金のない私がお金を貸した理由

以前バイトで一緒に働いていた19歳女子から久しぶりに連絡がきた。

まあ久しぶりの連絡だし、何かあったんだろうと思ったけれど、事態は思ったより深刻で、
ようするに金がない。

家賃滞納な上に膀胱炎になって病院代もないという。
そもそも仕事が長続きしない子なので、保険証も作れないらしく彼女にとって病院代は高額。
未成年なので金融でお金を借りることもできず、お父さんはいないし、お母さんは病気で今働けない状態らしいし、お兄さんも自業自得だとお金を貸してくれないらしい。

同棲している彼氏も飲食店のブラックどっぷりあるある搾取で、ガス代も払えず最近では自殺をほのめかしているという。

もともとメンタルが不安定な子だったけれど、かなりバランス崩してるらしい。

はっきりいって家賃滞納も仕事が安定しないのも自業自得。
いかにも怪しいところで働こうとした時も私は反対したが、
彼女は言うことをきかなかった。
案の定、秒でやめて、次の仕事、そこもやめてさらに次。

まあ自己過信や傲慢さは若者の特権。
私も10代の頃は「俺はビッグになってやるぜ!」的な高慢チキチキバンバンだったから、しゃーないなと思って見守ってきた。

本来、まだ10代なのだし、家族がなんとかしてやるべきことと思うんだけど。

彼女の周りには頼れる大人がいないのだぁと思った。

さてどうするか……。

薄給のネット授業が今の私の収入源、
友人が所有する古民家で一人島暮らし、
畑の野菜と時給700円の2時間弱労働で生活している私だ。

5万必要らしいけど、ポーンとくれてやるほど財力があるわけではない。

そう「くれてやる」だ。

返してくれることを期待するから金の貸し借りはもめる。
自分があげてもいいと思える範囲の金をあげる気で貸したほうがいい。

そんなわけで33000円送金。
この島に来るときの支援金として
従兄にもらった3万円を使わず持っていたので。
※3000円は縁起かつぎの上乗せ。

とにかく病院に行かせたかった。
家賃は自業自得。自分で何とかしてもらうしかない。
でも体だけは本当に大事だし、血尿まで出てるというのに放置はよくない。

健康でさえあれば働ける。
健康であるために少しでもストレスは減らさないと。
お金がないのって本当に絶望的になるから……。

とりあえず病院に行くなら朝一で振り込まねばならないと思って近くのコンビニまで行った。近くといっても片道20分。
行き帰りに山道入り込んだりして迷ったので往復約1時間。

でもまあ10時前には振り込んだ。
その連絡をしたのだけれど、既読もつかないし、やられた!!!!!と一瞬ブロックを疑った。

でも私はそれでもいいやと自分に言い聞かせていた。

私が彼女にお金を貸した理由……
それは、彼女が未成年だから。

もし、彼女が本当に頼れる大人が周りに誰もいないのだとしたら?

そう考えたのが大きかった。

人生は出会う人によって決まるといっても過言ではない。

若い時に信頼できる大人に出会えるかどうかは、その後の人格形成や人生にも影響すると思っている。

私自身、どんなに人間不信に陥るようなことがあっても、信頼できる人や助けてくれる人がいたから、人生に絶望せずにここまで生きてきた。

これが親だとどこか当然だという甘えも出る。

でもこれが友達だったら、
さらには通りすがりの人だったら、
「人間って捨てたもんじゃない」って
本気で感謝できたりする。

本当につらい時、助けてくれようとした人がいるかどうか、これは本当に大きい。

私は若い子たちに人生に絶望してもらいたくない。

ただし、自業自得のつけは自分で払わないと。
痛い思いから学んで成長する機会を奪ってはいけない。

だから必要な5万の残りは自力で何とかしてくれ。

でも体だけは第一に考えなければいけない。
借金の増え続ける利子は一気に返して返済なんかもできるけど、病気は早期対応が必要な場合も多く、慢性化させれば後々たいへんなことになりかねない。

あとメンタルやられて免疫力落ちてるらしいので、お金の心配が少しでも減ることで安心して眠れるようになってほしかった。

結局、朝病院に行くかもと思って急いで送金したけれど、彼女が起きたのは昼過ぎで、それから夕方病院行って、薬もらえたとの報告。

いくらかかったかも知らんし、本当に病院行ったのかどうかも実はわからない。

まあでも私をアホと思うか人生ちょろいと思うかは本人次第として、
腹が減ってもパンを半分わける人間もいるんだってことだけは覚えていてもらいたい。

私はそれを知っていたから誰かにもそれができたんだ。

誰かに騙されても傷つけられても、救われたこともあったから、人生も人間も捨てたもんじゃないって思ってここまで生きてきた。

若者が人生に希望がもてないこと、人を信じられないことほど悲しいことはないと思っている。

そうなる可能性が万に一つもあるならば、自分でできる限りのことはしたいと思った結果。

これが、金のない私がお金を貸した理由。



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