上書きの日々
毎日、新しい出来事でいっぱい。
今日出会った楽しいことは、今までで1番楽しい思い出になる。
今日体験した悲しいことは、人生で1番悲しいことになる。
息子のこと。
寝る前に、息子と今日の出来事を振り返ることを日課にしている。
何を聞いても「わからない」「忘れた」ばかりを答える息子も、
スペシャルな1日を過ごした日は、饒舌になる。
「楽しすぎて脳が爆発しちゃったよ」
なんて驚くような表現で、楽しさを伝えてくれる。
また、わたしは時々聞かずにはいられない質問を息子に投げかける。
「今までで1番楽しかったことはなに?」
すると、ここ最近で1番新しい「脳が爆発しちゃった」出来事が返ってくる。
そうか、そうか、君の思い出はつねに上書きされているのだね。
大きな船に乗って行った石垣島より、
新幹線に乗って行った台中旅行より、
ゲームを求めて、夜市巡りをしたあの夜より、
クラスメイトたちと水鉄砲で夢中になって打ち合いしたことのほうが
楽しいんだね。
そして、きっと今夜は、
不思議なライトを当てると浮かび上がるペンで、
壁やボードにお互いの似顔絵を描いて笑いあった今日が1番楽しい思い出になっているに違いない。
そんな日々上書きされ続ける息子の記憶。
わたしはできるだけ、楽しい思い出でいっぱいにするお手伝いができるといいな。