2025.2.22 FC町田ゼルビア vs FC東京
おはこんばんちは。
第2節FC東京戦です。この対戦カードも2年目となりますが、いまだにダービーの冠がつかないことに驚きを感じながらも、ヴェルディとの東京クラシックもここ3年くらいで一気にダービーぽい感じになってきたので、こういうのは時間の積み重ねがダービーとしての形や雰囲気を作っていくのかなと思いました。
というわけで、振り返っていきます。
スタメン
ゼルビア：3-4-2-1
スタメンは前節負傷した菊池流帆に代わり、ドレシェビッチが入った以外は、前節と同じ。同じく前節負傷交代した岡村は連続スタメン。3バックは中央に岡村、左に昌子、右にドレシェビッチとなった。
FC東京：3-4-2-1
こちらもゼルビア同様の3-4-2-1。スタメンは前節と同じだが、ベンチは小柏が外れたり、橋本が入ったりと入れ替えがあった。
膠着状態が続いた理由
この試合はスコアが動いたのも82分と遅く、かなり堅い試合だった。一言で言ってしまえば、両チーム3-4-2-1で噛み合っていたから、に尽きるのだが、それではつまらない。基本的なシステムでは噛み合っていても、配置でズレを作って点が取れるチームと前節試合したばかり。ここに両チームの課題がありそうなので、整理しておきたい。
まずは、噛み合わせを整理しておきたい。基本的には下の図のような形になる。だが、この試合のゼルビアが前節と違うのは、まずは両WBがしっかり戻って最終ラインで5レーンを埋めようという狙いが見られた。前節であれば、最初からWBが相手のWBを見る意識が強かったので、距離感も近かった。だが、この試合では、オープンな展開が得意そうな相手のスピードのある前線の3人に対するリスク管理という意味合いが強いのだろうか、WBの守備でのスタートポジションが低かった。
ボール保持時のFC東京は、右WBの白井が高い位置を取るものの、内側のレーンに入ることが多く、見方によっては、右に偏った4-4-2ぽく見えた。というか、実際そうだと思う。右HVの土肥がSBのような立ち位置だった。そういうFC東京の配置に対して混乱しない、惑わされないためにもまずは引いて構えるという狙いが見られた。なので、前プレでハマった！と思っても森重や土肥のところが余ってたり、前ﾁｬﾝに捕まえられることを嫌がった小泉がサイドに流れてきて、小泉が余ってたりとプレスが空転させられることもあった。だが、FC東京はそこからの前進のアイデアが少なく、サイドから斜めにマルセロヒアンにパスを入れても、孤立していて、岡村や昌子にボールを奪われるシーンが多かった。また、GKの野澤が見事にプレスの矢印を折ってもターゲットのヒアンが孤立しているので、同じような流れになってしまっていた。
一方の右サイドは、長友と俵積田の両者が大外のレーンでボールを受けることを好むタイプに見受けられたが、長友の代名詞的な大外からのオーバーラップは見られず、後ろで余っていたのが切なかった。
東京としては、前節同様にゼルビアの左サイドから崩したかったのだろうが、中山と昌子のいるサイドなので、行く行かない、奪いきるか後ろに戻させるのかのプレーの判断がさすがだなという感じで、こちらがブロックを構えたときには苦しそうだった。
FC東京としてはなるべく最終ラインの背後にロングボールを蹴って、事故を起こすようなシーンを作れたら良かったのかもしれないが、後半に比較的早い時間にヒアンを引っ込めてしまったこともあり、厳しそうだった。とはいえ、仲川がかつての快速と飛ばすようなシーンがほとんどなく、中盤で下がってリンクマンとしてのプレーに留まっていたところに切なさを覚えた。
じゃあ対するゼルビアの保持は？
FC東京が前から全然来てくれないのもあって、この試合は比較的最終ラインでボールを保持することができた。ただ、FC東京の前線は岡村からドレシェビッチへの横パスをスイッチにプレスに来ており、イボとヘンリーの立ち位置が近いこともあり、そこで詰まってカウンターを食らうシーンも何度かあった。なぜかこの試合は、ヘンリーが攻撃時も前線に張り付くことが少なく、ここから見てもこの試合はボールを持って繋ぎたいんだろうなと思った。
一方で左サイドについては詳しくは後述するが、ハマらないときはとことんハマらないし、相馬の個人の仕掛けと中山の内側/外側を問わない攻撃参加で何とかしていた感も否めなかった。
肝心の中央はオセフンが森重にいいようにコントロールされてしまい、そもそものロングボールが入るシーンが少なかったのもあるが、インプレ―中に目立つことが少なかった。西村もオセフンが交代でピッチを後にしてから戦い方が変わり、背後のスペースを突くようになってからは活路を見出していたが、オセフンとの共存は引き続きポイント。西村が背後に飛び出す動きをしていても、なかなか使ってもらえることは少なかったし、狭いスペースでボールを受けても無理やり前を向いてどうにかしようとするタイプでもないので、得点シーンのような少ないタッチでシュートが打てるような、西村がゴール方向へ向けるような仕組みを作っていく必要がある。
という感じで、両チームともに完成度がまだまだで、ゾーン2以降、特にゾーン3でどうやって相手のブロックを崩すかの絵ができあがっていないように感じた。そのたよめ、この試合のように両チームが噛み合い、お互いの強みが無力化されてしまうような局面での対戦になってしまうとこうなるよなあという感じ。
とはいえ、0-0で試合を進めてどうにかしてでも1点取って勝つ、というやり方はこのチームが目指す美学みたいなものでもあるし、それができたという点では一定の評価はできるのではないか。そのために強固な最終ラインを揃えているので。そういう意味では、FC東京の集中力が落ちた隙を突けた点でそれなりの評価はしたい。
見えてきた脱オセフン
先ほども少し触れてはいるが、この試合ではオセフンにあまり依存せずに前進して、ゴールに迫りたいという狙いが見られた。これには、キャンプから取り組んでいることでもあるので、やったという側面もあれば、FC東京があまり前からプレスに来なかったのでボールを持つ余裕があった側面もある。なので、1枚カードをもらっており後半開始早々に退場しかけたオセフンをすぐに下げて、西村のワントップに切り替えることができた。オセフンに代わりデュークを入れる判断もあったと思うが、同じようなことを続けるよりも変える判断ができたことは成長を感じる場面ではないだろうか。
脱オセフンの象徴となる1つの形が左サイドの攻撃だ。
この試合、中山は個人の判断なのか、チームの約束事なのか分からないが内側のレーンに立つことが多く、中山が空けたスペースを相馬が降りてきて使ったり、前ﾁｬﾝがサイドに出てきてボールを引き取ったり、昌子が少し上がったりとかなり流動性があった。そのためか、フリーの選手ができたり、1vs2の数的不利になるシーンが右サイドの攻撃に比べて少なかった。中山も相馬も前ﾁｬﾝもそれぞれ左サイドからクロスを上げる場面があり、昌子もかなり高い位置を取って、FC東京のブロックを押し下げる役割を果たしていた。各々がそれぞれの役割を果たしている感があった。とはいえ、じゃあどのくらいそれが再現度のあるものかと問われると、まだまだ足りないかなと思う。
また、これは両サイドに共通していたが、大外の選手が前向きで持った時にまず中を見ることを徹底していたと思う。なので、何度かオセフンがフリックしたりスルーして、その奥にいる逆サイドのシャドーの選手が前向きでペナ内に侵入しようと試みていた。じゃあその先に何があるのか？と聞かれたらシュートであり、ゴールなので、このようなシーンをもう少し前の位置で行うか、浮き球で、手前のオセフンではなく奥のシャドーを使う必要があると思う。ただ、こういう絵をチームとして共有できていることは最初の1歩かなと思う。
というわけで、若干個の質で殴れた感も否めないが、左サイドは少しづつ形ができてきた。だが、ペナルティエリアにどうやって進入するのか、得点シーンのようなクロスの場面を増やしていけるのかは改善が必要かもしれない。ただ、もっと改善・取り組みが必要なのは右サイド。ヘンリーという分かりやすい特徴の持った選手がいるからこそ、活かし方が難しい。ヘンリーが高い位置まで攻撃参加すれば、ドレシェビッチが晒されてカウンターを受ける機会が増えてしまう。脱オセフン依存のためには左右でそれぞれ形を作っていく必要があるので、ここは慎重に設計していく必要がある。
試合結果
町田 1-0 FC東京
得点者：82' 西村拓真
さいごに
まずは1勝、めでたい。とはいえ課題はたくさんある。今の形は個人の能力に依存している部分も大きく、広島戦の50分以降のようにガタガタと崩れていく脆さもある。だが、西村が試合後のインタビューで答えていたように、勝って修正できることは良いことだし、これを続けていきたい。
あと少し気になるのがセットプレー。昨シーズンまでの幅広いトリックプレーがあまり見られない。また守備時においても、この試合ではニアで逸らされるシーンが何度かあったし、広島戦でも相手に先に触られているのが気になる。
次節は中3日で東京ヴェルディとの東京クラシック。ミッドウィークに組まれたのは残念だが、メンバーの入れ替えがあるのか、ほぼ変わらずに行くのかというメンバー選考含めて楽しみ。かくいう私は仕事の都合で現地どころかリアタイできるかすら怪しい…なんとかして情報をシャットダウンして見たい。
今節もお読みいただきありがとうございました。