
2025.2.16 FC町田ゼルビア vs サンフレッチェ広島 マッチレビュー
おはこんばんちは。今シーズンもついに開幕ですね、ということで振り返りもやっていきたいと思います。最後までお付き合いよろしくお願いします。
スタメン

町田:3-4-2-1
噂通り、今シーズンの初戦は3バックでのスタートです。3バックの並びは左に昌子、中央に菊池、右に岡村という並び。注目のボランチの組み合わせは前と白崎。WBは予想通りで、シャドーが相馬と新加入の西村になりました。
広島:3-4-2-1
広島は先週末に神戸とスーパーカップを戦い、水曜日にはベトナムの地でACL2を戦って中3日で臨むこの試合です。にもかかわらず、そこから選手の入れ替えは無く、スーパーカップからも代表活動で離脱した中島1人の変更にとどまりました。
新加入選手と狙いがハマった前半
序盤は開幕戦らしく、膠着した時間が続いていました。両チームともにリスクを恐れてか、一切繋がずにロングボールを多用していました。その後、少し落ち着くと、広島は最終ラインとボランチでボールを回しながら、ゼルビアのプレスの出方を確認しては、寄せきられる前にロングボールで陣地回復していました。この辺りの落ち着きは流石だなあと感じました。
そして、ロングボールのところでは、両チームともに守備側が競り勝つ機会が多かったです。ゼルビアの攻撃時は頂点のオセフンと広島の荒木が競るシーンが多かったですが、荒木のオセフンを落下地点から押し出して、自分が落下地点に入る空間を空けるような競り方が非常に良かったなと思いました。とはいえ、オセフンが競り勝てない時は大体、落下地点に入ることろで既に勝負がついていることが多いので、そこの改善が見られないと今年も神戸や鹿島など屈強なCBがいるチームには今日みたいにオセフン自身も観てる側もフラストレーションが溜まりそうです。
一方のゼルビアの守備時はジャーメインと主にCBの中央の菊池が競ることが多く、ほとんど競り勝っていましたが、ジャーメインの滞空時間の長いジャンプに上回れる場面が何度か。とはいえ、個人的には念願の雄叫びと煽りが見られて大満足でした。
次は肝心のセカンドボール争いですが、ここは新加入の前がさすがの危機察知能力で、いたるところでボールを回収していました。広島にセカンドボールを拾われても、広島はポジトラで少ないタッチ数で直線的にゴールへ向かうことを好むチームですが、その広島のパスコースに立ち、パスカットしてボールを回収する場面も目立ちました。
ただゼルビア的には、その後のカウンターの設計が不十分だったなというか、個人にかなり依存したものであるなと感じました。基本的にWBは最終ラインに吸収されているので、1トップ2シャドーで完結させる必要があるのですが、いかんせん幅が取れないので、窒息状態でした。その中でも相馬は個人で何とかしてやる!という気概が感じられるプレーが続き、それが結局先制点にも繋がったのかなと思いました。相馬個人はコンディションが良さそうに見えました。西村もリンクマンとしてライン間のスペースでボールに受けることはできていましたが、受け手側の動きが不十分というか、どうやってゴールまで迫るかの絵が共有されていない気がしました。とはいえ、相馬の頑張りと前の危機察知能力で中盤より前は何とか成り立っていた感じでした。
その後は、両チームともにロングボールを右WB目掛けて蹴る展開に。ゼルビアは望月ヘンリー海輝に対して、広島は中野に対して。ゼルビアの方は比較的空中戦で勝利して、収めることはできていたけれど、その後に前と横のフォローの動きがあまり見られず、バックパスせざるを得ない状況になっていたのは昨シーズンよく見られた展開でした。一方で、広島の中野に対しては前半は中山が見る形であったが、ここはかなりゼルビア優勢の局面だったと思います。正直、ここが勝負どころでもあったと思います。
昨シーズンはこのWBのところで抑えられずに、苦労した後半戦だったので、前半時点ではこれなら今季少しはやれそうかなと思っていました…
という感じで、ゼルビアハイプレス→広島ロングボールで回避→ゼルビア最終ラインで競り勝つ→ゼルビア(前)が2ndボール拾って個人で速攻、もしくはロングボール、という流れの前半で、ゼルビアの土俵の上で比較的良い時間を過ごせていたように感じました。
不運と準備不足と広島の柔軟性の後半
前半途中に岡村が、後半開始早々に菊池が負傷交代。CB2人を失ったチームは交代枠が削られたことも含めて厳しい状況になりました。とはいえ、昨シーズンのアウェイ福岡戦のように、それが良い方に転べばチームとしての団結を深めることもあるわけで、どうなるか見てみようという感じでした。
ですが、それが結果として試合の流れを大きく変えることに。前半上手く行っていた流れが、まずCBのところで競り勝てなくなり、WBのところで制圧できなくなってきました。特に途中出場の林と中野のマッチアップでは、中山が対峙していた時に比べ、中野との距離が空いてしまい、つまり林の最初の立ち位置が低くなったことで、中野がフリーでボールを持ってドリブルやパス、クロスの複数の選択肢を持てるようになっていました。昨シーズンのアウェイ広島戦で、指定席で目の前でこの対峙を見ていた記憶がフラッシュバックしました。林の立ち位置が低くなったのは、最終ラインが下がったり、競り勝てなくなったこともありますが、それでもどうにかならなかったかなあと思います。
あとは川辺の立ち位置の変化による影響は書き残しておきたいです。広島は前半は3-4-2-1で田中と川辺の2ボランチでスタートしました。ですが、配置的には噛み合っていたので、広島はボールの循環がどうしてもロングボール主体になってしまい、地上戦ではハイプレスや前のパスカットの餌食になっていました。

しかし、ゼルビアが先制してから徐々に広島のボール保持時に川辺が前に立ち位置を取るようになっていき、後半のスタートにはほぼ最終的には角度が垂直になって、3-3-3-1のような形になっていました。つまり田中のアンカーになるわけです。

それに影響されたゼルビアは、1トップ2シャドーが疲労の影響もありますが、3バックに対してプレスに行くのではなく、アンカーの田中のラインに立ち位置を取るようになりました。ですが、両シャドーは3バックの両脇に出てはいくので、田中の両脇が空くことになります。この川辺が空けた田中の両脇のスペースにトルガイと加藤の両シャドーが降りてきて、ボールを引き取り、縦に速い展開に持ち込みます。
前半は両シャドーを見ていたのは3バックの両脇でしたが、後半はそれを両CHが見ることになるのですが、ここは数的不利になっているので、なかなか降りて受ける選手についていく選択肢はありませんでした。ただ、ボールを持った以上は距離を詰めざるを得ないので、CHが出ていきます。この広島のシャドーとそれに付いていったCHの空けたスペースにジャーメインが顔を出してパスを受け、その後にパスを出したシャドー(主に加藤)がジャーメインからボールをもらいにスプリントするので、それに対してCHも付いていこうとしますが、走らされることになるので、後半は特に白崎は厳しそうでしたし、代わって入った仙頭も広大なスペースのカバーに苦労していたと思います。
こうして、川辺がスルスルっとポジションを変化させることによって、ゼルビアのブロックを縦横に揺さぶって広げ、コンパクトに守ってセカンドボール回収というゼルビアにとっての前半の良い流れを変えさせることで、試合を完全に支配していました。ブロックが間延びしたことで、良い守備からの良い攻撃もできなくなるので、攻撃も単発に終わり、後半はほとんどシュートシーンは無かったのではないでしょうか。
また、広島の途中出場した中村、越道も縦のレーンを上下して、ブロックを広げる役割を全うし、さらにはジャーメインとあわせてゼルビアの最終ラインがボールを落ち着いて持とうとしたときも自由を奪いにプレスに来ていました。これがかなり効いていて、蹴らせて空中戦の強いCBのところで奪えるからいいや、という風に割り切れてもいたのかなと思います。恐るべし。というか90分通じてターゲットにもなれて、リンクマンにもなれて、プレスの起点にもなれるジャーメインえぐすぎた…
ケガ人が2人も出るアクシデントもあったものの、2シーズン連続で結局は同じ展開に持ち込まれてしまったことには準備不足を感じざるを得ませんし、相手にリードを許した時にどうやってゴールに迫るのかが共有されていないところも昨シーズンと同じだったように見えました。
とはいえ、前半はそれなりにやれた手ごたえはあるので、ケガ人が出ないまま時間が推移していった世界戦も見て見たかったなと思います。ただ、広島が強かったのは確固たる事実として目の前にあるので、アウェイでどれだけやれるのかは楽しみにしておきたいと思います。
試合結果
町田 1-2 広島
得点者:26' 相馬勇紀
59' トルガイアルスラン
77' 中村草太
さいごに
この試合はゲームプラン的に0-0もしくは1-0勝利っぽ感じだったのかな。うちはWBに守備的な選手が多いので、攻撃を中央のレーンの選手たちで組み立てる必要があるのだけど、ベンチメンバー見てもバイロンがいないあたりにそれを感じました。なので、もう少しこちらの土俵で戦えそうなチーム相手には4バックにするとか、相馬をWBに置いて守備のタスクを軽減できるように、中山を3バックの左においてカバーさせるとかしないと、攻撃がやばそう。
脱オセフン依存うんぬんの前に、そこが気になりました。来週のFC東京相手には制空権取れるだろうけど、そういう相手ばかりでないのでね…