カナダで保育:チャレンジングな子どもたち
うちのクラスの中にChallenging Behaviorの子どもたちがいます。
これは所謂「問題行動」をする子どものことですが、こちらではProblemではなくChallengingといいます。
子どもたちに何かを話しかける時もPositive Languageを使って、と言われ、子どもたちに掛ける、もしくは使う言葉は特に気を使っています。
そしてその Challenging Behaviorの子どもたちは、「噛みつき」と「引っ搔き」、そして「押す」子どもたちです。
はい、1人ではなく今現在のクラスに4人。
赤ちゃんクラスの時からそれらの傾向があったので、それに対して色々と取り組んできているのですが、ここ最近ではそれらを止めることが日常のようになりつつあります。
その為に今までも色々な方法を試し、働きかけ、親とも話し合いをしてきたけれど、あまりにも多いので、ここで何か違う方法を模索しなくてはとなりました。
今まで受け持ってきた中で1人、もしくは2人同じクラスにいるという時期もあるにはあったのですが、今回のように4人同時というのは今までになかったので、私自身もどのようにサポートしていこうかと試行錯誤の日々です。
この子どもたちを見ている限り、所謂ADHDなどではなくて、もっと年齢的なものと性格、そしてお互いに影響されているということが見えてきました。
取り組みとしては、まず子どもたちの行動を観察し、それらを記録、そして他の保育士や保護者との情報と意見交換。
記録としては事細かに状況を書いてあるのですが、その記録したデータをいつ、どこで、誰と、何が起こったのかということのみ表にまとめてみました。
すると起こりやす時間帯や対象、状況がもっと見えてきて、今までそれらをする側の子どもだと思っていた子の1人が、実際には「行動をする」ではなく「行動を促すきっかけ」の方だったことがわかったりと、やはり文字に起こしてまとめるのはわかりやすいということを実感しました。
そこでとりあえずクラスの中での取り組みをグループに分けて行う時にその子どもたちを違うグループにして、保育士は全体を見つつもその子どもたちの近くに常にいる、という取り組みをまず行ってみることにしました。
まぁ今までもこれはしていたのですが、同じグループの中にその子どもたちが2人、もしくは3人一緒にいたという事もあったので(本人たちがそうしたいと言っていたので)この子どもたちを確実に分けることでどうなるか、という事を知ろうと思ったのです。
ただ、この取り組み。
短い期間での取り組みとしてはそれなりの成果はあるかもしれないけれど、長期的に考えた時にはあまり効果があるようには思えない気もしています。
なぜなら子どもたちの行動の根本的解決には繋がっていないからです。
その行動はしてはいけないこと、友達にそれをすると相手は痛い思いをしているし悲しい。
そうすると一緒に遊ぶことは出来なくなってしまう。
もし何か要求があるなら(おもちゃが欲しい、相手が近すぎる、など)それを言葉として伝えていく練習をすることが大切で、伝えなければ相手もわからない。
そして例え言葉として伝えても、必ずしもすぐにそれが叶うというわけではなく、待つ、もしくは自分が動くということも必要であると知らなくてはいけない。
それらが子どもたちが成長していく過程で大切な学びなので、それらを踏まえた上での事なのですが、もちろんこれらの成果が出るのには基本時間がかかる。
だからまずは他の、嚙まれたり引っ掛かれたり押されたりしてしまう側の子どもたちを守るという事が前提である、という事でこの案になりました。
保育士の中には「親にもっと言ってもらうべき!」という人もいます。
保護者の人たちとの情報共有はもちろん必要だし、それらをすることがいけないことであると私たちと同じように伝えてもらうことは大切です。
ただ、問題行動が起こるのが友達に対してのみの場合、正直親御さんたちが出来ることはその話をお家でもしてもらう事くらいです。
私たち保育士はその現場に居合わせているわけで、直接止めることが出来るのも私たちです。
だからこそ「チャレンジングな子どもたち」に対して、日々情報を交換し、色々な事を模索して試していく事が大切だなぁと思います。
さて、この取り組みの結果でどうなるか…。