたけどセシリア…。本人の意志は愛から成るものだけど女の子一人のために人生を捧げて戦い続けて、吸血鬼を愛した彼の意志はどちらかというとペガサス組と同じ共存寄りでこの人主人公適正高すぎでは。

強敵を倒したあとに裏で糸を引いていた真のラスボスはファンタジーっぽい。ラスボスがしっかり悪い奴なのは後味が良いかもしれない。

 戦いとしては執念のエウリュアレよりも愛のギメルロードの方が強敵然としていて強く感じたのは逆にいい所に感じた。
元気玉的展開も意志をメインテーマで扱ってきた作品で不当にジュエルを集めたエウリュアレへのカウンターとしてはいいなと思った。
最初の最初にアンドロメダの声あったんだね、全然忘れてた。

最終章

 エンディング詐欺はかなりびっくりした。演出面でもこういうことしてくるんだ…。
結構パワー解決ではあるけど石化の治癒や人間の血への興味の消失は超越の意志であるダイアモンド、人間との共存を願うアリアンナと考えるとそこまでご都合でもないかな。日光耐性の付与レベルのことができて別種族との調和を真に願えたのはペガサス組とノア、ルビィとの積み重ねがあってこそだし。「わたし、もうヘビは怖くないんだ」ってセリフかなり好き。

石化の解除はいいけどメドゥーサやノアのくだりを経ていないトロイ人って野放しにして大丈夫なのか…?


 終盤の戦闘ではベルカの覚醒がかなり良かった。ペガサス組の中で唯一変わらず揺らがずずっと同じ意志を磨き続けて高みに届いたのが素直に格好いい。ジュエハの世界観で言うと理想の到達点だと思うし一般的に折れやすいアレキサンドライトというのもいい。逆にソーマが目立つ形で変彩しないのは意外だった。エメラルド次回作どう活用するんだろう。
ヒロイン扱いのキャラも一番意志の硬いベルカ、裏切りや絆に絆された等共通点の多いメア、同胞の幼馴染ルビイ、一番ソーマを変えてくれたアリアンナとこの作品で大きな意味を持つキャラクターばかり。恋人としての時間はあまりないけど。
 全体的に設定が本当によくできててて新しい設定や展開が頭に入ってきやすかった。ギメルが出てきたあたりからはずっと気の抜けない展開で、終盤の展開も吸血鬼の件でびっくりして終わりじゃなくてマスターの参戦、ノアの死、キル戦、ギメルとセシリア、偽EDと記憶に残るシーン滅茶苦茶多かった。
そして相変わらず立ち絵のあるキャラクター全員に役割があってしっかり活躍してくれる。ハードな世界観ながら希望もあるいい作品だった。


 ここからジュエナ体験版とかの話。
卒業式に至る前の話。マスターメイン抜擢熱すぎる。正体を明かしたあとも先生として溶け込んでるしこの人差別主義の割にはそれはそれとしてちゃんと先生してるんだよね…。えらいお茶目だしアリアンナしかしなかったような顔するし酔ったりするけど酔ってても周りの様子はしっかり把握していたり格好良さを崩さない可愛さを見せられてかなり好き。2km先の銃声が聞こえるバケモン。
万能すぎるアリアンナの能力に代償を仄めかされたり同格の存在が示唆されたり終盤に疑問を持った人ほどやったほうが良いとなるかもしれない。シャーロット先生がまた関わってきたりちょっと口の悪いメアが戻ってきてたりキャラや世界観の説明や関係の構築をすっとばせる分導入から楽しいのは続編のいい所。そりゃこんな女も生まれる(ベルカに対してのメア)好き。
マスターやカーラのジェムの根源にある意志やその後のメドゥーサやトロイの民なんかも気になる。この世界の地下は鉱床だらけ。オフィーリアさんもデザイン好きですね。
公式のキャラクター紹介の好きなもの、嫌いなものの変化もかなり成長を感じて良い。アリアンナの嫌いなものなくなった!とかメアの好き仲間/嫌いなものゲゼルマンとかマークスの嫌いから獣人が消えたりとか。メアの説明「みんな大好き期から約一年が経過し、最近では元のトゲトゲしさを取り戻しつつあるとかないとか」可愛すぎる。

 体験版時点ですでに不穏な展開への要素は多々あるけど続編で冬茜トムというライターがどう驚かせてくれるのか楽しみ。彼の書いたきゃべつの3作はどれもその世界をプレイヤーが正しく認識できていない視点から当たり前に思っていたことを覆してくれる展開なので、その世界観をじっくり見せられたあとでもそのような展開があるのか、一作かけてジュエハの常識を植え付けた上でその常識を利用してくるのか、正々堂々前作を掘り下げて戦ってくるのか。少なくともトルマリンやアリアンナ、ソーマのエメラルドは前作時点で設定出来上がってそうなんですよね。

 1月2月はジュエナ以外に楽しみな新作ノベルゲームは今のところないので粛々と待ちます。読んでくれてありがとうございます。また別の記事やジュエハの記事でお会いしましょう。

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