Kenshi - 奴隷拳士編
※一部残酷な描写を含みがちですがKenshiってそんな感じです。
気が付けばKenshiの世界で囚われの身となっていた一人の人間がいた。
そして即座に丸坊主にされた。
この世にスポーンしてから10秒、いきなり謝罪会見の如く丸坊主にされたこの者がそう。名をリンヒラという。
リンヒラはホーリーネーションの奴隷である。
ホーリーネーションとは極端すぎる男尊女卑と人種差別が根付いた宗教国家であり、人間の男性以外の存在は全て邪悪なもので、その邪悪さを償うためには労働をしなければならないというTwitterを始めたら3秒で炎上しそうな思想で動いている。
リンヒラも恐らく女性であることを理由に捕らえられたのであろう。なんでもオクラン教の教えでは女性は男性を誘惑して堕落させる闇の使者だそうなので。自分の所属サークルでも壊されたのか?
リンヒラに課せられた労働はリバース鉱山での採掘である。
神であるオクランの超巨大像を作るためにエンヤコラと作業をさせられる。労働以外の時間は磔、あるいは牢の中に入れられて過ごす事となり、自由時間はおろか休憩時間すら存在しない地獄のような場所だ。
そんな場所で出来る暇潰しなどピッキングの練習くらいで、暇な時間を見つけては足枷をピッキングで外していた。
見張りたちは労働以外のことを一瞬でもしたら殴りかかってくるくせに、何故か就寝時間の暇潰しにピッキングで足枷を外して遊ぶことにはおおらかで、殴りかかって来ないどころかすぐに新しい足枷をくれた。
なので懐に5つの足枷を隠し、常に120キロくらいの重りを抱えることで筋トレをした。いつか奴らの顔面を強めにブン殴ってやるために。
そう、今回のKenshiの目的は拳でもってリバース鉱山を開放し、ホーリーネーションの長を素手で〆ることである。
そのためにも脱獄して旅をしながら体や装備を鍛えなくてはならない。鉱山でできる修行もたかが知れている。
そして脱獄作戦は、深夜に決行された――って感じだったのに、なんか見張りがバグって動かなくなったので歩いて脱出できちゃった。写真撮るのも忘れるほど拍子抜けした。
頼むぞホーリーネーション。そこは何度か脱獄失敗させて憎しみを募らさせてくれ。俺に、お前を、憎ませてくれ。
そういうわけで修業の旅が始まった。格闘家に必要なものはパワーである。
なのでまずは大きなバッグを購入し、そのバッグに10キロの水が入った樽を8つ入れる。どんだけデカいバッグなのか知らんが、とにかく入れる。
そして同じ内容のバッグを3つ用意して全てを抱えて旅をする。合計240キロ以上の荷物を持って走り回れば勝手に筋肉は鍛えられるというわけである。ドラゴンボール初期の亀仙流でも20キロだか40キロの甲羅だったのに。それが持てるなら既に強いだろ。
というわけで走り続け、モウンという街の近くを走っていた時のこと、背後からいきなり複数の声が聞こえてきた。
ホラーゲームの敵か?
あまりに怖すぎるだろ。風貌も、言ってる事も。団体の中で「小さいの」呼びが浸透してるの止めろ。
追いつかれたら死んだ方がマシな目に遭わされる気がしたので、思わず全バッグをその場に置いて逃げ出した。240キロのバッグを全部捨てるの、事故現場みたいになってそう。
彼らの名はゴリロ盗賊団。ゴリロというゴリラに近い響きと風貌の生き物をリスペクトしてると思われる一団だ。
どうやら非武装がこだわりらしく、猫も杓子も武器を持っているKenshi世界においてはかなり珍しい武術家集団である。つまり私の先輩、あるいは同類と言える。
その先輩たちが信奉しているゴリロ。わたくしもリスペクトせざるを得ない。
というわけでモウンに住むグレートホワイトゴリロという、ゴリロ界のボスのもとへ向かって修行をつけてもらうことにした。
Kenshiの世界では強い敵と戦えばそれだけ能力が伸びやすいので、強さの割には攻撃力が控えめなグレートホワイトゴリロ先輩は修行相手としてうってつけなのである。このゲームって攻撃力が控えめじゃない相手と戦うと簡単に手足もげるし。
そういうわけで数十日の修業をして腕を磨いたリンヒラの行く先はとある塔。ゴリロ盗賊団のアジトである。
見よ、この飛び膝蹴りを。これが修行の成果だ。
まあ、攻撃アクションの種類が増えるMOD入れただけなんすけど。戦闘の見栄えが良くなって凄くいい感じ。
倒した敵をベッドに寝かせているのは先輩たちへのせめてもの敬意。
グレートホワイトゴリロ先輩との修行の成果はすさまじく、当たり所が悪いと回し蹴りで相手の手足が吹っ飛ぶくらいの威力を持つほどになった。どっちがゴリラなんだかわからん。
だが私がこれほどの力を手に入れたのもゴリロ盗賊団と出会い、彼らの存在への恐怖心があったからである。だからこそ、彼らの長とはタイマンで決着をつけたい。
いざ、尋常に勝負!
いや、お前は武器持っとるんかい。
勝手にゴリロをリスペクトした素手集団だと思ってたけど、もしかして単純に武器を買えないだけなんじゃないか?
この他にも数多の賞金首を倒し、己の武術にある程度の自信をつけた私は
ついに復讐を誓った始まりの地、リバース鉱山へと帰ってきた。
暴力で支配するホーリーネーションの戦士たち。その理不尽に心を砕かれた奴隷たち。2か月前に見たのと同じ光景である。
心置きなく私も暴力を振るえるってもんよ!
ホーリーネーションでは女性を闇の使者と呼んでるのは知ってたけど「"闇"がやってきた!」って言われるのちょっとカッコいいな……
そういうわけで100人近くのリバース鉱山兵士をあらかた倒し、奴隷たちの鎖を外してやったものの、一度折れてしまった心はそう直るものでもないらしく、人によっては「なんで鎖を外したんだ!早く牢屋に戻らないと殴られる!」と言って牢に戻る者もいたりした。
許せねえ……
人間の尊厳をここまでへし折ったホーリーネーション、許せねえ!!
というわけでホーリーネーションの首都の前でキャンプし、ホーリーネーション兵が通る度に殺していくことにした。
ゲーム的には武術で大勢を相手にするのは難しく、中に入って大立ち回りするのは少し無理があるなと感じたのである。
タイマンは結構強いんだけどねぇ。
そして数日張り込んだものの、イマイチ減ってる感じがしない。
ええい埒が明かない、もう寝てるところを誘拐すればええわ!
ということで、あのリバース鉱山を脱獄した全ての始まりと同じ深夜。
全てを終わらせるための寝起きドッキリを仕掛けることにしたのである。
こちらがホーリーネーションの長、ホーリーロードフェニックスさんです。
っていうか、一国の長なのにその辺の戦士と同じ部屋で寝るの?
個人用っぽいエリアもあったのに何でこっちで寝てるの? 寂しがり屋? 修学旅行気分? 寝る前に好きな人の話とかした?
色々気になりつつも、隠密も鍛えていたのでさっくり背負うことに成功。
この世界では背負われた人間は一切抵抗が出来ないので彼はほぼ詰み。
さて、どこかでコイツと戦いたいが、どこで戦うのが相応しいだろうか。
悩んだ結果、やはり師匠と呼べるグレートホワイトゴリロ先輩の前で戦い、修行の成果を見せるべきと判断。
師匠、見ててください。貴方との修業は全てこの男を殺すためにあった!
キエエー!!
ハイイーー!!
というわけで勝利。かつて私が奴隷だった頃のように縛り付けることにしたのである。完全に私怨であり復讐だ。
復讐は何も生まないかもしれない。だが復讐をせねば前に進めぬ人間もいる。復讐とはそれまでの自分の人生に決着をつけるためにあるのだ。
ちなみに彼の左足がないのは私が怪力すぎてローキックで膝から先が吹っ飛んだからです。復讐は何も生まないかもしれないが筋肉は生んだ。
吹っ飛んだ足はちゃんと拾って彼の服のポケットに入れておいてあげました。落とし物はちゃんと届けてあげなきゃね。
この親切心にはオーディエンスの皆さんも発狂して大喜び。
彼らはホーリーロードフェニックスを縛り付けるための棒を貸してくださった人食い族の皆さんです。
「これは自分の復讐だから」と一人で旅してきたけど、終着地点でこんな優しさに出会えるとは思いませんでしたね。
彼女はこれからも己の拳を鍛えつつ世界を旅していくでしょう。
これにて奴隷拳士の旅は終了です。ありがとうございました。
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