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カンガルー…って…。

2019年に、引っ越しを思い立ち、紆余曲折あって、やっと、引っ越しの旅を始めた2020年12月。しょっぱなから、向かうべき町、道で、洪水。ホテルもすべてキャンセルして、友人宅での2泊後、再び、引っ越しの地を目指して、出発。

実は、運転する道も、プランBなのです。海辺の道周辺は、いまだに、天気は大荒れ。日本の台風のような海辺になっていて、たくさん、流木が流れ着き、いつも美しい浜辺は、形相を全く変えていたのです。それで、しかたなく、内陸地を通る道で、目的地に向かうことにしました。

どこまで走れるかわからないし、ホテルも取らずに、友人宅を出発。友人には、Aという名前の町ぐらいが、妥当と、勧められていました。私も、友人宅を出る時には、そのつもりでした。

しかし、海沿いの道から、内陸の道へと入ると、大変平坦で、まっすぐな道が、ずっと続いています。両脇には、広々と広がる草原、もしくは、牧草地に牛か羊。すごくきれいです、牧歌的。最初は、しとしと、雨もふっていましたが、そのうち、どんより曇っているものの、雨はやみました。

なんだか、運転が嬉しくなって、もっと、走れる気がして、途中、ランチ休憩をとったときに、友人が勧める町のもう1つ先の町のホテルを、予約しました。できるだけ、距離を稼いで、早く目的地に着きたいという気になっていたんです。もう、海辺でのんびりする数日間のホリデーは、ぶっ飛んでしまったんですから。ニュースを見る限り、「浜にも立てません」状態です。

それが、大きいNo, No, Noで…。案外と、遠かったんです。この2つの町。携帯アプリの地図では、約2時間弱。でも、実際は、私のちんたら運転では、もともとの宿泊予定のA町までで、もう、5時前。運転は、もうお腹いっぱい状態です。自分でも思いました。体力的に、ここまでだったな。

でも、もう予約したんだから、仕方ありません。ガソリンスタンドで、給油をし、コーラとポテトチップスとぐみキャンデーを購入し、となりの公園で、しばし、休憩。砂糖を、頭と体に入れて、車だけじゃなく、私も、ブースト。

そして、その日の夜に泊まるB町を目指して、がんばって、車を運転。私の住む州は、夏時間があるので、その日の日没は、8時。運転していても、まだ、明るいです。全然、大丈夫。でも、正直、疲れた…。

宿に着いたのは、7時半。それから、オーナーに、部屋に案内してもらって、泊まるための荷物を部屋に運んで、8時には、付近のレストランも閉まるというので、あわてて、Take Awayを買いに行って…。ぐったりです。そのうち、友人から、心配のメッセージが。

「着いたん?」

ことの成り行きを説明したら、めちゃくちゃ、怒られました。7時過ぎには、着いてたからと説明するものの、彼女の説教モードは、止まりません。

「だから、A町までって、言ったやん!なんで、B町まで行ってんの?明日は、どこ、泊まんの?目的地まで、一気になんて、行かれへんからな―――!」

激おこです。

オーストラリア人の彼女にとっては、日本出身の私は、いつまでたっても、オーストラリアに不慣れな輩なのです。私、もう四半世紀、オーストラリアにおります…。でも、すごく心配してくれます。いろいろな、オーストラリアの文化、作法を教えてくれたのは、彼女です。ビーチでの、波の乗り方を教えてくれたのも、彼女でした。大都市に住んでいる時も、近くで何かがあると、気にかけて、電話をくれます。

私は、過保護な母に反発したい思春期の娘のような感情がこみあげてくることもあるんですが、「うん。ごめんね~。」と言います。でも、納得できないときは、自分の思ったことを実行します。それが、長年の付き合いでわかっているので、彼女は、そのにおいを嗅ぎ取って、続けます。

「ほんまに、危ないねんから!田舎道は、夕方に、カンガルーがでて、車と衝突事故が多発や!あんたの、小さい軽自動車級の車なんて、ひとたまりもないで~。ルーバー(4WDとかの前についている、カンガルー除けのしっかりした金属のバー)もついてへんのに。あたったら、車、ボッコボコやで。廃車やで!」

カンガルーの飛び出しって…。田舎のあぜ道ならともかく、国道やで、国道。道の両脇も、牧草地で、牛のための柵もあるし、大げさやで。広い野原ばっかりで、見晴らしよくて、遠くても、見えるし。しかも、私、暗くなる前に、着いたって~。

と言いたいところでしたが、ぐっとこらえて、「暗くなる前に着いたよ。」とだけ、言いました。ほんとは、「虹、2回も見たでぇ~。あんたの家の近くと、この町に入る手前でぇ~。すごないぃ~?」て、言いたかったのに…。

次の朝、彼女から、朝7時過ぎには、「今日は、どこで、泊まるつもりや?」とメッセージ。

ちょっとうんざりしたけど、3秒後、こういう風に言ってくれるの、ありがたいなと、思い直して。感謝して、引っ越し先に向けて、出発しました。今日は、ゆっくり目に走って、近くに泊まろう。

(続く…)


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