保育士の現状と保育の在り方
年末年始にかけて日本に帰国していました。
約1年ぶりの帰国でしたが、5歳と2歳の甥っ子たちと遊んだり、家族で温泉に行ったりと楽しい時間を過ごすことが出来ました。
そんな中で何人かの友達とも会うことが出来、その中には以前働いていた地元の保育園での現役の保育士や、数か月ほど前から学童保育に携わる仕事を始めた友達もいました。
彼女たちとの話はとても興味深く、以前と変わっていないなぁと思うこともあれば、そんな事になっているのかと思うこともありました。
自宅で過ごしている時、夜の番組、ニュースでやけに保育に関する話題が多い印象を受けました。
最近の保育士不足や保育の在り方、保育関係での事件やそれにまつわる考察など、内容は色々でしたが良く耳にしました。
そして実際に今の保育現場で働いている友達や甥っ子たちの行っている保育園での話、そしてテレビで話題になっている話を聞いて、保育にまつわる話題は世界共通なんだとも思いました。
決して全てが一致ししている、ということではないですし、保育に関する考え方や捉え方はその国や時代によって変化していって、現在も進行形でしていると思います。
ただ、少なくともカナダと日本の保育で共通している話題を多々見つけました。
まずは保育士不足。
これは色々な原因が考えられますが、まずは賃金の低さ。
仕事の内容や重要性に比例していない賃金の低さから仕事を離れる保育士は少なくありません。
そして健康面。
実質的に体力勝負な仕事でありますし、保育士で腰を悪くする人は本当にたくさんいます。
人手不足ならトイレに行くことも大変で、膀胱炎も比較的よくあります。
それにコロナの事を得て、余計に仕事を辞める保育士は多かったです。
それらに対して日本もカナダも政府は色々と話し合いをして取り組んでいると思うのですが、実際問題それが保育士不足の問題解決に繋がっているのかというと疑問も多いところ。
そして保育士不足による保育の内容の難しさ。
つまりは質の低下です。
保育や子どもに携わっていない方たちから「保育なんて子どもを見ているだけだから誰にでも出来るでしょ」という感じの事を言われたことがあります。
「ただ一緒に遊んでいるだけ」
「その場で見ているだけ」
「楽しくて楽な仕事」
というような感じです。
正直に言うと、そういうことしかしていない保育士だっているかもしれません。
あくまで仕事と割り切って働いている人もいれば、子どもが好きだから続けていられるという人もいます。
それは私がすべての保育士を調べたわけでもないのでわからないことですが、ただ保育だって仕事なのです。
お金をもらっているのだから、そこに「保育士」として働く責任があり、その責任はただ安全を確保するだけというわけではなりません。(もちろん安全確保は必須ですが)
子どもたちの個性や成長に合わせて、どうすればこの子たちが楽しく健やかに友人たちと共に成長していく事が出来るのか、その手助けをする為には、今のこの年齢の時にどんな環境を整え、言葉かけをし、どんな学びが必要とされるのか。
家族やコミュニティと協力をして、今後のこの子たちの人生の基盤となる時期に何ができるのか。
そんな事を常に頭に、日々のカリキュラムやアクティビティを考え、勉強し、話し合って毎日の保育に挑んでいるわけです。
一見すれば「ただ一緒に遊んでいるだけ」「遊んでいる子どもを見ているだけ」に見えるかもしれなくても、その頭の中では色々な思惑や考えがあってその状況が出来上がっていたりするのです。
そしてそれらの結果が判るのは今日明日ではありません。
数年後数十年後に、その時にその子に培われたもの、自然と身についたものが実を結ぶかもしれないし、しないかもしれない。
でも少しでも彼らの人生の足しになるようなことを提供できるようにと頑張っている私たち保育士ですが、それらが出来るのは単純に「子どもが好きだから」だけではありません。
きちんとした知識を入れ、練習し、常に新しい情報も取り入れなければ、本当に「ただ見ているだけ」になる可能性だってあるのです。
だからこそ現状の保育士不足の状況の中で、それらの環境を常に提供できる保育士はどれほどいるのでしょうか?
あくまでテレビやネット、自分の近くにいる友人たちの話からだけの話ですが、きちんとした質の良い保育を提供するためには、保育士にとってかなり過酷な現状であるという印象を受けました。
保育は決して一人ではできません。
例え一人で少人数の保育をしている人でも、他の保育士や園からの情報や助け、家族やコミュニティとの繋がりは必要不可欠です。
そして単純に、一人で見る子どもの数が多ければ多いほど目が届かなくなるのは当然。
子どもたちを預かるものとして、目が届かずに事故が起こるなんて決してあってはいけないことです。
でも、だからこそきちんとした保育を提供するためにも、保育士の状況改善の為にはどんなことが必要で、何が求められているのだろうと考えさせられた時間でもあった今回の帰国でした。