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浴衣+αのすゝめ。浴衣はもっと楽しめる。


「浴衣は着たことあります」な人はたくさんいる

呉服屋の繁忙期は、フォーマルや振袖専門店じゃない限り夏だと思います。
なぜなら、浴衣が売れるから。
普段は「店の前にお堀でもあるのか?」と疑うくらいに入店への警戒心を感じるのですが、夏になると世代問わずいろんな方が入店してくれます。浴衣の魅力はかわいいデザインや夏を感じられる特別感もさることながら、圧倒的に着物よりもお手軽に楽しめるところではないでしょうか。

もちろんひと口に浴衣と言っても、出来上がり品と誂え品、生地の素材や染めの技法など細かいところを知るとかなり幅広い商材で、「浴衣は安いからおすすめ!」なんて軽々しく言うことはできませんが、それでもやっぱり、着物を全て揃えるのに比べると手に取りやすいものだと断言できます。

呉服屋に勤めていた当時、実感したことのひとつに「着物に憧れがある方やいつか着てみたいと思っている方は案外多い」というのがあるのですが、そういう方のほとんどが浴衣は着たことがあるのです。そこには、着物にはあり浴衣にはない"ハードル"があるようです。

着物のハードルは浴衣が解決するのかもしれない

着物を着る上でのハードルはいくつかあります。

  • 全ての道具を揃える費用

  • 着付け(長襦袢との重ねや帯結び)の技術

  • 着物の種類や柄のルールなどの知識

  • 手入れや保管方法

これが浴衣だとどうでしょう。

  • 最低でも、着物と帯と帯板と腰紐2本あればOK

  • 着付けは比較的シンプル

  • 浴衣はそもそも夏用なので夏の間はルール心配無用

  • 基本、綿麻やポリなので自宅で洗える

少し肩の力が抜けませんか?

実は夏には「夏着物」というのがあります。着物は基本的に夏以外は同じものを着ることができますが、夏だけは暑いので麻や薄手の着物を着ることになります。夏着物も浴衣も、その季節でしか着られないという限定感が心をくすぐる点では同じだと思います。もし浴衣を夏着物のように楽しめたら、もう少しだけ着物との距離が近づくかもしれません。

浴衣+aのすゝめ

「今年は少しアレンジを楽しみたい」「着物っぽく着てみたい」方は、これからお伝えするアイテムを参考にしてみてください。少しずつ着物と浴衣の境界線を曖昧にしていきましょう。

レベル1:アイテムを追加・変更するだけ

  • 夏用の帯締めを締める

  • 着物用の三分紐と帯留めをつける

浴衣といえば細い組紐にトンボ玉の帯留めを合わせたりもしますが、それをレース織りの帯締めや、三分紐にしてみませんか。合わせて夏のモチーフの帯留めをつければ、途端に着物のような着姿になりますよ。ハンドメイドのサイトにも可愛いモチーフの帯留めがたくさんあるので、ぜひ探してみてください。

  • 足袋を履く(夏用のレース足袋もかわいい!)

  • 右近下駄を履いている方は、舟形下駄など着物でも履ける下駄にする

着物の草履と同じような形の舟形下駄なら、浴衣を一気に着物らしい佇まいにしてくれます。夏は足も汗をかきやすいので、私は桐の舟形下駄にレース足袋で過ごしています。軽さに加え程よく底にカーブがあるので、平たい右近下駄に比べると歩きやすいです。(厚底なのでスタイル良く見えるのも好きなところ)

  • 帯を天然素材のものに変えてみる

浴衣に原色のポリエステルの帯を合わせている方は、帯だけチェンジしてみませんか。麻や綿の帯は通気性に優れているほか、程よい摩擦があるのできちんと締めるとなかなか緩みません。またポリエステルより光沢がないので落ち着いた印象になります。ミンサー織や博多織など、着物にも合わせられる帯もあるので、いつか着物をきてみたい方はぜひ調べてみてください。

レベル2:アレンジを楽しむ

  • 半幅の帯結びのレパートリーを増やす

二筋太鼓もおすすめです。
まるで名古屋帯を締めてるみたい!

今はYoutubeでいろんな結び方が学べるのでとってもありがたいですね。先生によって若干結び方が違うのですが、とりあえずひとつのやり方を覚えてから、他の動画を見ながらいいなと思った部分だけを取り込んでいくのがおすすめです。
半幅帯はそのまま着物にも合わせられるので、覚えておくと着物の楽しみがグッと広がります◎

レベル3:もはやほぼ着物です

  • 嘘つき衿や衿付きのスリップを着る

絞りの浴衣に衿つきスリップを合わせました。
見た目はほぼ着物姿!
  • 夏用の名古屋帯を締める

祖母の夏帯を締めました。
夏帯は薄くて軽いので練習にもおすすめです。


もちろんレベル3を行うには着付けの技術も必要です。しかし、衿付きのスリップは家で洗濯できるので保管も楽ですし、長襦袢と違って袖丈の寸法を合わせる必要もありません。着物をしっかりマスターする前に気軽にトライしてみてください。

着物を着るとなると一気に全て覚えなければなりませんが、浴衣だったらできる時にひとつずつ技術を鍛えていけます。
上手くできなくてもその日は半幅に切り替えてまたトライしたらOK。
自分のペースで楽しんでいきましょう。

番外編: 洋服アイテムを合わせる

  • レースのノースリーブタートルネックなどを浴衣の下に着る

襟元からチラッと見えるレースが可愛いです。これなら長襦袢の衿合わせに苦戦することなく着物風(しかもちょっとおしゃれ上級者感)を味わえます。濃地なら白や生成り、薄地なら柄に入っている色味のものだと合わせやすいですよ。

  • 帯締めの代わりにベルト、下駄の代わりにサンダルを合わせる

ベルトとサンダルも意外と馴染みます。
しれっと身につけるのがポイント。

ファッションとしてアップデートしてみるのも私は着物の楽しみのひとつだと思っています。自分のために着るときは持っているものをフル活用して、自分らしく自由に着ちゃいましょう。

いかがでしたか?
ひとつひとつじっくり説明したかったのですが、かなり長くなってしまうので、今回はあくまで「すゝめ」とさせていただきました。またの機会にそれぞれのアイテムの深堀りも書きますので、面白そうだと思ってくださる方はフォローして待っていてくれると嬉しいです。

皆様の夏が少し新鮮で、ときめくものになりますように。



おわりに: このnoteについて

ここまで読んでくださりありがとうございます。
このnoteがどんな目的で書かれているかについてはこちらの記事に書いていますので、初めてお越しの方はぜひ読んでみてください。


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ringoro
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