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地酒論

こんにち割水 

Twitterで地酒論の企画があったので、TLに流そうかなと思ったけど長かったのでこちらに。
このブログは基本使ってません。SAKETIMESの記事に書けなかった・カットされた話を書いたりしようかなと思ったけど、記事もろくすぽ書かないのにブログなんて出来るはずもなかった。一記事目がすべてを物語ってます。

それはいいや。

えーと、地酒論。地酒とは、地酒の強みとは何かみたいな話です。これを書くにあたり引っ張られたら困るかなーと思ったので、sakestreet掲載記事含め、ほかの人のものは実はまだあんまり読んでません。後で読んでみます。

https://sakestreet.com/ja/media/what-is-jizake-0

地酒とは思い出がある美味しいお酒

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個人的に思い入れのある酒は美味しさが増すという事があります。
誰かのTLで見たんですが、ヒトは唎酒するときに私感をすごーく入れちゃうという話があって、いくら鑑評会レベルのような唎酒をしてても、銘柄、ラベルや仕込んだ時の情報を完全には消せずに優劣判断をしちゃいがち。営業等「こう持っていきたいな」って時は敢えてやる事もある。

その私感がマシマシになってるのが地酒の強みだと思う。美味しさに思い出という下駄をはかせまくって個人的に推しに推したい日本酒が地酒。あなたの思い出が強くあなたがものすごく推してるのが地酒。

地方の料理に合うかってのは大事だけど、美味しいお酒はだいたいなんでも合うんじゃないかな。ウチの酒もアイヌネギの醤油炒めでも、辛子蓮根でも
、いがめんちでも、ぼっかけでも、ばっけの天ぷらでも、合うモンはなんでも合う。日本広い!最高。

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酒飲んで思い出が出てきたら良いじゃないですか。生まれ故郷の酒でネーとか、駅前の居酒屋で飲んだっけなーとか、温泉宿とか。酒に人の顔が浮かんできたらそりゃもう地酒。
贈ってくれた人、どこかの飲み屋で一緒に飲んだ人、旅行先でオススメしてくれた人、酒販店のおっちゃん、下宿のおばちゃん、造ってる人なんかが浮かんだらもう抜け出せない。

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酒造業界に入ってしばらくすると、もう人の顔が浮かぶ酒ばかり。そしてその酒は当然旨い。杜氏さんの顔、あの人元気かな、頑張ってるべな、雪かきしてるかな、麹出来てっかな、お世話なったな、杜氏講習の晩にしこたま飲んだっけな、相変わらず良い酒造ってんなー!

逆に不味くても何故か印象に残ってたりしてね…まぁ、それは良いや。今回は割愛。

思い出が浮かべば酒はより旨いんですよ。そうじゃないすかね。誰かが「あーこれは思い出が多くて深い。」って思い入れの強いものが地酒として美味しいんじゃないかな。

ここまでレベル1。

ブランドは地酒の枠を外れる

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地酒たる地酒は、マイナーであればあるほど輝く。
全国的なブランドの酒が好きなのは別にあなたの好みだから良いんだけど、地酒論を展開するならば有名なブランドは外したい。
なんでかって?おじさんね、えふりこぎは嫌いなの。

地酒についていろいろ考えたけど、これに尽きた。酒造業界でも日本酒全般でも、なんでも、えふりこぎは嫌いだ。津軽や秋田の人には馴染み深い言葉です。「えふり」「あるふり」「おべだふり」は津軽さんふりと呼ばれ津軽衆の特徴である、と言えば津軽衆はデレッキ持って怒ります。

えふり…見栄っぱり あるふり…金や関係があるフリ おべだふり…知ったかぶり

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北日本の方言にはこういう人をバカにするようなモノばかり語彙が豊富で面白いんですよ。ほいど、よくたがり、みったくめんこ、くされたまくら、あがすけ、たくらんけ!個人的にすごく良いと思う。

えふりこぎは関西で言う「えぇかっこしー」ですな。傍からえふりこぎと見られてるなら、あるいは自分からそう見えるなら、それはもう地酒ではないんじゃないかな、という点に帰結した。

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ただ先に言っておきたいのは大手であってもブランドであっても、美味しいものは美味しい。知り合いがいると美味しさは深まるし下駄もはかせる。大手も苦労がいっぱいあろう。
でも、地酒を語る時は出さない。

えふりこぎは、おじさんきらい。どういう事かは、個々人で考えてね。いちいち「あの蔵の事?」「あの酒屋さんは?」みたいな事はどうでもイーグルス。
外車も個人の趣味だったりするし、あの設備導入したとか、船貸切って何かしたーとか、輝かしい世界はそれで良いんだけど、こればっかりが売れて評価されていくと言う商売の世界はおじちゃん苦手。えふりこいだ方が売れるんだも知れねんだものー。おもしぇぐねー。

でも、それは仕方ねぇんだ。外(東京市場や大阪市場、あるいは世界市場)に出るなら、野良着じゃダメだもんね。回ってない寿司屋に酒を卸そうとしたらボロじゃ行けない。回ってる寿司屋でさえそうだろう。
そしたら社長も良いスーツを着るさ。外車に乗るさ。そうでないと、街じゃかっこつかない…というか、首都高に軽トラは無恰好だもんね。

見た目を洗練させるとでも言えばいいんだろうか、その時に地酒のグローブは溶けていくんじゃないかな。

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それで、地元を背負って地域貢献でどうこうというのは良いよ。都会のマネーで地方を潤すべきだと常々思う。でも地酒を語るような立場には無いんじゃないかと思います。なんでかって?鏡をご覧、君はかっこいいからさ。

ついでに挟めば、新規で日本酒免許取ろうとしているところや、今はやりの日本酒は全国区になりたい、ブランド化したいという思いが強いところばかりだ。
まずもって全国区にならなってブランド化しないと日本酒で儲けを出すなり社員を養うのは難しいという点にもあるのかな。クラファンでお金を集めるにしろ、無名な所には集まらないよね。

良いんだよ雑誌に載ってタンクの前で腕くんでみたり、スーツで日の当たる窓辺で何か説明してるフリしてても。かっこいいでばなー。
そこに独自の「イズム」でもあれば共感する人も多いと思う。それが大衆よ。そうしてラベルやネームバリュー、レア度に惹かれて、ブランディングは成功する。

日本酒が少し復権した近年をよく表現していると思う。ただ、こうやってブランディングされた日本酒は、やっぱり地酒ではないっしょ。たとえ青森や秋田の酒蔵であったとしても、地酒の域を出てしまっている所は売れて良かったねと思う反面、えふりこぎめがと思う。

こういうブランディングストリームとでも言えば良いのかこの流れに敢えて乗らない酒蔵たちはダメなのか?そんな事ないでしょう。ここに地酒の輝きがあると思うんですよね。

地元じゃ負けない。媚びない。これぞ地酒の漢だぜ!

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地酒論として、今のところまとめて思うのは「美味しい酒。なおかつ、えふりこがない酒。思い入れはその深みを増す。」
あぁ、良いんじゃない?うん。

んで、地酒は「地元じゃ負け知らず」っていうのが大事だと思うんです。
si おーれたちは昔からー
現代は物と情報の流通が進化しまくってしまったがゆえに、簡単に世界中の人たちと自分を比べる事が出来てしまって、ちっぽけな存在だなと思う機会も多くなったように思う。
例えば、地元のゲーセンで強かった少年が、隣町のゲーセンで向こうの強い子を打ち負かして帰ってきた話なんかもあったように思うが、今や基本がネット対戦だもの。SNSの普及のせいもあるのかな。上手な絵はいっぱい流れてくるがゆえに自分の画力の低さは嘆かわしい限り。…ふん。

地酒というジャンルに於いては勝ち負けはいらないというか、地元ナンバーワンだぜくらいの気持ちでいれば良いんじゃないかなと思うんです。
当然、米代や電気代のために地酒商売をするためにも当然お金は必要なわけですから、小さな町の造り酒屋が地元消費だけですべてを賄うってのは無理だ。だから理解のある(?)地酒取り扱い系の酒販店さんの力を借りて全国で売っていかなきゃいけないわけだ。

…不動産なんかの別収入がある酒蔵は良いよねって話は今日は置いておこう。
経済的勝ち負けではなく、地元ナンバーワンで行こうぜ。
…と地酒蔵の蔵元に言ったら、てめぇなめてんのかと言われそうなんで困るし、弊社社長にはごめーんねって気しかしないね…へへへ。毎日メシ食いにきてるような蔵人でごめんね!しかも他人の3倍は食べるような蔵人でごめーんね!!

こうなるとね、基本的にトントンくらいを狙っている蔵元と睡眠時間を我慢して働いている蔵人、それを支えるパートのおばちゃんたちや地域の人たち、この連中が守ってるものこそが地酒の輝きなんですよ。

そこに造り手の思いが無いわけなかろうが。

(ここで河島英五の「時代おくれ」が流れる)

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とまぁ、こんな感じでどうでしょうか。こんなものは飲む人には別に求めてませんのであしからず。俺論です。酒なんてホントのところ80%は水で20%がアルコールなんです。自由に飲んじゃってくださいね(?)

君は地酒を造っているかい?と聞かれたら私は造ってるよと答えるよ。これが自慢です。良いでしょ?ふふふ。