経営戦略論におけるフレームワークを活用する力
中小企業診断士のテキストを買って、経営戦略論から学び始めています。SWOT分析、PEST分析、3C分析、PPM(プロダクト・ポートフォリオ・マネジメント)、VRIO分析等を学びました。難しいなと思うのは、フレームワークというのは判断枠組みであって、その枠組みを使いこなすには個人の力が必要だということです。
私が新人SEとして、日本を代表する国立病院に配属(派遣というべきでしょうか)された時に最初に責任者からの指示が川喜田二郎「発想法」、「続・発想法」を読むことでした。後から分かったことですが、その病院では、医療従事者はもちろんスタッフまでKJを活用して患者さんへのサービス提供をしていました。また、ウェブページ等で安易な情報収集は禁止されました。
当時はこの古臭い書籍を読む理由があまり理解できませんでした。例えば、まだPCやスマホのない時代に書かれた本で、コピー機すらゼロックス社しか提供していないので、コピー機のことをゼロックスと表現していることを笑ってしまいました。今は、なんとなく川喜田二郎先生を読むことの実益はなんとなくわかるようになりました。また、KJ法の運用というのは難しく、ある種個人の力が求められると思っています。
同じことが、SWOT分析等のフレームワークにも当てはまって、これらの目的を理解して、利用場面を適切に判断して、成果を上げるのは難しいということは誰でも理解できるでしょう。中小企業診断士に短期で合格する人は、この力を既に持っている方か、受験勉強を通してこの力を身に着ける人なんだろうなと思う。例えば、SWOTでいうところの強みも、その企業の強みなど見る人の価値観次第でしょう。
法学部の話をすると、「法的思考」という独特の考え方があって、ある事件に法律を適用して、問題を蹴結する時に、妥当な結論を決めて(価値観というのは根本的には主観的な判断だと私は思う)、適用する法律(条文)を解釈して、その際に導きたい結論を出すことを目指して、縮小解釈、拡大解釈、類推解釈などの解釈を駆使して、理由付けは後から他者から批判されない程度に論理的な理由付けをするということを繰り返し学んできました。例えば、民法709条に損害賠償請求という制度がありますが、これを解釈する時の理由付けとしてはこの条文の目的を根拠としますが、加害者の懲罰と考えるか、生じた損害を公平に分担することと考えるかで条文の解釈、その結果の結論が異なってきますが、目的がどちらかなんてロジカルに決まることではないので(人と作った制度の目的なんてどこにも書いてないので特定できない)、やはり主観的な判断と言えると私は考えます。この「法的思考」という考え方も、フレームワークの活用に通ずると感じています。