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2024.12.8 FC町田ゼルビア vs 鹿島アントラーズ マッチレビュー
おはこんばんちは。
今シーズン最後のマッチレビューになりました。今回もよろしくお願いします。
ゼルビアとしては、自分たちが勝利した上で他会場の結果次第では優勝の可能性があるという高いモチベーションで試合に臨めるシチュエーションに。対する鹿島も4位に入れればACL出場に臨みを残せる状況で、かつ今シーズン無敗のカシマスタジアムでシャーレを上げる瞬間を見たくないという動機も働く状況でした。
ゼルビアは夏の移籍市場で相馬、白崎、杉岡と鹿島在籍経験のある選手を追加した一方で、鹿島は海舟がドイツに、ポポさんは解任というステータスになってしまいました…(再戦楽しみにしていたのですが…)
という訳で、試合の振り返りに行きたいと思います。
スタメン
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ゼルビア:3-5-2
前節はホームで1-0で勝利。スタメン、ベンチともに変更なし。熾烈な外国籍枠の争い。
鹿島:4-4-2
前節はアウェイでセレッソに2-0で勝利。メンバーは欠場となったブレーネルに代わって、名古が先発。代わりに須藤がベンチ入り。
鈴木優磨 vs 下田北斗
試合序盤は、太陽の光が入ってきて、かなりゼルビアとしては眩しくてやりづらい状況であった。そして両チームともにロングボールを多用し、できるだけ相手陣地でプレーするような選択肢を取っていた。だが、ゼルビアはゴールがダメなら、すぐにコーナーフラッグ付近にボールを運んで、コーナーキックもしくはスローインを狙っていたのに対し、鹿島は人数が足りてなくてもとりあえずにゴールに向かうという、ロングボールの後の狙いに大きな違いがあった。鹿島の狙いは前期のゼルビアっぽさも感じたし、それができるのは鈴木優磨と師岡の単騎で突破できるアタッカーがいるから可能なんだと思う。
ゼルビアは、エリキは単騎突破の動きは見せたものの、鹿島の戻りが早くて、囲まれてしまうことが多かった。というよりも、鹿島の方がライン設定がゼルビアに比べて低いので、対ロングボールの観点で守りやすそうだった。
話が脱線してしまったが、ロングスローやセットプレー狙いのゼルビアは4:30にロングスローの流れからドレシェビッチがシュートを打った場面があったが、あれが入っていれば試合の流れは変わっただろうなと思う。そりゃあ黒田さんも「終わってみれば立ち上がりが全てだったという印象の試合になりました。」という試合後の第一声になりますよな。
一息ついた鹿島は、鈴木優磨が少し降りて、2トップが縦関係になるような形でボールを引き出すことが多い。この時、下田が付いていくのだが、下田が引っ張り出されると一気に最終ラインが晒されてしまう状況に。特に、ネガティブトランジション時にこの状況が作られるので、両WBやIHの戻りが間に合っていないことがほとんど。鈴木優磨に対して下田1人が見る状況で、鈴木のボールキープから背後に走った師岡へパスが入って、6分に失点。前節の京都戦ではぎりぎりのところで防げていたようなシチュエーションで失点。
下田が悪いというか、構造的にそれを許し続けている方が問題だと思うので、最初からダブルボランチでも良かったのでは?と思うが、配置を変えるよりも人を変えることを好む監督なので、それは難しいだろうなあというのはこの2年間での気づき。
球際、空中戦…強みの部分で上回られる
ということで、早々に失点してしまい優勝のためには前に出るしかなくなったゼルビア。ということで、ロングボールを使いながら相手のゴールに迫っていく。8:20~のオセフンのシュートまで行ったシーンは盤面をひっくり返す形で、一番狙いとしていた流れだろう。だが、前途のイボのシュートシーン含め、「一本中の一本」を決めきれなかった。対する鹿島はその「一本中の一本」で確実に仕留めてきた。
アクシデントがあって、名古に代わり、樋口が右SHに入る。その直後、関川の縦パスから少タッチで中央のレーンで繋がれ、林の背後に走った樋口がカットインからのシュートで得点。黒田ゼルビア攻略法の鉄板である、中央での少タッチプレーの連続からのサイドプレイヤーのフィニッシュで2失点目。そもそも関川にノープレッシャーなこと、柴崎に背中を取られた相馬、下田の脇に降りてきた師岡。各選手たちが繋がって動いていたのが印象的だし、中盤でアンカーを採用しているチームに対しての鉄板の崩し方だった。広島戦で散々見せられた失点パターン。
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鹿島は下田の両脇とWBの空けたスペース、最終ラインの背後のスペースを狙い続けていて、シンプルだけど、そこに技術や個人の能力が伴っているので、そりゃあ点取れるよ。ゼルビアはハーフタイムに中山をアンカーに置いたけど、1人で潰せるような選手じゃないし、走れる選手でもないので、難しいよなという感じ。
守備時に5-3-2を採用している以上、中盤のフィルター性能が落ちるのは当たり前であるが、この配置にしてから戻りの速さだったりIHの守備への貢献度が落ちているのが気になる。来季のことを考えるのであれば、宇野禅斗が最適だろうなあという感じ。
そもそも5-3-2自体がコンパクトでない、チームとして前から行くのか、引いて構えるのかがちぐはぐしていて、間延びしているので、繰り返しこういう状況になってしまうのだろう。4-2-4プレスがハマらなくなってから3-5-2に変えたが、プレスどう行くんだっけ?って選手に迷いが生じているのでエラーが止まらない。そして、鹿島はこういうエラーを見逃してくれるチームではない。
間延びしているので、寄せ切れない場面が増えてしまう。その一方で、鹿島はリードしている状況も相まって、4-4-2のブロックで引いてコンパクトに構えることでチームが統一できていた。そのため、中央でもサイドでもボール保持者の近くまで複数人が寄せてきて、ゼルビアの選手に圧力をかけ続けていた。
その圧力に屈し続けたゼルビアは、人を変えてみたものの、前から行くのか、その場合はどこで奪うのか、どうやって前進してどうやってゴールを奪うのかのチームとしての絵を描けなかった。
先制点がすべてと言えばすべてにはなるが、課題に目をつぶり続け、人を変えることでしかチームに変化をもたらすことができなかった監督以下のコーチ陣の問題なのではと思わざるを得ない。
この辺りはシーズンレビューでも書きたいと思っているが、途中に移籍やケガ人もあって、難しい状況になってしまったのは事実であるが、課題自体は4/3の広島戦から顕在化しているのだからもう少しやりようはあっただろうと思ってしまうなあ。
試合結果
町田 1-3 鹿島
得点者:5' 師岡柊生
16' 樋口雄太
23' 下田北斗
47' 鈴木優磨
さいごに
配置とかもあるんだけど、トラップが大きくなって奪われたり、パスが強すぎてトラップをミスしたり、逆にパスが弱すぎでパスカットされたり、細かいエラーが多すぎたなというのが、書けなかったところでの印象です。あとは、オセフン/デュークやヘンリーをどこで競らせるのか。屈強なCBと競らせるのか、ミスマッチのSBと競らせるのかも統一感が無かった。
こういうプレッシャーのかかる試合をことごとく落としてきての今シーズンの結果なので、来季はタイトル経験者を中心に補強が走るのは想定内だが、今いる選手がどれだけこういう場に慣れるかも重要だと思うので、残ってくれた選手たちの成長にも期待したいオフシーズンになりそうです。
最後までお読みいただきありがとうございました。