大好きで結婚したい人の話

Twitterで見かけたんだと思う、｢生きてて幸せな時｣で人の内面が見えるみたいな話。
それからずっと彼に聞いてみたいと思っていた。彼が幸せを感じるのは仕事なのかまだ結婚して浅い奥さんなのか、はたまた別のものだろうか。
ただしょーもない雑談でありながらも、それなりにちゃんと会話をしたい内容だったので、聞くタイミングはかなり探っていた。私自身がそれを覚えていない日もあった。
今日、ついにその時が来た。勤務中から彼の調子がかなり良く、楽しく話しながら退勤したところで、少しの沈黙が訪れた。明らかにチャンスだった。

彼の幸せ

かなり早く｢甘いものを食べている時｣と返ってきた。この甘いものはコンビニスイーツでもデパートのものでも関係ないと言う。私はこの日常にあるささやかな幸せを大切にしているところや、その素朴さ、甘いものに喜ぶ純粋さに惚れた。きっと私のことだからもっと大きいこととか、仕事のこととかをおっしゃっても、感心できただろうが、この決して大きくないものを選ぶ辺りが彼の寛容さや人あたりの良さにも繋がっているのだろうと強く感じた。そういう人と仕事が出来ていることに嬉しくなった。

併せて、仕事で幸せな時は人に褒められた時ではなく｢自分の決めた目標を達成した時｣だとおっしゃっていた。達成の基準が他者ではないことにかっこいいと感じた。やはり尊敬する上司である。あと半年、彼がどのように仕事に向かっているのかをますます注目したくなった。

幸せの訂正

私はこれで十分満足だったのだが、帰宅してからLINEが来た。

よく考えたら、奥さんが元気なのが1番かもしれません。ちゃんと訂正しておきます。

急な惚気としっかりとした感情に驚き、私は実際に倒れ込んでしまった。びっくりした。
きっとご帰宅されて奥様を見て、これだったと思ったのだろう。本当に奥様を大切にされているところにまた惚れてしまった。そうやって人を愛している姿が美しくて、大好きだ。
わざわざ訂正されるその律儀さと、部下からの雑談（もちろんこちらは真剣に伺っているが）に対しての真摯さにも感動した。

その前の回答でも既に人間味の溢れる心に触れて結婚したいなと思っていたが、ますますこの人と結婚したいの気持ちしか湧かなくなってしまった。全てが美しすぎる。こんなことをする人間が他にいるだろうか。そんなあなたの名字が欲しい。
この会話をするまでも彼のことが人として好きだったが、改めて大好きだと思えるし、もっと彼の心情を知りたいと強く思ってしまえるので、そんな人と結婚するのがいいのだと思う。結婚させてほしい。

この質問の私の意図

この質問を帰路でした時に｢なんで？｣と聞かれたが、｢知りたくて｣としか言えなかった。でも今ならなぜ聞きたいのかをちゃんと言える気がする。
やはり私は彼のことが人として好きで、憧れている。仕事一つ一つに対する姿勢がかっこいい。私もああなりたい、これからも背中を追わせてほしいと思わせてくれる人である。そんな彼のプライベートを少し触れられる関係になってきた。そこで彼が人を愛する様子も知った。
人として好きな彼の心にもっと触れたいと思えるような関係になったから、彼の“幸せ”を知ることで1つ紐解けるのではないかと思っていたのだと思う。

実際に聞いた結果、最初の回答から訂正に至る一連の流れから彼の素敵な部分にたくさん出会えた。ほんの少しの会話だが、私の中の彼の解像度が確実に上がった。そんな心情から生きている彼のことをもっと観ていたいし、またなにか聞いてみたい。
そして彼のような美しい人間になりたい。

その後

急なLINEで驚いたのでこの件ですよね？と念の為に確認したところ、スタンプが返ってきた。その返信として改めてこの会話のお礼を伝えた。
また返信があった。

新婚なのに甘いものと答えるのは奥様に悪いからとのことだった。
きっとこれもまた本心なのだろうが、それでもわざわざLINEに持ち越して訂正するなんて、余程奥様のことが好きで大切なのだろうなと純粋に捉えた。奥様ご本人の知り得ない会話なのに、甘いものを1番と言ったのが悪かったなーと考えてしまうところが可愛らしい。そしてそれをまた話してくるところも可愛い。

本当に素敵な心の持ち主だ。そんな彼に愛されている奥様が単純に羨ましい。
きっと私はその奥様の次に、もしかしたら同じくらいに彼のことを愛していると思う。それくらい彼の行動も心も大好きだ。家での姿は見られないが、奥様の見られない仕事の姿が見られることを得意気に思っている。