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100人で100人の夢を叶える! 大澤研が目指すウニ型組織とは!?

大澤研究室で「ウニ型組織」の研究をしている、研究員の杉浦です。

私は今年の6月に大澤研究室にジョインし、8月21,22日に開催された電子情報通信学会ヒューマンコミュニケーション基礎研究会において、はじめての論文発表を行いました。

今回は、私たちが研究する「ウニ型組織」について、研究会で発表した論文の内容をもとに、専門知識のない方にも知っていただけるようご紹介したいと思います。

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著者紹介
杉浦 愛実 ( Manami Sugiura )
日本大学文理学部 大澤研究室 研究員.2015年 慶應義塾大学文学部卒.新卒でプリマハム株式会社に入社し,社長・役員秘書に抜擢され,従業員や取引先との調整役を経験.2017年に株式会社電通での営業職に転身.クライアントのコミュニケーション課題に合わせたソリューション提案や、プロモーション業務を手がけた.その後2020年より現職にて組織設計・コミュニケーション設計の研究に従事.特定非営利活動法人スポーツランド 理事.ライター.気づきのきっかけをつくることをテーマに活動中.​

100人で100人の夢を叶える組織の形をつくれないだろうか?

「1つの目的」が中心にある、現在の組織
現在世の中に存在している組織の多くは、組織の目的追求が第一にあり、そのための組織設計がされていると言えます。
数人、数百人、数千人で、組織の中心にある1つの目的を追求します。
たとえば多くの会社では、利益を上げるために必要な部署が設置され、その部署にふさわしい人材を採用したり、育成したりします。

一人ひとりの夢や目的が起点になれば、組織が生む価値は多様化できる
それに対して私たちは、自分の目的を追求する個人と個人のコミュニケーションや関係性から組織を設計することができないだろうか、と考えました。
個々人の目的は異なりながらも、個性を活かしてそれぞれが役割を担い、関係性が組織化されていくような形です。

このように、一人ひとりの夢や目的を起点とすることで、異なる目的を持つ個々人同士が自然な協力関係を構築し、多様な価値を創造する組織が実現できるのではないかと考えています。

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新しい組織の形を研究しよう
既存の組織の形では、100人の組織であれば、100人で1つの目的に向かっています。

私たちが目指すのは、100人いたら、100人で100人の夢を叶え、自己実現を達成するような組織の形です。

このような想いを出発点として、新しい組織の研究がスタートしました。

ウニの形の「ウニ型」組織

「ウニ型」の組織って?
私たちは、この新しい組織の形をウニの形に見立てて、「ウニ型組織」と名付けました。

一人ひとりが自らの目的に向かってバラバラの方向を向きながらも、中心では繋がり合っている組織の形だからです。

ウニ型組織では、組織に属する一人ひとりが、一本一本のトゲとなります。

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目的の数だけ、構造がある
既存の組織では、組織としての1つの目的に向かって1つの構造を持ちますが、ウニ型組織では、目的の数だけ構造を持ちます。

このとき、「ホラクラシー」という組織運営モデルを参考に、目的に向けた役割を構造化します。

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一番外側の円に自分の目的を置き、その目的を達成するために必要な副目的や役割を、小さな円で内部に書き込みます。副目的の達成に向けて必要となる副目的や役割を、この円の内部にさらに小さな円で書き込んでいきます。これを繰り返し、目的の達成に必要な副目的や役割を、円の入れ子構造で表します。

一番小さな円は、一つひとつの「役割」を表します。

個人、チーム、そして組織と、それぞれが目的に向けた役割の入れ子構造を持ちます。

ウニ型組織のつくり方

すべては「個」からはじまる
ウニ型組織は、個人と個人の関係性から組織が作られるため、ウニ型組織をつくる際には「コミュニケーション設計」が大きなカギを握ります。

現在、ウニ型組織をつくるためには4ステップのコミュニケーション設計が必要だと考えており、これらを一つひとつ見ていきたいと思います。

最初のステップは、個々人が「自己の目的の言語化と構造化」を行うステップです。

具体的には、以下のように目的を構造化していきます。

1. 自らが達成する目的を端的な文章で表現する。
2. 言語化した目的を、2つのアプローチで構造化する。
 a. 自らが考える目的の達成に重要となる副目的を記述する。
 b. 自らが現在取り組んでいることが、どのようにして最終的な目的の達成に寄与するかを考える。

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他者理解から関係構築へ
次のステップでは、「他者の目的の理解」を行います。

ステップ1で目的の言語化と構造化を行った人たち同士で、お互いの目的の構造について説明しあい、理解を深め合います。このとき、相手の目的の構造を理解するだけでなく、自らの目的との関係性を探れるように、対話力を磨くことが重要です。

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そしてステップ3は、「自己と他者の目的の関係性の構造化」です。

ステップ2で理解したお互いの目的とその関係性をもとに、実際に協力関係を提案し、関係性を構築します。

関係性の構築には、2パターンの方法があると考えられます。一緒にチームを組まない場合と、組む場合です。

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チームが組織になっていく
ステップ3までを経て、自らの目的に向けた構造には、他者の目的と交わる役割や、他者とチームを組んだことで新たに生まれた役割が含まれるようになっていると言えます。

さらに、チームや組織も擬似的に人格化することで、チームや組織の目的の構造も描き、個人・チーム・組織の間でそれぞれ関係性を構築します。

これにより、個人・チーム・組織がそれぞれ独自の目的の構造を持ちながらも、お互いに何らかの役割を担っている形が構築でき、組織として成り立つ状態をつくることができると考えます。

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ドラえもんとつくる、ウニ型の未来

ドラえもんがいれば、70億人が仲間になれる
私たち大澤研究室がつくっているドラえもんは、のび太にとってのドラえもんのように、私たち一人ひとりに寄り添う存在になってくれます。

既存の組織の形では、自分の目的を大切にできなかった人。社会構造的な問題で夢を諦めざるを得なかった人。そのような人をなくし、いずれはドラえもんと一緒に世界中の人たちがお互いの目的を支え合えるようなウニ型の未来をつくれればと考えています。

関係性解析やエージェントなどの技術の導入
組織の規模が大きくなってもウニ型が成り立つために必要な技術として、今後は「関係性解析」や「エージェント」を導入していきたいと考えています。

関係性解析は、個人やチーム、組織の目的の構造を解析することで、組織の人数が増えてメンバー同士で十分な対話の時間を持てなかったとしても、その人にとって最適な役割やチームをレコメンドしてくれるような技術です。
これにより、構造化を効率的に行うことができるようになると考えています。

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エージェントは、ここでは複数の人や要素の間で仲介役として機能するソフトウェアやシステムなどを意味するエージェントを指します。

人によるコミュニケーションのみでウニ型組織をつくろうとすると、個人の目的の構造化の過程において、キャリア開発やライフプランニングの専門家の起用やコーチングの導入など、人的コストがかかると言えます。

そこで、対話や傾聴、コーチングといった機能を持つエージェントを導入することで、個々人の目的の構造化を効率化させ、相互理解のステップにおけるメンバー同士のコミュニケーションも促すことができるようになると考えています。

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実際に発表してみて

未経験から論文を書いてみて
今回私が執筆したのは、学会に提出する論文としてははじめてとなる論文でした。

6月に研究を開始してから2ヶ月で論文投稿、3ヶ月で論文発表というスケジュール。

先行事例の文献研究と、実際の大澤研究室の運営における実践とを行き来しながら、研究を進めました。

研究は、「発散」と「収束」を繰り返して行われます。

「この研究が役立つかも?」と、気になった先行研究について調べ、さらに関連する研究を調べ…と、「発散」していくフェーズは好奇心がフル稼働してどこまででも行けそうな感覚がありました。

一方で、それらの情報をもとに理論としてまとめていく「収束」のフェーズは、論点を一つにして客観的に筋の通る理論にまとめる必要があり、「発散」以上にテクニックが必要です。

実際、この「発散」と「収束」の転換点、特に「収束」のフェーズにおいては、研究者としての経験や実績を持つ共著者の大澤正彦や野寄修平とコミュニケーションを取りながら、論点を鋭く指摘してもらい、なんとかまとめることができました。

ウニ型組織の規模拡大に向けた関係性解析やエージェントなどの技術の導入といった点も、ドラえもん研究を専門とする大澤正彦の専門知識があってこそでした。

この論文自体が、ウニ型だからこそ書けた論文と言えるかもしれません。

実際に発表してみて
8月21日のヒューマンコミュニケーション基礎研究会における発表では、コミュニケーション研究の専門家の方々を前にこの研究の面白さを伝えなければならず、論文とはまた違う準備が必要でした。

プレゼンテーションで使用するスライドは、発表練習と研究室内でのフィードバックを受けて、何度も内容を修正することに。

はじめは伝えたいことが多く内容がてんこ盛りだったスライドも、最後はうまくストーリーを絞ることができました。

これも、忌憚のないフィードバックをくれた仲間たちのおかげです。

この頃には、組織研究を行っている三浦紘嵩や、法律家の吉田成希も、時間を割いて発表練習に付き合ってくれました。

発表自体はあっという間でしたが、多方面から新たな視点での質疑をいただくことができたので、今後の研究に活かしていきたいと考えています。

温かい議論の場をくださったヒューマンコミュニケーション基礎研究会の皆様に、この場を借りて御礼をお伝えできればと思います。

ありがとうございました。

さいごに

ウニ型組織の研究は、まだまだスタートしたばかり。

今後も、「発散」と「収束」、「理論」と「実践」を行き来しながら、より良い内容にブラッシュアップしていきたいと考えています。

このnoteをお読みいただいた方も、ご意見・ご感想などがございましたら、ぜひお気軽にご連絡をいただけると嬉しいです。

大澤研究室ホームページ
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最後までお付き合いいただき、ありがとうございました。
今後も大澤研究室のnoteでは、多様な研究の内容をご紹介してまいりますので、どうぞよろしくお願い致します。

大澤研究室 研究員 杉浦

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