カナダで保育: 大人が子どもに出来る事
私の甥っ子が来月から小学生になります。
「この前生まれた子がもう小学生⁉︎」という衝撃は保育園で働いているとよくある「あるある」なんですが、甥っ子に対しては衝撃というより感慨深い感情が湧いてきて少し新鮮でした。
以前日本の保育園で働いていた時には小学校に上がる前の年長さんのクラスでは、平仮名の練習をしたり、椅子に座っての作業の時間を作ったりと小学校へ向けての準備の時間がありました。(今もあるのでしょうか?)
甥っ子の通っている保育園でも平仮名の練習はあったようで家でも自主的に色々と書いていて、帰国した時に私も名前を書いてほしいとお願いしたりしていました。
親は小学校の説明会に参加して、必要なものを用意したり、色々と保護者としても準備が必要なわけですが、甥っ子本人は緊張や不安もあるでしょうが、それよりもお昼寝がなくなる事が嬉しいようです。
カナダの新学期は9月からなのでまだ時間はあるのですが、上のクラスではそろそろ卒園準備を始めようかという雰囲気が出始めました。
というのもうちの園の卒園式は基本6月。
何故ならこちらの学校の夏休みが長いので(6月後半から始まります)、兄姉がいる子はそれに合わせて来なくなる事もあるからです。
そしてこの「卒園に向けての準備」というのはあくまで卒園式への準備で子ども達自身に対して何か特別違う働きかけをするという事はしません。
数年前まではアルファベットや数字や読み書きがキンダー(小学校自体への準備期間でもある1年間)に向けて練習させるという流れもあったのですが、最近はそういう事もなくなりつつあります。
少なくともうちの園ではしていなくて、というのもそういう事を学ぶ為に学校に行くのだから、保育園では他の事、友人との交流の仕方、自分の事を自分でする力、問題解決能力などの基礎を学び練習する事を重視し、何より体をいっぱい使って兎に角遊ぶ事が学びとしています。
そんな中で、保育士として、叔母として、1大人として彼らにどんな事が出来るのかと改めて考えてみました。
大人になっても違う環境に飛び込むのは緊張するし不安です。
私自身が「石橋を叩いて渡る」タイプなので、何かをする時には可能な限りの準備をして気分を落ち着けたりします。
まぁそれでも予想外の事も多々起こるのですが、準備をする事で安心感を持つのが目的です。
だから、大人が子ども達が新しい環境へ向かう時に色々と準備をさせようとするのもわかるんです。
私自身準備をしている方が好きだし落ち着ける。
ただ「自分」ではなく、例えそれが血を分けた我が子だとしても「他人」の事になると話は違う気がするんです。
何の準備もなく飛び込むのが好きな子(人)もいるだろうし、その方が学びもが事もあります。
知らなかったからこそ興味を持ってもっとしたいと思うかもしれない。
でも準備をしてなかった事で出遅れて苦手意識を持つ事になるかもしれない。(私の中学の英語はまさにこれでした)
それらがその後どのように変化しどう影響するかは誰にもわからないのです。
だから私が、大人として子ども達ににどんな事が出来るのかを考えてみました。
1.環境を整える
困難や問題に立ち向かう練習をする機会を作り、例え失敗してもそれでも大丈夫だという経験を積めるような環境づくりをする
2.選択肢(可能性)を渡す
どういう事が選択肢にあるのかを一緒に考えたり、必要な事に関してはやる事の選択肢を表示する事でその体験を促す
3.見守る
「失敗は成功の元」として命や安全、他人への危害、法に関わらないことはどんどん体験させる
4.相談に乗る(話を聞く)
何か困った事があればいつでも話を聞いてもらえる、と思ってもらえれば色んな事にチャレンジできる。でも「正解」を教えるわけではない
衣食住など金銭的な事は別として、大人が子どもに出来ることって他に何があるでしょうか?
目の前で子どもが困っていたら助けたいし手を貸したい
悩みや不安を取り除いてあげたい
困る事がない様に準備をさせたい
将来の為にも勉強して幸せになって欲しい
でもそれらを全部叶える事は無理なんです。
どんなに大人が頑張っても、不安や心配事を取り除こうとしても、色々な準備をさせようとしても、全てをカバーする事なんて出来ないし、全てを代わりに解決してあげる事も出来ないんです。
逆に、例え出来たとしてもそれで子どもは嬉しいでしょうか。
楽だとは思いますが、楽しいでしょうか。
憂はないかもしれないけど、達成感を感じられるでしょうか。
人として自立して成長していけるでしょうか?
「子ども達に笑顔あふれる楽しい時間を過ごして欲しい」
多分それが大人の本当の望みだと思うんです。
そしてその為には子どもたち自身が自分の力で困難を乗り越えていく事が必要不可欠で、大人が出来る事はあくまでその為の手助けだと思うんです。
だから大人として
子ども達に大人になるのは楽しいと思ってほしい。(お手本になるよ!)
何か困ったことがあっても相談できる相手がいる。(いつでも話を聞くよ!)
失敗したとしてもチャレンジしていける(挑戦する事は楽しいと知ってもらうよ!)
そういう環境を作って行けたら、そして子ども達が自分の力で乗り越えている手助けが出来たらと改めて思った2024年の春なのでした。