印税のお話
商業出版させていただいたということは、私の小説でお金がいただけたということです!
印税です!!
私もいただきました。
印税というのは、ありがたいことに「売れた数」でもらえるものではなく、「刷った数」でもらえるのですよ。ですから、ぜんぜん売れなくても初版で刷ったぶんはいただけます。
さて、どのくらいいただけるのか?お金の話、気になりますよね💰
初版や重版で「○○部刷りました」という部数は、社外秘だそうです(文藝春秋さんだけかな?)。ですから『ナースの卯月に視えるもの』が初版何部だったのか、私はみなさんに教えることができません🤫内緒です。
ですので、平均的な部数で考えてみます。
新人作家の初版はだいたい5000部くらいだそうです。文庫本の値段は、700〜800円でしょうか。拙著は770円でした。印税の平均は10%くらいなので、一冊につき77円。
77円×5000部=385000円
高いと思いますか?
安いと思いますか?
単行本の場合、だいたい1600円くらいでしょうか。
160×5000=800000円
となります。
そこから税金がひかれるのでまるまる全額はいただけませんが、だいたい想像はついたと思います。
これが、私の場合は2023年10月〜2024年5月まで、打ち合わせ、改稿、さらに打ち合わせ、さらに改稿打ち合わせ改稿打ち合わせ改稿、やっと初校ゲラ作業、返送、打ち合わせ、最校ゲラ作業、やっと完成!というほぼ半年の労働に対するお金です。
私は、専業主婦と名乗るのもおこがましいほど家事のできない主婦なので、自分の労働に数十万円という対価が支払われるのはとても大きなことでした。看護師の仕事を辞めて8年。久しぶりに自分で稼いだお金です。
しかも、ありがたいことに重版していただきました。重版すれば、またそのぶん印税がいただけます。ありがたいことです。
それでも、専業作家になる大変さも実感しました。私は夫と猫と暮らしていますが、私が働かなくても食うには困りませんし、猫たちも養えています。その環境じゃなければ、こうして好きな仕事で楽しく働くことはできなかったと思います。家族を養わなければならない人ならなおさらです。
「文庫デビューで初版5000部で重版なし」なら、半年働いた収入が40万円に満たない、ということです。これは「半年で刊行できた場合」です。1年かかれば、年収が40万円です。単行本だとしても、年収80万円です。書いている途中のお給料はでません。重版できるのは1割だけ、とも聞いたことがあります。そのくらいハードなお仕事なのだ……とあらためて実感しました。
もちろん、年に何冊も書いてガンガン重版してどんどん映像化してバンバン稼いでいる方もいらっしゃいます。連載をいただければ、印税だけじゃなく原稿料もいただけます。
でも、そんな人はほんのひと握り。兼業の方が多いのもうなずけました。ただ!兼業にするには作業がめちゃくちゃ大変!!!とも思います。正直、私は兼業だったら書けた気がしません。
それでも、お金で買えない価値がある!と私は思っています。単純な「収入」としてではなく、自分の作品に対価が支払われるのは信じられないくらい嬉しいことです。
でも、それは私が食うのに困っていないから言えることなのかもしれない、とも思います。自分の稼ぎだけで生きていかなければならないなら、看護師に復帰したほうが安定しています。
でも!それでも!でも!と「でも」を続けてしまいました笑。
作家になりたい人、小説家を夢みている人、たくさんいらっしゃると思いますが、生活が大きく変わりますよ……とはお伝えしておきます!